WordPressを多言語対応するには?おすすめプラグイン5選や注意点
世界に存在するWebサイトの約4割がWordPressで作成されており、今後も個人ブログや企業のオウンドメディアなどさまざまなシーンで活躍が予想されます。
専門的な知識がなくてもWebサイトを作成できる強みがあるがゆえに、多言語対応する方法がわからない方も多いはず。
目次
WordPressで多言語サイトを制作するメリット
多言語サイトをゼロから構築することは、とくに技術的な知識が限られている場合、非常に複雑になりがちです。
しかし、WordPressの柔軟性や、種類が豊富なプラグイン・テーマがあれば簡単に多言語対応することができます。
まず、多言語サイトを簡単に展開することの大きな利点の一つは、HTMLやPHPなどのコーディングスキルがない方でも、簡単に多言語サイトを立ち上げることが可能な点です。
そのため、時間とコストを節約しながら、より幅広いユーザーにリーチすることができるようになります。
利用可能な多言語プラグインの中には、さまざまな言語をサポートしており、その中には同時に複数言語に対応できるものもあります。
例えば、ヨーロッパやアジア、アフリカなど、多言語が話されている地域向けのサイトを運営したい場合、プラグインを活用することで、簡単に地域の言語に対応したサイトを構築することができるようになります。
多言語サイトをWordPressで制作する方法3つ
多言語サイトをWordPressで制作するスタイルとしておおよそ3通りの方法があります。
対応言語の数や戦略なども踏まえつつ確認しましょう。
プラグインを使用する
WordPressで多言語サイトを制作する最もオーソドックスな方法は、専用のプラグインを使用することです。
この方法は、Web開発に関する専門的な知識をほとんど必要とせず、初心者でも比較的簡単に多言語対応のサイトを構築できることが大きなメリットです。
詳しくは後述しますが、多言語対応プラグインでも、マルチサイト型や1記事複数言語型などの形式があり、どれを選択するかによって、ウェブサイトの運用戦略が大きく変わります。そのため、事前に目的に最も合ったタイプを選択することが重要です。
また、多言語対応プラグインには有料と無料のオプションがあります。
有料プラグインは一般的に多機能であり、サポートやセキュリティ面での利点も享受できます。
一方で、無料プラグインも基本的な多言語対応の機能を利用できますが、高度な機能やサポートが制限される場合があるため、導入時には限定機能をよく確認するようにしましょう。
導入にあたっては、プラグインの評価やレビュー、アップデート頻度などを確認し、自社のサイトに最適な選択をするのがおすすめです。
言語ごとにWordPressをインストールする
WordPressで多言語サイトを制作するもう2つ目の方法は、展開したい言語の分だけデータベースごと別々にインストールする手法です。
これは、言語ごとに完全に独立したウェブサイトを構築するということになります。
例えば、英語版のサイトと日本語版のサイトを運営したい場合、それぞれに対応するデータベースを用意し、それぞれの言語に最適化されたWordPressをインストールします。
この方法の利点は、言語ごとにサーバーを分けることができるため、現地の土地にあるサーバーを選ぶことができる点です。
例えば、アメリカのサーバーで英語版サイトを運営することで、アメリカユーザーからのアクセス速度の向上を図ることができます。
ただ、言語ごとにウェブサイトを運営する必要があるため、コンテンツの更新やメンテナンス作業を各言語版で対応しなければなりません。
マルチサイト機能を利用する
WordPressを使用して多言語サイトを制作する際、「マルチサイト機能」を利用する方法もあります。
この機能を活用すると、1つのWordPressインストールとデータベースで複数のWebサイトを管理できるようになるため、複数の言語でコンテンツを提供したい場合におすすめです。
マルチサイト機能の大きなメリットの1つは、サーバー容量やドメイン費用の節約につながることです。
複数のサイトを同じインストールで管理できるため、それぞれのサイトに対して別々のホスティングプランやドメインを用意する必要がありません。これにより、運営コストを大幅に削減することが可能になります。
さらに、WordPressの本体やプラグインの更新が必要になった場合にも、マルチサイト機能を使えば、全サイトを一括でアップデートすることができます。
