マーケティングとは?内容や必要性、現代に必須のWebマーケティング
マーケティングと聞くと抽象的で、具体的に何を指すのか不明な方も多いでしょう。マーケティングは一連の購買プロセスへの理解を深めるものであり、企業にとっては必要不可欠な考え方です。

マーケティングとは?
公益社団法人日本マーケティング協会によると、マーケティングは次のように定義されています。
”マーケティングとは、企業および他の組織1)がグローバルな視野2)に立ち、顧客3)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動4)である。
日本マーケティング協会 1990年
- 教育・医療・行政などの機関、団体などを含む。
- 国内外の社会、文化、自然環境の重視。
- 一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および地域住民を含む。
- 組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう。”
マーケティングは、企業が持続的活動を行うために必要不可欠なものです。顧客や社会にとって価値ある商品を開発し、適正な取引によって市場に提供するまでの一連のプロセスを「マーケティング」と呼んでいます。
マーケティングの過程は、実に広く捉えられます。「市場分析」から「広告宣伝」「商品販売」「販売後の顧客サポート」など、一連の購買プロセスを指すのがマーケティングです。
商品を売るだけがマーケティングではなく、市場分析から購買後の顧客サポートまで、マーケティングは非常に広い領域を対象としています。そのためマーケティングと追求することは、企業の至上命題ともいえます。
なぜマーケティングが必要なのか?
「企業にはマーケティングが不可欠」ということは、あなたもよく聞くでしょう。それでは、なぜ企業にマーケティングが必要なのでしょうか?その理由について3つ紹介します。
商品が良くても売れなければ意味がない
どれだけ自社で優れた商品を開発したとしても、それがお客様に売れなければ意味はありません。なぜなら「自社が提供できる価値」と「顧客が求める価値」が合致しなければ、商品を販売しても売れないからです。
たとえばとある会社が「20代向けに、動画配信サービスの視聴やゲームもできる家庭用固定電話」を開発したとしましょう。この優れた機能を搭載する家庭用固定電話が、20代に売れると思いますか?正解はNOです。
総務省の「令和2年通信利用動向調査」によると、20代のうち固定電話を利用しているのは8.1%しかいません。それに固定電話に「動画配信サービス」や「ゲームができる機能」がついていても、スマホに代替されるのが想像に難くないでしょう。
上記は極端な例でしたが、顧客のニーズを把握しそれに応える商品でなければ、いくら機能が優れていても宝の持ち腐れです。そこで顧客のニーズを把握するために重要なのは「マーケティング」なのです。
消費者の細かなニーズの把握が不可欠
さきほど「顧客のニーズを把握することが重要」と紹介しました。一方でモノやサービスが溢れる現代社会では、ただニーズを把握するだけでは消費者を満足させられないことがあります。そこで、より細かな消費者のニーズを把握するのに大切なのがマーケティングです。
マーケティング戦略には「外部環境分析」と「ターゲティング」というプロセスがあります。外部環境分析には「顧客分析」という手法があり、3C分析とも呼ばれます。
3C分析では「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つを分析することで、自社から見た競争環境を分析できます。そうすることで、自社の強みを活かしながら、顧客のニーズに合わせた商品を販売することが可能になるのです。
また「ターゲティング」によって、さらに市場を細分化したあと、ターゲットを絞って商品を販売します。具体的な顧客層を明らかにすることで、細かなニーズを自社製品でくみ取れるようになり、自社の強みを存分に活かせるようになります。
