OMOの意味は?具体的な手法や売上を上げるためのポイントなど
マーケティングをするにあたって「OMO」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。このOMOとはどのような意味なのでしょうか?
そこでこの記事では、OMOの意味や重要性、具体的な手法などを紹介します。またOMOと混同しがちなマーケティング用語についても紹介しているので、俯瞰的に用語の意味を理解できるようになっています。

OMOの意味は?
OMOとは「Online Merges with Offline」の略称で、オンラインとオフラインの垣根をなくし、あらゆる施策を講じることで顧客の購買意欲を上げるマーケティング手法です。いわば「オフラインとオンラインを融合しよう」と考えるのがOMOです。
たとえばスターバックスやマクドナルドでは、事前にアプリで注文し、店舗で受け取る仕組みを整えています。「注文や会計はオフラインでするもの」という固定観念を取り払い、移動中に前もって注文できる仕組みを整えたことで、顧客の利便性をさらに伸ばしました。
このようにオンライン・オフラインをわけるのではなく、垣根をつくらないのがOMOの手法です。お互いによいところを利用しつつ、オフラインとオンラインを明確にわけないことで、顧客の利便性を上げる手法が「OMO」なのです。
混同しやすいマーケティング用語
マーケティング用語には、OMOと混同しやすい言葉がいくつかあります。そこで、混同しやすいマーケティングの用語「O2O」と「オムニチャネル」の意味と、OMOとの違いについて解説します。
O2OとOMOの違い
OMOと似た言葉に「O2O」があります。O2Oとは「Online to Offline」の略称です。インターネットからオフラインでの行動を促すことを指します。具体的には、アプリでクーポンを配布したり、SNSで情報を発信したりすることで、リアル店舗への来店につなげる行為をいいます。
なお「O2O」は「OtoO」または「On2Off」と表現することもあります。
一方でOMOとは、オンラインとオフラインの垣根をなくし、あらゆる施策を講じることで顧客の購買意欲を上げるマーケティング手法です。オンライン・オフラインをわけるのではなく、お互いによいところを利用しつつ垣根をなくしていくことで、顧客の利便性を上げる手法を「OMO」といいます。
いわばO2Oは「顧客の流れ」を指すものであり、オンラインでの施策でオフラインでの購買行動に促す、あるいはオフラインからオンラインの購買行動を促す手法を指しています。オフラインとオンラインの垣根をなくす「OMO」とは区別するようにしましょう。
オムニチャネルとOMOの違い
OMOと似た言葉に「オムニチャネル」があります。オムニチャネルとは、オンライン・オフラインを問わず、あらゆる販売チャネルを指します。「オムニ」とは「すべて」の意味です。
たとえば、オフラインで在庫がなかった商品をオンラインで購入できたり、逆にオンラインで購入した商品をコンビニで受け取ることなどは「オムニチャネル」の施策の一環です。このように顧客の利便性を重視し、あらゆる販売チャネルで顧客に商品・サービスを提供するように努めるのが「オムニチャネル」です。
一方でOMOとは、オンラインとオフラインの垣根をなくし、あらする施策を講じることで顧客の購買意欲を上げるマーケティング手法です。似たような言葉ですが、OMOのが「オンラインとオフラインの融合」を指すのに対し、オムニチャネルは「すべての販売チャネル」です。このようにニュアンスは異なるので、この違いは理解しておくようにしましょう。
なぜOMOが重要なのか?
