マーケティングに役立つフレームワーク21選!必要性や注意点も解説
- 2021.12.18
- マーケティング
マーケティングフレームワークとは、マーケティング戦略やデータ分析を行う際に役立つ枠組みのことです。明確な成功ポイントが存在しないマーケティングだからこそ、パターン化されたフレームワークの活用が効果を発揮します。

マーケティングフレームワークとは?
フレームワークとは、考える項目や分析ポイントがパターン化された枠組みのことをいいます。マーケティングにおけるフレームワークとは、効果が実証されている考えや分析方法となり、マーケティング戦略を構築するうえで欠かせない要素です。
またフレームワークでは、あてはめるだけで最適な分析が行える点が最大の特徴といえるでしょう。
ここでは、マーケティングフレームワークの必要性について詳しく解説していきます。
マーケティングフレームワークの必要性
マーケティングフレームワークが必要な理由は、効率良く分析を行い、マーケティングの課題発見や戦略構築を行うためです。
何も枠組みが無い状態であれば、比較項目や分析要素を一から考えなければいけません。仮に「売上を増加させる」という抽象的な課題であれば、的違いな項目でしか考えられず、明確な結論を得られないこともあるでしょう。
したがって重要な項目に絞って判断するためにも、マーケティングフレームワークは重要な役割を持ちます。
戦略立案に役立つフレームワーク6選
戦略立案はマーケティングの要といっても過言ではないほど、施策の結果を左右する要素です。そのため自社に向けた視点だけでなく、市場や競合の視点からも分析することが重要になります。
ここでは、戦略に役立つフレームワークを6つに絞って紹介していきます。
3C分析

3C分析は、事業の方向性を定める際に役立つフレームワークです。
以下の3要素から考えることで、顧客や市場の動向を分かりやすく分析できます。
- Customer(市場・顧客):市場の成長性や顧客のニーズを分析
- Competitor(競合):競合企業の売上や市場シェアを分析
- Company(自社):上記の分析をもとに経営戦略の構築
また自社の事業に関する課題や成功要因を見つけられるため、競合との差別化を図る際に活用できます。
4C分析

4C分析は、企業の商品開発や戦略策定に役立つフレームワークです。以下の4要素から考えることで、顧客視点での分析が行えます。
- Customer Value(顧客価値):企業イメージや商品の品質など顧客が感じる価値を分析
- Cost(経費):価格によって顧客に与える影響の分析
- Convenience(顧客利便性):顧客が感じる購入方法の利便性を分析
- Communication(顧客対話):企業と顧客とのコミュニケーション手段の分析
STP分析

STP分析とは、マーケティング戦略や販売戦略を考える際に役立つフレームワークです。以下の3要素から考えることで、自社の強みが活かせる市場やグループを見つけられます。
- Segmentation(セグメンテーション)
- Targeting(ターゲティング)
- Positioning(ポジショニング)
PPM分析
PPM分析とは、経営資源の最適な投資配分を決める際に役立つフレームワークです。
以下の4要素から考えることで、市場占有率と市場成長率の座標から商品やサービスを分類し、自社事業の立ち位置を判断できます。
- 花形(Star):市場占有率と市場成長率の両方が高い・利益を出しやすが、競合が激しい
- 金のなる木(Cash Cow):市場占有率が高く市場成長率が低い・安定した利益を出しやすい
- 問題児(Problem Child):市場占有率が低く市場成長率が高い・競合が激しく利益を見込めない
- 負け犬(Dog):市場占有率と市場成長率の両方が低い・競合が少なく利益も見込めない
5フォース分析

