データベース型SEOとは?SEOとの違いや注意点を解説
ECサイトや求人サイトに代表される、データベース型サイトでは、一般的なSEO施策を適用しようとしても、なかなかうまくいきません。
こうしたときは、データベース型サイトに合わせた、データベース型SEOを採用する必要があります。

データベース型SEOとは
データベース型SEOとは、データベース型サイト向けSEO施策のことです。
昨今のSEOでは、検索意図を見極めて、ページコンテンツの品質を高めることが重要とされています。しかし、データベース型SEOでは、ページテンプレートや内部リンクといった、WEBサイト全体に関わる修正に重きをおいて作業していく点が特徴です。
データベース型サイトとは
そもそも、データベース型サイト(DB型サイト)とは、データベースの情報をもとに、WEBページを自動で生成するWEBサイトのことです。具体的には、下記のようなサイトが該当します。
ジャンル | DB型サイトの例 | インデックス数 |
---|---|---|
ECサイト | Amazon | 55,400,000(※co.jpのみ) |
求人サイト | タウンワーク | 13,200,000 |
グルメサイト | 食べログ | 68,700,000 |
不動産サイト | SUUMO | 17,100,000 |
料理レシピサイト | COOKPAD | 72,300,000 |
データベース型サイトでは、1つのページテンプレートをメインコンテンツに流用していますので、大半のページが同じページ構成になっています。さらに、データベースを基にページを自動生成するという特性柄、大量のページがGoogle検索エンジンに登録されています。
データベース型SEOの注意点
データベース型SEOを実施するうえでは、下記のような注意点があります。
- ページごとのコンテンツ強化施策は優先度が低い
- 高度なWEB知識が求められる
ページごとのコンテンツ強化施策は優先度が低い
昨今では、コンテンツSEOの重要性が叫ばれています。ただし、データベース型サイトの性質上、個々のページに対するコンテンツの強化は、作業として優先度が低めです。
厳密にいうと、データベース型サイトでは、ページテンプレといった全体に影響を及ぼす改修が重要です。そのため、コラム記事や読み物記事といったコンテンツに力を入れる必要性は薄いということです。
関連記事:コンテンツSEOとは
高度なWEB知識が求められる
一般的な情報サイトなどと比較して、データベース型サイトの構築やSEO対策には、高度な知識が求められます。データベース型SEOを施すためには、下記のようなスキルが不可欠です。
- サイト構成を組み立てる力
- ページ構成を組み立てる力
- データ分析
- HTMLやCSSのマークアップ
- プログラミング知識
とりわけ、データベース型サイトの仕様上、プログラミング知識がとても重宝されます。
データベース型SEOでチェックすべきプロセス
データベース型サイトを改善するためには、WEBページがGoogle検索エンジンに登録されるプロセスを分解して、各々フローで課題を抱えているか否かをチェックすることが必要です。
そして、こうした課題解決の手法をファネル分析などと呼びます。ファネル分析の観点からみると、WEBページがインデックスされるまでの工程を下記のように切り分けられます。
- クロールされているか
- インデックスされているか
- PLPがインデックスされているか
- 目標の検索順位を獲得しているか
クロールされているか
Google検索エンジンは、世界中のWEBページをチェックして「どのページを検索エンジンに登録するか」を常に考えています。そして、このようにWEBページをチェックする作業をクロールと呼びます。
WEBページは、クロールされてはじめてGoogle検索エンジンに登録される可能性が発生します。そもそも、WEBページがクロールされない状況が続くということは、ページ側がなにかしらの問題を抱えている可能性があります。
クロール状況を確認する方法
Google Search Console(サーチコンソール)という解析ツールを利用することで、WEBページがクロールされているか否かがわかります。このツールにログインすると、メニュー「インデックス登録」の「ページ」という項目からクロール状況を確認できます。
サーチコンソールは、Google社が無料で提供しているツールです。WEBサイトの運用者であれば、誰でも簡単に導入できます。まだサーチコンソールを利用していない方は、下記の記事をチェックしてください。
関連記事:Google Search Consoleとは?グーグルサーチコンソールの導入方法と使い方を解説
インデックスされているか
