人材派遣業界のSEO対策！重要性やトレンドなど詳しく解説
人材派遣業界は近年、労働市場において着実な成長を見せています。厚生労働省の『労働者派遣事業の令和３年６月１日現在の状況』によると、派遣労働者の数は約169万人に達し、前年比で8％の増加を記録しています。また、株式会社フロッグの『派遣系主要3媒体・求人レポート』では、派遣求人の掲載件数も増加を続けており、2022年3月の派遣求人掲載件数は前年同月比で154％に達したと報告されています。
こうした背景の中で、人材派遣会社が市場での競争力を維持し拡大するには、効果的なSEO対策が鍵を握っています。そこで、検索エンジン最適化をとおし、求職者と企業の両方に効果的にアピールする方法など解説します。
人材派遣業界におけるSEOの重要性
人材派遣業界では、適切なSEO対策が非常に重要です。インターネット上での自社の存在感を強化することで、企業と求職者の双方にとって最適なマッチングを促進することができるからです。ここでは、その詳しい内容について、データを踏まえお伝えします。
求職者を確保するため
求職者の確保は、人材派遣会社にとって最重要課題の1つです。では、人材派遣の求職者はどのような方法で仕事を探しているのでしょうか？
現在、もっとも利用されている方法はインターネットを通じたものです。実際に、エン派遣が2020年5月に実施した『仕事の探し方調査』によると、求職者の88%が求人情報サイトを利用し、48%が派遣会社のWEBサイトで仕事を探していることが判明しました。
このように、多くの人がインターネットを利用して人材派遣の仕事を求めているため、派遣会社はSEO対策を施し、求職者からの認知度を高める必要があります。
参考ページ:仕事の探し方（2020年5月調査）- エン派遣
クライアント企業に選んでもらうため
人材派遣会社にとって、求職者の確保と同様に重要な業務の1つがクライアント企業（就業先）の獲得です。クライアント企業を獲得する方法としては、地元の企業に直接営業をおこなうことも1つの手段ですが、近年ではクライアント企業自らが検索エンジンを活用して情報を収集するケースが増えています。
そのため、検索結果で自社のWEBサイトが上位に表示されると、クライアント企業からの認知度が高まり、獲得が容易になる可能性があります。このように、クライアント企業の獲得においても、SEO対策が大いに役立つのです。
人材派遣業界のSEO最新トレンド
ここでは人材派遣会社がSEO対策をする際、どのようなトレンドを踏まえてターゲットキーワードを選定すれば良いか、詳しく解説します。SEO対策はトレンドを踏まえて対策することで、より効果的に進めることができます。
新卒派遣
これまで人材派遣業界では、経験豊富な即戦力や専門性を持つ人材を中心に募集していました。しかし、近年、新卒者の間で派遣就労が1つの就職先として認知され始めています。これは、正社員としての働き方に不安を感じる新卒者が増えていることや、多様な職業経験を積みたいと考える若者が多いからです。
実際、厚生労働省の「若年者雇用実態調査」によると、大学などを卒業後1年以内に正社員以外で働く若者が全体の約24％を占めると報告されています。
最終学歴から1年間の状況
| 正社員として勤務 | 正社員として勤務していない | 不明
|
|
| 正社員以外の労働者 | 働いていない | ||
| 70.5％ | 24.0 | 4.5 | 1 |
これは、新卒派遣が確実に市場に定着していることを示しています。この背景を踏まえ、人材派遣会社のSEO対策には「新卒 派遣」「新卒 派遣 就労」「新卒 働き方」などのキーワードを軸に進めてください。
参考ページ:若年者雇用実態調査の概況 – 厚生労働省
シニア派遣
定年退職後のシニア層をターゲットにすることは、人材派遣業界において重要です。労働力不足と高齢者の労働意欲の高まりを受けて、シニア層は求職者確保のための重要なターゲットとなっているからです。
また、労働意欲のある高齢者には、フルタイムでの勤務が難しいという条件や、収入よりもやりがいを求めるニーズがあるため、人材派遣という働き方が適しています。こういった背景から、SEO対策として「シニア専門派遣」「シニアエキスパート派遣」「高齢者 就労」「シニア派遣」といったキーワードが効果的です。
専門職派遣