このようにモノ・サービスが溢れる現代社会において、今後は顧客のより細かなニーズをくみ取る必要があり、そこで役に立つのがマーケティングなのです。
顧客満足度を上げないと衰退するのみ
マーケティングの目標は、継続的に商品を購入してもらい、顧客や社会に価値を提供し続けることにあります。継続的に商品を購入してもらうために欠かせないのが「顧客満足度の把握」です。
マーケティングでは、顧客満足度の向上を重視しています。顧客満足度を上げると、口コミや人づての評価などが上がり、リピーターが増えることになります。リピーターが増えれば、客単価も上げやすくなるのです。
逆にマーケティングで顧客満足度向上に努めず、ただ商品を販売するだけでは、競争社会に敗れる可能性が高くなります。常にお客様に価値ある商品を届けるためにも、顧客満足度の向上は不可欠となります。
マーケティングの主な内容
続いて、マーケティングの具体的な内容について見てみましょう。
商品の企画・開発
商品の企画や開発も、マーケティング活動の一環です。ただしマーケティングでいう「商品の企画・開発」は、俯瞰的に物事を見ます。
市場調査によって自社の強みとお客様が期待する価値をすり合わせ、また競合他社にはない強みを打ち出すことがポイントです。また具体的な顧客層を設定し、細かなニーズをくみ取れる商品の企画・開発も、マーケティングでは重要になります。
「誰に、何を提供するのか」マーケティング活動ではこの点を意識し「お客様が求める商品を、最適な形で届ける」ことを意識して、商品の企画・開発にあたります。
広告宣伝
広告宣伝活動も、マーケティングの一種です。メディアを通じて、商品や自社を宣伝していく活動を「広告宣伝」といいます。マーケティングには、企業や商品・サービスを販売するために用いるフレームワーク「4P」があります。
4Pとは「Product(商品戦略)」「Price(価格戦略)」「Place(流通戦略)」「Promotion(販促戦略)」のことです。このうちの「Promotion(販促戦略)」が、広告宣伝にあたります。
広告宣伝に用いるメディアは、テレビやラジオなどの「マス広告」のほか、リスティング広告やリターゲティング広告のような「インターネット広告」などもあります。自社製品の特徴と広告の特性を知り、最適な広告を選んでアピールすることが重要です。
市場分析
自社製品を継続的に購入してもらうには、市場を分析することは非常に大切です。市場分析にはさまざまな方法があります。代表的な分析手法について、次のとおり紹介します。
3C分析 | 「顧客(Consumer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つを分析し、自社の経営環境について分析する手法。 |
PEST分析 | 「政治的要因(Politics)」「経済的要因(Economics)」「社会的要因(Society)」「技術的要因(Technology)」の4つから、市場を大きく分析する手法。 |
5フォース分析 | 「競争業者」「新規参入業者」「代替品」「売り手」「買い手」の5つから、外部要因が自社にとってどれほど脅威になるのか分析する手法。 |
これらの分析する手法を用いて自社が戦う環境を知り、ニーズがある顧客に対して、最適な形で商品を届けるのが市場分析の役割です。
効果測定
マーケティングでは、ただ商品を売るだけでなく、施策の過程や販売後の効果測定も欠かせません。効果を測定するには、KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)などを設定し、定期的に振り返ることが大切です。
効果測定によってPDCAサイクルを作り、最適な形で商品を販売できるように改善を繰り返します。こうして時代の流れに合わせながら、継続的に顧客のニーズに応え続けることが可能になるのです。
Webからの集客を伸ばすにはWebマーケティングが必須
一口にマーケティングといっても、その種類は多岐に渡ります。現代社会に合ったマーケティング手法といえば、インターネットを主戦場にした「Webマーケティング」です。
Webマーケティングとは?