クロールされると、「登録する価値があるページかどうか」をGoogle検索エンジンが判断します。通常は、問題なくインデックス(登録)されます。仮に、WEBページがインデックスされない場合は、該当ページになにかしらの問題があると予測されます。
関連記事:インデックスとは
インデックス状況を確認する方法
インデックス状況は、クロール状況と同様に、サーチコンソールで確認できます。サーチコンソールにログイン後に、メニュー「インデックス登録」の「ページ」という項目をチェックしてください。
PLPがインデックスされているか
PLP(Preferred Landing Page)は、優先ランディングページと訳されます。つまり、サイト運用者が「どのページを検索結果に表示させたいか」を指します。
関連記事:PLPとは
たとえば、ECサイトを運営してたとします。そのサイト内には、「メガネのリストページ」と「伊達メガネのリストページ」の2つのページがあります。そして、サイト運用者としては、「メガネのリストページ」のほうを検索結果に表示させたいと考えています。しかし、Google検索エンジンで「メガネ」と検索したときに、「伊達メガネのリストページ」が検索結果に出てきます。
この現象をキーワードカニバリゼーションと呼びます。要するに、キーワードカニバリゼーションの発生率が高いほど、対策すべきということになります。
PLPのインデックス状況を確認する方法
まず、データベース型サイト用に、PLPの一覧表が必要です。そして、ピックアップしたPLPのうち、どのくらいの割合でインデックスされているかをチェックしてください。この割合が極端に低い場合は、WEBサイトがなにかしらの課題を抱えている可能性があります。
目標の検索順位を獲得しているか
WEBページがGoogle検索エンジンにインデックスされると、キーワードの検索結果にページが表示されるようになります。このとき、ページの検索順位も決まります。ページの検索順位によって、検索エンジンから獲得するアクセス流入に大きな差が生じます。
ですので、検索順位の目標と現状の順位が大きく乖離しているようならば、改善施策が必要となります。
検索順位を確認する方法
検索順位の計測ツールを利用すると、自サイト内でインデックスされたページの検索順位を把握できます。ツールには、無料のものから有料のものまで、さまざまありますので運用環境にあったものを選択してください。
関連記事:SEOランキングとは?検索順位の調べ方とおすすめチェックツールをご紹介
このとき、ページ単体の検索順位だけでなく、ページテンプレートごと、カテゴリごとといった具合に、サイト全体の傾向を把握するようにしてください。
データベース型SEOにおける改善の進め方
データベース型サイトを改善していくうえで、下記の4つのプロセスのなかから、課題を抱えている部分を抽出することが大切です。
- クロール状況
- インデックス状況
- PLPのインデックス状況
- 検索順位
そして、改修の着手時には、ボトルネックになっている部分を優先してください。ボトルネックとなっているプロセスを優先して改修することで、データベース型サイトとしてのCVR(コンバージョン率)が向上しやすくなります。つまり、改修作業における費用対効果が高くなります。
関連記事:CVRとは
クロールされないときの改善方法
WEBページがクロールされない理由としては、下記のような原因が考えられます。
- サイトに対するクロールバジェットが低い
- 不要なページが多い
- ページに対する導線が少ない
サイトに対するクロールバジェットが低い
それぞれのWEBサイトには、クロールされる回数や頻度に上限値が定められています。そして、このことをクロールバジェットといいます。
関連記事:クロールバジェットとは
クロールバジェットが低く設定されているWEBサイトは、「クロールの優先度が低いサイト」とGoogle検索エンジンに評価されています。その理由は、WEBサイトの品質が低いためです。そこで、WEBサイト自体の品質を高めて、Googleによる評価を上げる必要があります。
具体的には、下記のような対策をしてください。
このうち、後者の3つの指標をコアウェブバイタル(Core Web Vitals)と呼び、検索エンジンの検索結果を決める1つの要因となっています。
それぞれの対策方法は、下記リンク先のページで詳しく解説しています。
不要なページが多い
データベース型サイトでは、大量のページ数が生成されます。そのため、不要なページが増えがちです。
不要なページが多いと、クロールバジェットの都合で、本当にインデックスしたいページがクロールされないといったケースが起こります。そこで、下記のような改善施策が求められてきます。