インターネットの普及や働き方の多様化によって、人材派遣業界に求められる人材の質が変化しています。特に、技術者やメディカル職などの専門職の派遣がトレンドとなっており、これらの分野では、育児などで退職した理系の専門家が再び労働市場に参入するケースが増えています。
こういったトレンドを踏まえたSEO対策として「専門職 派遣」「メディカル 再就職」「技術者 派遣」などのキーワードが有効です。これらのキーワードを軸にSEO対策を進め、多様なバックグラウンドを持つ専門職の人材を集めてください。
人材派遣業界のSEO対策
ここでは、人材派遣業のSEO対策についてお伝えします。人材派遣業を営んでいる場合、どれも欠かせない対策になるため、1日も早く対策を進めてください。
ページの種類に応じた対策
人材派遣業界のWEBサイトには通常、求職者向けの「データベース型ページ」と、面接の受け方や履歴書の書き方など、求職に関するさまざまな情報を提供する「コンテンツ型ページ」の2種類があります。
これら両方のタイプに合わせてSEO対策をおこなってください。データベース型ページは「今すぐ登録したい」と考えるコアなターゲット層にアプローチできるという特徴があります。SEO対策のポイントは、検索クエリに対してサイトの読み込み時間をできる限り短縮し、利便性を高めるなどのことが重要です。
また、コンテンツ型ページは「すぐには働きたくないが、興味や関心は持っている」というサブターゲット層にリーチを広げることが可能です。そこで、SEO対策としてはトレンドキーワードを踏まえ、独自性のあるコンテンツを作成・提供することです。
検索エンジンは時期によって、コンテンツページとデータベースページのどちらを重視するかが異なるため、両方とも均等に力を入れてください。
参考ページ:データベース型SEOとは？概要と改善方法を徹底解説
構造化データを設置
Googleしごと検索（Google for Jobs）に適した構造化データを設置することが重要です。構造化データとは、WEBページの内容を検索エンジンが理解しやすい形式でマークアップする技術で、特定の情報（人材派遣会社なら求人情報）を明確に定義し、整理するためのコードです。こうすることで、検索エンジンが自社のWEBページの内容を正確に把握し、求職者にとっても見つけやすくなります。構造化データの設置については専門的になるため、SEO会社などに相談するのが妥当です。
参考ページ:構造化データとは？メリット・デメリットやマークアップ方法を解説
MEO対策
MEO（Map Engine Optimization、マップ検索エンジン最適化）の取り組みも欠かせません。MEOとは、企業の地理的情報がGoogleマップなどで表示されるよう最適化することです。こうすることで、地域に特化した求職者への認知を高めることができます。具体的には、Googleマイビジネスへの登録をおこない、事業所の正確な住所や電話番号、営業時間などの情報を記載し、定期的にこれらの情報を更新することが必要です。
参考ページ:ローカルSEOとは？地域のSEO対策をするべきケースについて解説
人材派遣業界SEOのよくある質問
ここでは人材派遣会社がSEO対策をとる際、よく聞かれる質問をとりあげ詳しく解説します。できる限り分かりやすく回答しますので、より詳しい情報は参考ページを確認してください。
Q:適切なキーワードの選定方法は？
Answer）SEOのキーワード選定は、非常に重要です。事前に検索ボリュームのリサーチをおこない、特定のキーワードが一定期間にどれだけ検索されているかを確認してください。キーワードの人気度や関心の高さを把握したうえで、対策をとることが肝心です。ただし、検索ボリュームが大きければ良いというものではありません。そのようなキーワードは競争が激しくなりがちなため、簡単に上位表示させることができません。そのため、検索ボリュームが少ないキーワードに対しても対策をとることが肝心です。
参考ページ:検索ボリューム（Google検索数）の調べ方を解説
Q:SEOに取り組む前に準備すべきことは？