Webマーケティングとは、Webを中心に商品・サービスを宣伝し、成約までつなげるマーケティング手法です。自社サイトやオンラインショッピングなどを通じて、顧客に購買してもらうようにアクションを促していくのがWebマーケティングです。
マーケティングとは広義でオンラインに限った話ではありません。そのなかでもWebに特化して購買プロセスに注目したものをWebマーケティングと呼んでいます。
関連記事: Webマーケティングの始め方から活用すべきツールまでを解説
Webマーケティングの具体的手法
Webマーケティングの具体的な手法として「SEO対策」「Web広告」「SNS運用」の3つがあります。
SEO対策
SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、検索エンジン最適化とも呼ばれます。SEOへの対策を考えることから、造語で「SEO対策」とも呼ばれます(実際には正しい呼び方ではありません)。
インターネットの検索から自社サイトへの流入を増やし、商品・サービスの成約までつなげるマーケティング手法です。
GoogleやYahoo!などでキーワードを入力して検索すると、検索結果にはサイトが一覧で表示されます。検索ユーザーは基本的に検索結果の上からサイトを閲覧するため、検索上位に表示されるほど、サイトの閲覧数は増えることになります。
つまりブランド認知や商品・サービスの宣伝機会が増え、自社製品の販売につなげることが可能です。この検索結果の上位に表示するために、コンテンツを制作したり、評価されやすいように内部を調整したりするのがSEOです。
関連記事: SEO対策で重要視されるE-A-Tとは!?評価基準やEATの対策方法を徹底解説
Web広告
インターネット上に表示される広告を「Web広告」といいます。Web広告はよく、SEO対策と対をなして考えられることがあります。
SEO対策は検索上位に表示されれば大きな集客効果を見込めるメリットがあるものの、成果を得られるまでに時間とコストがかかるのがデメリットです。そこですぐに商品・サービスの購入までつなげるためにWeb広告が活躍します。
一口にWeb広告といっても、その種類は多岐にわたります。そこで代表的なWeb広告について見てみましょう。
<Web広告の一覧>
リスティング広告 | リスティング広告は、GoogleやYahoo!で特定のキーワードを検索したときに、検索結果の一番上に表示される広告。1クリック=〇円の広告費を支払って掲載する広告で、広告単価はキーワードによって異なる。 |
ディスプレイ広告 | アプリやWebサイト上に表示される広告 |
アフィリエイト広告 | 成果報酬型の広告。そのメディアから商品・サービスの購入があると、紹介したサイトやブログ運営者などにも報酬が入る仲介代理サービス。 |
インターネットユーザーに対して、上記のようなWeb広告を使い分けて広告を打つことが不可欠です。
SNS運用
SNS運用とは、企業アカウントでコンテンツを投稿したり、キャンペーン情報を売ったりして販路を拡大していく方法です。現代ではSNSを利用するユーザーが増えており、商品・サービスを購入する際に参考する消費者も増加しています。
企業で運営する代表的なSNSは、次のとおりです。
日々のつぶやきを140文字以内で投稿できるSNS。「リツイート」と呼ばれる機能で、他ユーザーの投稿を自アカウントで再び投稿しなおせる機能で拡散性が高い。 | |
画像や動画の投稿に特化したSNS。目で見て訴えかけやすいコンテンツを投稿に向いている。 | |
YouTube | 世界最大の動画プラットフォーム。動画を自由に投稿できるので、製品のPR動画や、コンテンツを通じて企業を認知してもらうのに向いている。 |
LINE | 企業用の「LINE公式アカウント」で、キャンペーン情報やコンテンツを提供できる。圧倒的な国内ユーザー数の多さで、あらゆる顧客層にアプローチできるのがメリット。また開封率の高さも魅力。 |
ビジネス属性の強いSNS。企業アカウント「Facebookページ」として登録することで、キャンペーン情報やコンテンツ配信に向いている。企業としての信頼を高めやすいのがFacebookの魅力。 |
SNS自体は、基本的に無料で利用できるものが大半です。SNSでフォローを獲得できれば、販促効果もかなり大きくなります。フォロワーは企業にとって大切な資産となるので、現代の企業にはもはや必須なツールでしょう。
ただしSNSで広告を打つ際は、当然広告費が発生します。SNS広告は特定のターゲットにピンポイントにリーチできるので、広告の反応率の悪さに頭を悩ませている企業は、検討するのもおすすめです。
関連記事: SNSマーケティングの特徴とは?メリット・デメリットや手法を解説

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