5フォース分析とは、新商品の開発や市場へ新規参入する際の収益性を判断するフレームワークです。
以下の5要素から分析します。
- 業界内の競合の脅威:既存の競合他社を分析し収益性を判断
- 新規参入の脅威:参入障壁の状況によって新規参入の優位性を分析
- 売り手(サプライヤー)の交渉力:仕入先の分析から収益性を判断
- 買い手(顧客)の交渉力:提供先の分析から収益性を判断
- 代替品の存在:代替品の出現による市場のシェアを分析
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルを可視化する際に役立つフレームワークです。
以下の9要素から分析します。
- 顧客セグメント:自社の顧客対象
- 価値提案:自社商品の価値
- チャネル:自社商品の販売方法
- 顧客との関係:顧客と関わる期間
- 収益の流れ:売上の課金方式
- リソース:価値を提供するための経営資源
- 主要活動:価値を提供するための活動
- パートナー:価値を提供するためのパートナー
- コスト構造:ビジネスを行う際のコスト
思考整理に役立つフレームワーク3選
思考整理は、自社の状況を確認する際に効果的な分析です。ロジカルな思考で判断するためにも一つの要因から細分化し、根本的な原因を明確にしましょう。
ここでは、思考戦略に役立つフレームワークを3つに絞って紹介していきます。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、ある事柄に対する問題点や原因をロジカルに解決するためのフレームワークです。
問題点をツリー状に書き出すことからロジックツリーと呼ばれ、問題解決以外にも問題定義や思考整理にも活用できます。
一般的な分析方法とは違い、視覚で判断しやすい点が特徴です。また作成過程では問題を細分化するため、根本的な原因を発見しやすい点もメリットになります。
ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャーとは、結論に対する根拠を細分化し、説明や説得を行う際に役立つフレームワークです。根拠をビラミッド状に書き出すことからピラミッドストラクチャーと呼ばれています。
ロジックツリーと似ている分析手法ですが、書き出す内容や図式の構成が異なるため、使用する目的に違いがあります。
ロジックツリー
- 使用目的:問題解決
- 記入内容:問題点や原因
ピラミッドストラクチャー
- 使用目的:結論の主張
- 記入内容:結論に対する根拠
MECE
MECEは、ロジカルシンキングを行う際に基礎となる考え方のことです。「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略となり、物事に対して「漏れやダブりがない」ことを意味します。
具体的な活用方法は、以下の2つです。
- トップダウンアプローチ:物事を全体から捉え、目的や課題に応じて要素となる事柄を細分化していく手法
- ボトムアップアプローチ: 要素となる事柄を洗い出し、分類化していくことで全体像を明確化していく手法
顧客理解に役立つフレームワーク4選
顧客が価値を感じられる商品やサービスを提供するためには、顧客のニーズ分析や顧客理解が必須です。特に顧客の行動モデルや行動心理は重要視しましょう。
ここでは、顧客理解に役立つフレームワークを4つに絞って紹介していきます。
AIDMA
AIDMAとは、顧客が商品を購買する際のプロセスをモデル化したフレームワークです。
以下の5つのプロセスから構成されます。
- Attention:注意
- Interest:関心
- Desire:欲求
- Memory:記憶
- Action:行動
1924年に提唱され、従来より活用され続けている分析手法の一つです。段階ごとに適した戦略を考えることで、最終的な「行動」へとつなげられます。
AISAS
AISASもAIDMA同様に、顧客が商品を購買する際のプロセスをモデル化したフレームワークです。しかしAIDMAとは違い、インターネット社会である現代にあてはめたプロセスとなります。
具体的には以下のとおりです。
- Attention:注目・認知
- Interest:興味・関心
- Search:検索
- Action:購買行動
- Shere:共有
検索エンジンやSNS上の行動を踏まえたプロセスとなるため、Webマーケティングを行う際はAISASを軸に考えることが重要です。
SIPS
SIPSとは、SNSなどソーシャルメディアにおける顧客の行動をモデル化したフレームワークです。
以下の4つのプロセスから構成されます。
- Sympathize:共感する
- Identify:確認する
- Participate:参加する
- Share & Spread:共有&拡散する
AISASまでの顧客行動は、検索エンジンで「検索」することが主流でした。しかしSIPSでは、顧客がよりリアルな声を求めるようになり、ソーシャルメディアの活用へと変化した流れを示しています。
DECAX
DECAXとは、コンテンツマーケティングにおける顧客の行動をモデル化したフレームワークです。他の行動モデルとは違い、顧客側からの行動がきっかけとなります。
具体的には以下のとおりです。
- Discovery:発見
- Engage:関係構築
- Check:確認
- Action:行動・購入
- Experience:体験
コンテンツマーケティングでは、コンテンツの質や顧客との関係構築が重要です。顧客の行動が軸になる手法だからこそ上記のプロセスを踏まえた上で行動を予想し、戦略を考えましょう。
行動理解・データ分析に役立つフレームワーク4選