なぜ現代社会において、OMOが重視されているのでしょうか?その理由を3つ紹介します。
そもそもオンラインとオフラインの垣根がなくなってきているから
そもそもの理由として、オフラインとオンラインの垣根がなくなっていることが背景にあります。そのためOMOは、当然の流れといっても過言ではないでしょう。
たとえばZoffやJINSなどのメガネを販売する企業では、Webサイトの情報と店のシステムを連携し、顧客が過去に店舗で購入したメガネの度数や購入履歴などを洗い出せるようになっています。そうすることで、メガネの購入の際に忘れがちな度数の情報を店舗がすぐに把握できるので、顧客体験の満足度は向上していくことになります。
このように現代では当たり前と思われる技術も、実はOMOによってオフラインとオンラインの融合が進められているケースもあります。これからの企業は発達した技術に対応するのが必須であり、OMOへの対応も必要不可欠といえるでしょう。
オンラインのデータをオフラインにも活用できるから
OMOによってオフラインとオンラインの融合が進めば、オンラインで得た顧客データをそのままオフラインにも活かすことが可能になります。これまで難しかったオフラインの顧客データの取得も、OMOによって活用しやすくなっているのです。
たとえばキャッシュレス決済の導入で、現金決済に比べてより高度なマーケティング施策を打てるようになりました。過去の購入履歴や購入商品、単価などの細かなデータを抽出することで、顧客の購買行動を可視化できるようになっています。
顧客の購買データを活用することで、商品の在庫を最適な数に調整したり、顧客属性にあったクーポンなどを発行したりすることが可能になります。このようにOMOによってオフラインとオンラインと融合が進むほど、より効果的、かつ効率的にマーケティングを実施できるようになるのです。
顧客のストレスを軽減できるから
OMOによってオフラインとオンラインの融合が進めば、顧客のストレスを軽減できるようになります。オフラインでは不便なことをオンラインに代替してもらうことで、顧客体験の満足度はより向上していくことになります。
たとえばマクドナルドは、注文から決済までアプリ上で行えるようになっており、あとは店舗で受け取るだけで一連の流れは完了します。「レジに並んで会計をする」という、顧客のオフラインの面倒な作業をアプリで代替することで、顧客はより便利にマクドナルドを利用できるようになりました。
このように、意外にもオフラインの面倒な作業をオンラインで代わりに行うことは可能なのです。また従業員のオフライン作業のオンラインに代替してもらうことで、人手不足の解消、および人件費の削減も可能になるのです。
OMOの具体的な手法例
OMOとはオフラインとオンラインの融合を指しますが、具体的になにをすればよいのでしょうか?OMOの代表的な手法を3つ紹介します。
アプリで注文や決済などを可能に
注文や決済など可能にするアプリを開発・導入するのは、OMOの1つです。オフラインの面倒な作業をアプリに代替してもらうことで、顧客の満足度を引き上げることが可能になります。
たとえばスターバックスコーヒーは、アプリで注文して決済まで可能にしています。アプリで決済まで済ませてしまえば、あとは店舗で商品を受け取るだけです。レジに並ぶ必要がなく、顧客のストレスを軽減することに成功しています。またレジの負担を下げることにもつながっており、一石二鳥ともいえる施策です。
また海鮮寿司の「スシロー」は、アプリで持ち帰りの注文ができるようになっており、時間になれば店舗で受け取るだけです。ほかにも、店内でタッチパネルではなく、アプリからも商品を注文できるようになっています。
大人数でスシローに訪れた場合、タッチパネルの取り合いとなってしまい、なかには思ったように商品を注文できない人がいるでしょう。そこで個々のアプリから注文できるようにすることで、顧客の満足度を引き上げながらも、寿司を注文したい機会損失の削減にもつながっています。
このようにアプリで注文や決済ができるシステムを整備することで、顧客の満足度を引き上げながらも、売上を伸ばすことが可能になります。
ネット注文で店舗から商品を配送
ネット注文で店舗から商品を発送するのも、OMOの施策の1つです。オンラインで購入した商品が、近くの店舗から発送される仕組みです。オンラインとオフラインをうまく融合したシステムで、消費者の利便性を高めています。