時間と労力を節約するだけでなく、セキュリティの面でも大きなメリットとなるでしょう。
ただ、1つのインストールで複数のサイトを運営するため、1つのサイトで生じたエラーや問題が他のすべてのサイトに影響を及ぼすリスクもあります。
すべてのサイトで問題が発生しないように、定期的なバックアップとセキュリティ対策を施すようにしましょう。
WordPressで多言語対応する前に確認すべきこと
WordPressで多言語対応する前に確認するべきことや注意点を紹介します。
まだ多言語展開の戦略が決まっていない場合は先に確認しておくとよいでしょう。
どのようなURL構造を採用するのか
多言語サイトでは言語ごとにどのようなURL構造にするのかも事前に決めておく必要があります。
言語別にサーバーを分ける (ccTLD)やディレクトリ単位で分けるなどの方法があり、SEOでの優位性や管理のしやすさなどの面からも選ぶべき方法がことなります。
ここでは、多言語化でよく採用されている4通りの構造を紹介します。
1. サブディレクトリ(パス)
サブディレクトリを使用する方法は、同一ドメイン内に異なる言語のコンテンツを配置する場合に使われます。
SEOの観点からも有利で、サイトの構造をシンプルに保てます。
例:
英語: https://example.com/en/
日本語: https://example.com/ja/
2. サブドメインを使用
続いては言語ごとにサブドメインを設定する方法です。
この方法は設定が比較的容易で、異なる言語のサイトを完全に分離することができますが、SEOの観点からはサブディレクトリ使用時ほど有利ではない場合(本体ドメインの影響をほとんど受けない)があります。
例:
英語: https://en.example.com/
日本語: https://ja.example.com/
3. 独立したトップレベルドメイン(TLD)を使用
各言語で完全に独立したトップレベルドメインを使用する方法です。
ブランドを地域ごとに強く打ち出したい場合に適していますが、コストが高くなることやSEOの効果を一から積み上げる点には注意が必要です。
例:
英語: https://example.com/
日本語: https://example.co.jp/
4. URLパラメータを使用
URLの末尾にパラメータを追加して言語を指定する方法です。
技術的に最も簡単に実装できますが、SEOの観点からはおすすめできない場合が多いです。
例:
英語: https://example.com/?lang=en
日本語: https://example.com/?lang=ja
英語や日本語など言語切り替えボタンを採用するか
WordPressで多言語対応サイトを構築する際、検討したいのが言語切り替えボタンの採用についてです。
英語や日本語など、複数の言語でコンテンツを提供したい場合、言語切り替えボタンはサイトの使いやすさを大きく向上させてくれます。
言語切り替えボタンの採用を検討する際の主なポイントは、サイトのコンテンツを異なる言語で読みたいと思うユーザーが存在するかどうかです。
例えば、主に日本語で提供されているコンテンツでも、国際的なトピックを扱っている場合や、外国人ユーザーが興味を持ちそうな内容であれば、英語版の提供も考慮するべきといえるでしょう。
逆に、特定の地域に特化した情報で、外国語を話すユーザーがほとんどアクセスしないと予想される場合は、言語切り替えボタンへの対応が必須ではないかもしれません。
言語切り替えボタンの採用にあたっては、サイトのデザインやユーザー体験を損なわないよう、ボタンの位置やデザインにも注意を払うことが重要です。
すべてのページで一貫した場所に言語切り替えボタンが表示されるようにすることで、ユーザーがいつでも簡単に言語を切り替えられるようになります。
言語ごとにページをかき分けるか
WordPressで多言語対応サイトを構築する際に重要な判断の1つが、コンテンツの言語展開方法です。
基本的には、「1記事複数言語型」と「1言語1記事型」の2つのアプローチにわけられます。
どちらの方法を選択するかは、サイトの内容、目的、そして管理のしやすさによって異なります。
1言語1記事型
「1言語1記事型」では、言語ごとに独立したページを作成する方法です。
1言語1記事型のメリットとして、言語に応じてコンテンツ(テキストや写真など)を最適化できる点にあります。
例えば、
- 文化的背景や地域的なコンテンツ
- 地域ごとの写真