行動理解やデータ分析は、マーケティング戦略を考えるうえで重要な要因となります。また効果検証においてもすべての項目を確認することはできないため、自社の課題となる項目に絞って対策を行いましょう。
ここでは、行動理解・データ分析に役立つフレームワークを4つに絞って紹介していきます。
RFM分析
RFM分析とは顧客をグループ分けし、各グループに適したマーケティングを考えるフレームワークです。以下の3要素から考えることで、最終的にはLTV(顧客生涯価値)の最大化が目的となります。
- Recency:直近の購入日
- Frequency:頻度
- Monetary:購入金額
顧客によって購入金額や頻度は違うため、全員に共通するマーケティング戦略はありません。そのため似た属性をグループ化することで、効率良くマーケティングを行える点が強みとなります。
アトリビューション分析
アトリビューション分析とは、マーケティング施策の効果測定に役立つフレームワークです。以下の5つが基本モデルとなります。
- ラストクリックモデル
- 起点モデル
- 均等配分モデル
- 減衰モデル
- 接点ベースモデル
従来までの効果測定では、最終的なCVにつながった場合のみにカウントすることが一般的でした。しかしCVに至るまでにはSNSや広告などさまざまな情報に触れていることが多く、CV数だけでは判断できません。
したがって正しい基準で効果測定を行うためにも、アトリビューション分析が重要になります。
ヒューリスティック分析
ヒューリスティック分析とは、自社サイトに訪れたユーザーの使いやすさを分析する際に役立つフレームワークです。
分析を行う際は、以下のプロセスですすめていきます。
- 分析方針の決定
- 調査作業
- レポーティング
特に重要となる「分析方針の決定」では、以下の3項目から考えましょう。
- 自社サイトを運営する目的の明確化
- 評価項目の選定
- 比較企業の選定
データだけでは判断できないことも分析できるため、Webサイトを運営するうえでは定期的に活用すべき手法です。
マーケティングファネル
マーケティングファネルとは、顧客の行動モデルを図式化したフレームワークです。以下の4要素から逆三角形の形で成り立ち、ステップが進むにつれて人数が減っていく様子を表しています。
- 認知
- 興味・関心
- 比較・検討
- 購入
またマーケティングファネルの中でも3種類のタイプがあり、分析する目的に応じて使い分けられます。
- バーチャルファネル: 顧客が商品の「認知」から「購買」を行う際の、顧客の心理変化を表したもの
- インフルエンスファネル: 顧客が商品を購入した後の行動を表したもの
- ダブルファネル: バーチャルファネルとインフルエンスファネルを組み合わせ、顧客の行動をトータルで表したもの
目標設定・改善に役立つフレームワーク4選
マーケティング施策を実行するうえでは、事前の目標設定や、実行後の改善が必要不可欠です。良い結果を出し続けるためにも、常に目標との照らし合わせを意識しましょう。
ここでは目標設定・改善に役立つフレームワークを4つに絞って紹介していきます。
PDCA
PDCAとは、業務を継続的に改善し続けるためのフレームワークです。以下の4要素を1サイクルとし、繰り返し実行する仕組みとなります。
- Plan:計画
- Do:実行
- Check:評価
- Action:改善
業界や分野に関係なくあてはめられる手法のため、活用しやすい点が特徴です。
また施策に取り組む際や何か行動を起こす際の基本となり、PDCAを軸に物事をすすめることも多いといえます。
SMART
SMARTは、目標設定を行う際に役立つフレームワークです。
以下の5つの要素から成り立ちます。
- Specific:具体的な
- Measurable:測定可能な
- Achievable:実現可能な
- Relevant:関連した
- Time-bound:期限を定めた
目標を達成するまでのモチベーション維持にもつながるため、明らかに達成不可能な内容を決めるのではなく、現実的に実現可能な目標を設定しましょう。
ガントチャート
ガントチャートとはプロジェクトの管理を行う際に、スケジュールの進捗状況を示した工程管理表のことです。
作業内容と日時を棒グラフで表すため、ひと目でプロジェクト全体を把握できる点が特徴になります。
また各メンバーの状況を確認できることから、プロジェクトのチーム内で共有する際も役立つ分析手法といえるでしょう。進捗管理を効率化したい場合には、ガントチャートの活用をおすすめします。
KPT
KPTとは、プロジェクトの改善を効率化させる際に役立つフレームワークです。
以下の3つの要素から分析していきます。
- Keep:良かったことを継続する
- Problem:問題点・課題点を発見する
- Try:問題点・改善点の取り組む
シンプルな分析手法ではありますが、改善点を明確化するには効果的です。
また大人数でも話し合いや共有を行いやすいため、ミーティング時の活用にも向いている手法になります。
マーケティングフレームワークの注意点
マーケティングフレームワークを活用する際に注意すべきことは、必ずしもあてはまるとは限らないことです。
マーケティングを行ううえで、完全に一致する施策や戦略は存在しません。市場規模や扱う商品・サービスによっても、成功ポイントが違ってくると考えましょう。
そのためフレームワークにおいても臨機応変に活用することが重要です。例えば、該当するフレームワークがなければ複数の手法を組み合わせることもできます。
あてはまるフレームワークが存在しないことも考えられるため、あくまで分析を行う手段の一つとして活用しましょう。

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