たとえば最近多いものでいえば、スーパーマーケットの宅配配送があります。インターネットで食品や日用品などを購入すると、近くのスーパーマーケットから発送されます。利用者にとっては家から出なくても日々の生活に必要なものを受け取れるので、忙しい現代人にとっては便利なサービスです。
このようにオフラインの良さを活かしながらも、オンラインの利便性を活用した宅配サービスは、今後も伸びていく事業でしょう。
LINEで注文や商品受け取りなどを可能に
OMOではアプリで注文や決済ができるのは便利ですが、開発費用がかかるのも現実。そこで予算に余裕がない企業におすすめのツールが「LINE」です。LINEで注文を受け付けたり、席を予約したりできます。
たとえば飲食店舗用に「Lモバイルオーダー」があります。テイクアウト注文から事前注文、店内注文までLINEで対応できるようになっています。月額6,000円で利用できるため、少額のコストで始められるのもLINEのメリットです。
もちろん、飲食店以外にも導入できるLINEのツールがあります。まず低コストで気軽にOMOを始めてみたい企業は、LINEの導入を検討してみましょう。
OMOで売上を上げるポイント
OMOで売上を上げるには、いくつか重要なポイントがあります。そこで、OMOで売上を上げるポイントについて3つ紹介します。
顧客のストレスをオンラインで軽減する
OMOで重要なことは、顧客のストレスを軽減することにあります。オフラインでは煩わしい作業をオンラインで代行したり、逆にオンラインでは難しい接客やサポートなどをオフラインで集中するのがOMOの意義です。
たとえばこの記事で紹介している「マクドナルド」や「スターバックスコーヒー」なども、アプリによって顧客のストレスをなるべく軽減することを重視しています。この施策によって、顧客はより快適に店舗を利用できるようになり、結果根強いリピート客となります。
また宅配サービスでは「わざわざ店舗まで買いに行く」というストレスをなくし、顧客の手を煩わせることなく商品を届けられます。特に食料品や日用品などは頻繁に購入する必要があり、多忙な現代人にとっては買い物をする時間のない方も多いでしょう。そこでこのような現代のストレスを解決した宅配サービスが、今人気を博しているのです。
このようにOMOの施策は、忙しい現代人が多い日本社会にとって、今後より重要なものとなってくでしょう。OMOによってオフラインとオンラインを融合することで、お互いのよいところを活かしながら、快適に顧客に商品・サービスを利用してもらうことを意識してください。
オンラインで蓄積した情報をオフラインに活かす
オンラインで得た情報は、オフラインに活かすようにしましょう。オンラインで得た情報を、オフラインに活かすのはOMOの意義とも言える部分です。たとえばOMOでは、次のようなオンラインデータの獲得を見込めます。
<OMOによって獲得でいるオンラインのデータ>
- キャッシュレス決済による購入履歴や顧客の情報
- LINEの個人アカウント
- SNSの利用者情報 など
このようなオンラインのデータは、オフラインの売り場を最適化するのに役立ちます。たとえば顧客の属性や嗜好などを把握できれば、お客様の求める商品を売り場に用意できるようになります。
このように、オンライン・オフラインの融合によって、オンラインのデータをオフラインにも活かせるのがOMOの強みです。オンライン・オフライン間のデータ統合も、OMOでは意識してみましょう。
オフラインを軽視しない
オフラインとオンラインを融合するのがOMOだからといって、オフラインを軽視してはいけません。オフラインの商品・サービス力があってこそのOMOです。単にOMOによって利便性を高めることを求めるのではなく、商売の基本である商品力を見落としてはいけません。
たとえば、アプリで注文~決済までできる仕組みを整えても、出てきた飲食が美味しくなければ、今後飲食店にその顧客が訪れることはないでyそう。宅配サービスによって店舗から商品を届ける仕組みをつくっても、肝心の商品の質が悪ければ顧客がリピートすることはありません。
結局のところ、どれだけ利便性が高まっても大切なのは商品で顧客を満足させることです。OMOでオンラインとオフラインを融合するのは大切ですが、決してオフラインを軽視しないようにしましょう。
OMOの施策によって期待を上げても、肝心の商品の質が悪ければ顧客の信頼を失うだけです。