- 言語特有の表現やジョーク
などを使用したい際に向いています。
また、ターゲットとする言語・地域に特化したキーワードを用いることで、SEOの観点からも高い評価を受けられるでしょう。
ただし、言語ごとにページを作成するため、コンテンツの更新や管理の手間が増えるというデメリットもあります。
1記事複数言語型
反対に、「1記事複数言語型」では、同一のページ内で複数の言語バージョンを管理する方法になります。
この方法の最大のメリットは、コンテンツの管理が容易になることです。
全言語のバージョンを1つのエントリで管理できるため、更新作業やメンテナンスの効率化ができるようになります。
ただ、言語によってコンテンツを大きく変更したい場合や、各言語でSEOを最適化したい場合には、やや柔軟性に欠けることもあります。
コストが予算内であるか
WordPressで多言語対応する際、どの多言語対応の手法を選ぶかによって、必要となるコストは大きく変わります。
例えば、自動翻訳プラグインを使用する方法は、プロの翻訳者による手動翻訳に比べてコストを大幅に抑えられます。
しかし、翻訳の質や、特定の業界に特化した内容の正確さを求める場合、プロやネイティブに依頼するような翻訳サービスの方が適しているかもしれません。
また、対応する言語の数もコストを考える上での1つの判断基準になります。
対応言語が多ければ多いほど、翻訳にかかる時間やコストは増加します。
特に、あまり一般的でない言語に対応しようとする場合、翻訳者を見つけるのが難しくなるでしょう。
そのため、戦略と予算を踏まえたうえで、選択する多言語対応の方法が適切かどうかを検討することが重要です。
WordPressで多言語サイトを制作するのにおすすめのプラグイン5選
ここからはWordPressで多言語サイトを制作するのにおすすめのプラグインを5つご紹介します。
タイプの異なるプラグインを厳選しているため、目的やメリットに合わせて選んでみてください。
Polylang
WordPressの多言語対応を検討している場合、強力で柔軟性のあるプラグインとして「Polylang」がおすすめです。
マルチサイト型のプラグインで、174言語に対応しているため、ほとんどのユーザーに向けてサイトを展開することが可能になります。
投稿ページや固定ページ、カテゴリーの多言語対応をスムーズに行えるだけでなく、ユーザーが簡単に言語を切り替えられるよう、サイト上に言語切替のスイッチボタンも簡単に設置できます。
注意したい点としては、Polylang自体には自動翻訳機能が含まれていないことです。
そのため、翻訳は手動で行う必要がありますが、記事の質を保つことができると考えれば、欠点とはなりにくいかもしれません。
ただ、自動翻訳を希望する場合は、Polylangと連携可能な自動翻訳ツール「Lingotek」を利用することもできます。
Lingotekを利用すれば、翻訳プロセスを自動化できるため、翻訳作業の負担を軽減しつつ、幅広い言語に対応したサイトを運営することも可能です。
Bogo
WordPressで多言語対応を検討している方々にとって、コスト効率良く手軽に始められるプラグインが必要です。そんな時にピッタリなのが「Bogo」です。
このプラグインは、非常に人気の高いお問い合わせフォームプラグイン「Contact Form 7」の開発者によって提供されており、その信頼性と実績は折り紙つきです。
Bogoは、各言語で1つの記事を作成し、それぞれ別の言語バージョンを管理する「1言語1記事型」を採用しています。
このシンプルな設計のおかげで、他のテーマやプラグインとの干渉リスクも低く、サイトの安定性を保ちやすくなっています。
特に、多くのプラグインやカスタムテーマを使用しているサイトでは、新しいプラグインを追加する際に互換性の問題が生じることがあるので、Bogoを使用することでそのリスクを軽減できます。
さらに、Bogoの最大の魅力は無料で利用できる点です。
予算が限られているスタートアップや小規模事業者、趣味で運営しているブログ等でも、費用の心配をせずに多言語対応を行うこともできるでしょう。
WPML
WordPressサイトを多言語化する際に高い人気を誇るWPMLは、その機能性と利便性で知られる有料の多言語プラグインです。
複数の言語バージョンを持つ単一の投稿やページを簡単に管理できる「1記事複数言語型」を採用しており、展開する言語が多いほどその恩施を受けられるでしょう。
またWPMLは40以上の言語に対応しており、ニーズに合わせた柔軟性も高いです。