Answer）SEOは短期間で成果が見込めるものではなく、検索エンジンのアルゴリズムや市場の動向に適応しながら継続的に改善をおこなう必要があります。そのため、ターゲットとする求職者のニーズを十分に理解したうえで対策を進めてください。必要があれば、求職者に対してのインタビューなどもおこない、どのようなニーズや不満があるのかを確認することが肝心です。こういった求職者の理解を踏まえ、適切なキーワード選定とコンテンツ対策をおこないます。
参考ページ:SEOを実践する前に把握しておきたいことをSTEPにして解説
Q:人材派遣会社のサイト設計で注意すべきことは？
Answer）人材派遣会社のWEBサイトでSEOに取り組む際、データベース型ページとコンテンツ型ページの両方を適切に設計し最適化することが重要です。データベース型ページでは、求人情報を構造化データを用いて整理し、Googleしごと検索などで効果的に表示されるようにしてください。こうすることで、求人情報が検索エンジンに正確にインデックスされ、求職者にもリーチしやすくなります。一方、コンテンツ型ページでは、業界の動向やキャリアアドバイス、労働市場の分析など、派遣会社ならではの専門的なアドバイスを提供するようにしてください。
参考ページ:サイト設計とは？SEOに強いサイトに必要な要素と効果的なサイト設計を解説
Q:SEO対策会社に依頼するのはどうか？
Answer）SEO対策を専門の会社に依頼することには、多くの利点があります。まず、SEOは専門知識が必要な分野であり、常に変化する検索エンジンのアルゴリズムを学び続けることが求められます。こういった業務には通常、SEOに強い人材が必要ですが、専門会社に依頼すれば人材確保の心配がいりません。
また、人材派遣会社のWEBサイトは、求人情報のデータベースと役立つコンテンツを提供するページが混在しており、これらを適切に管理し最適化するためには、相応のマンパワーも必要です。そこで、人材派遣会社がSEO対策会社に依頼することは適切な方法の1つといえます。
参考ページ:SEO会社を目的別でご紹介！選び方のポイントや注意点も解説
Q:SEOの数値目標は？
Answer）まず、どのような指標を数値目標として設定すべきか検討してください。一般的には、キーワードごとの順位やユニークユーザー数、コンバージョン数（人材派遣であれば登録数）などを設定することが多いです。また、コンテンツ型の記事がまだ十分揃っていない場合は、そのコンテンツ記事の作成数を指標にすることもできます。自社の状況により、何を指標にするべきかは異なりますが、数値目標は非常に重要なため、できればSEOコンサルタントなどに事前に相談することが得策です。
参考ページ:SEOの数値目標を設計する方法！具体的な手順や使用する指標など解説
Q:人材派遣会社としての専門性を記事で出すには？
Answer）コンテンツを作成する際、専門性や独自性を出した記事を公開することは非常に重要です。具体的には、一次情報を公開するようにしてください。例えば、自社に登録してくれている求職者を中心にアンケートなどを実施し、その結果を公開するなどが考えられます。
参考ページ:一次情報とは？獲得するポイントや具体的な事例を解説
まとめ
今回は人材派遣業界におけるSEO対策について解説しました。急速に変化する労働市場の中で競争力を保ち、成長を続けるには、SEO対策に1日も早く取り組むことが肝心です。具体的な対策としては、データベース型とコンテンツ型のそれぞれの特徴を踏まえページを最適化し、構造化データを活用しインターネットでの存在感を高めてください。また、今回お伝えしたトレンドキーワードを軸にコンテンツSEOに取り組むことも重要です。これは短期の取り組みでは無理があるため、中長期的な視点で計画的に進めてください。SEO対策が適切におこなわれれば、求職者と企業の両方に対して自社のサービスを効果的にアピールすることができます。今回の記事が、そのお役に立てれば幸いです。
この記事の監修者
日本大学法学部卒業、広告代理店で12年間働いている間、SEOと出会い、SEO草創期からSEO研究を始める。SEOを独学で研究し100以上のサイトで実験と検証を繰り返しました。そのノウハウを元に起業し現在、11期目。営業、SEOコンサル、WEB解析（Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持）コーディング、サイト制作となんでもこなす。会社としては今まで2000以上のサイトのSEO対策を手掛けてきました。