利用者は
- Multilingual Blog $29
- Multilingual CMS $79
- Multilingual Agency $159
の3つのプランから選ぶことができ、企業の予算や必要性に合わせて選べるようになっています。
特に「Multilingual CMSプラン」以上では、ウィジェットやテーマの多言語化にも対応しており、複雑な多言語対応も簡単に実装可能です。
ただし、機能が豊富なゆえに他のプラグインやテーマとの干渉リスクを伴う場合があるため、特に複雑なサイト構成の場合は互換性に注意が必要です。
GTranslate
GTranslateは、Googleの強力な翻訳機能を使用するWordPress用多言語プラグインです。
このプラグインは無料版と有料版の2つのバージョンがあり、サイトの多言語対応を手軽に、かつ効率的に実現できるツールとして人気があります。
無料版のGTranslateは、「Google Language Translator」を利用した自動翻訳機能を利用するため、日本語コンテンツをそれぞれ言語にあわせてスピーディに翻訳できるメリットがあります。
無料版でも十分に多言語化の基本的なニーズを満たすことができるため、多言語対応を始めたばかりのウェブサイトや、小規模なプロジェクトには特におすすめです。
一方で、有料版のGTranslateは、深層学習を利用した高品質な翻訳機能を使用できることや、言語に合わせたURLの設定も可能となります。
これは、検索エンジン最適化(SEO)においても有利なため、各言語でのアクセス増加も期待できるでしょう。
MultilingualPress
Multilingual Pressは、WordPressサイトを多言語化するためのマルチサイト型プラグインです。
170以上の言語に対応しており、マイナーな言語にも対応しているため、一般的な言語だけでなく、ニッチな言語でのサイト運営を考えている方にとっては特におすすめの選択肢となります。
また、各サイトを個別に管理できるため、言語ごとに特有のニーズに応じた細やかな調整が行える点も大きなメリットです。
ただし、Multilingual Pressの設定や操作は基本的に英語で行われます。(日本語未対応)
そのため、設定画面やプラグインの操作インターフェイスが英語であることに抵抗感がある方にとっては、使用にあたって少しハードルが高いかもしれません。
英語に自信がない場合は、操作に慣れるまで時間がかかる可能性がありますので、この点を考慮する必要があります。
「MultilingualPress」WordPress公式ページ
WordPressの多言語対応に関するよくある質問
ここまでプラグインを中心としたWordPressの多言語対応について解説しましたが、いくつかプラグイン以外の疑問も残っている方もいるかもしれません。
ここからは、よくある質問について回答しますので、まだ疑問が解消されない方は一度確認してみましょう。
Q:WordPressの多言語化はテーマでも対応できる?
Answer)一部のテーマでは多言語にも対応しています。
プラグインほど高機能ではないものの、一元で管理できるため、管理の負担は少ないです。
サイトのデザインやレイアウトを各言語に変更可能できるものがありますが、記事の翻訳機能まで備わっているかどうかはチェックするようにしましょう。
Q:多言語はプラグインなしでも可能?
Answer)WordPressの多言語対応は必ずしもプラグインを使用する必要はありません。
マルチサイト機能や言語ごとのインストールをする方法であれば、プラグインなしでも実装が可能です。
しかし管理面で負担になる可能性もあるため、利点やコストなどから適切な方法を選ぶようにしましょう。
Q:hreflang(エイチレフラング)タグとは?
Answer)言語アノテーション(hreflang)は、ウェブページが特定の言語や地域向けであることを検索エンジンに示すためのHTMLマークアップです。
<link>タグのhreflang属性を使用して、同一のコンテンツの異なる言語バージョン間でリンクを設定します。
これにより、Googleをはじめとした検索エンジンがユーザーの言語や地域に最も適したウェブページを特定し、検索結果に表示することができます。
SEO戦略においても重要な要素となるため、必ず設定するようにしましょう。
まとめ:WordPressを多言語対応するならプラグインがおすすめ