- サイト構成を見直し、不要ページを減らす
- txtを使用して、不要ページに対するクロールを制限する
前者は、WEBサイトにとって、不要なページを探して削除する作業です。ただし、一見不要なページでも、サイトの目的となるコンバージョン(商品購入など)に影響を与えているケースもあります。サイト構成を見直す際は、アクセス解析などを用いて慎重に判断してください。
後者のrobots.txtとは、クロールを管理するためのテキストファイルのことです。robots.txtの書き方については、下記リンク先のページを参考にしてください。
関連記事:robots.txtとは?設定する目的や具体的な書き方を解説
ページに対する導線が少ない
そもそも、ページに対する導線が少ないと、Googleがページを発見できない可能性があります。そこで、下記のような手法を用いて、Googleに対してページの存在をアピールしてください。
このうち、被リンクと内部リンクは、サイト品質にもかかわる重要な項目ですので、必ず対応してください。
また、XMLサイトマップとは、Googleにサイトの全体像を伝えるためのテキストファイルのことです。このファイルをGoogleに送信することで、ページの存在を認知させられます。
関連記事:サイトマップとは?作成方法やSEO効果について解説
さらに、サーチコンソールを使うと、Googleにクロールのリクエストを出せます。ただし、複数回にわたりリクエストを出す必要がないことと、リクエストを出したからといって必ずクロールされるとは限らないことに注意してください。
関連記事:Googleクロールをリクエストする手法とは?クロール申請のやり方を解説
インデックスされないときの改善方法
WEBページがインデックスされない理由としては、次のようなケースが挙げられます。
- noindex指定されている
- ページ品質が低い
noindex指定されている
noindexとは、ページのインデックスを拒否する指示のことです。そのため、noindex指定している場合は、noindexを外す必要があります。noindexの設定方法に関しては、下記リンク先の記事で詳しく説明していますので、参考にしてください。
関連記事:noindexとは?nofollowとの違いとSEO効果を解説
ページ品質が低い
ページ品質が低いと、クロールされたとしても「インデックスする価値がない」とGoogleに判断されがちです。そのため、ページ品質を高める必要があります。
ただし、データベース型サイトでは、ページ単位のコンテンツ改修方法が少々特殊です。実施したい点としては、ページ間の要素の重複率を下げることが挙げられます。そのために、下記のような改善策を取り入れてください。
- ページテンプレを見直す
- リストページの生成方法を細かく設定する
データベース型サイトの場合、ページテンプレがメインコンテンツに反映されます。そのため、ページテンプレを改良して、広範囲にわたるページの品質を高めていきます。
さらに、リストページを改良していきます。次のように工夫を施して、リストページ間の重複要素を減らしてください。
リストページ間の差別化を図る方法 |
・リストページに表示されるリンク数を増やす
・リストページの種類ごとに、表示するサイドコンテンツを変える |
また、ページ品質を高めるためには、コアウェブバイタルを改修する施策も効果的です。
関連記事:コアウェブバイタル(Core Web Vitals)とは?SEOへの影響と改善方法
PLPがインデックスされないときの改善方法
優先してインデックスしたいページが検索結果に反映されないケースがあります。そんなときは、下記のような原因が考えられます。
- キーワードとページテーマが一致していない
- キーワードカニバリズムが発生している
キーワードとページテーマが一致していない
狙うキーワードに対して、ページテーマの一致性が低いと、インデックスされにくくなります。そこで、ページ内容をキーワードに近づけることが求められます。具体的な手法としては、下記のような対策候補があります。
- タイトルタグを修正する
- descriptionを修正する
- ページテンプレを見直す
- ページごとによってサイドコンテンツを変更する
このうち、タイトルタグとdescriptionはメタタグと呼ばれる領域に含まれます。とくに、タイトルタグは、SEO上でも最高峰に重要ですので、不備があるようならば必ず改修する必要があります。それぞれ、詳細は下記リンク先の記事でチェックしてください。
キーワードカニバリズムが発生している
キーワードカニバリズムとは、同じようなテーマのページを複数作ることで、ページ評価が分散されている状況を指します。このとき、サイト運営者にとって、優先してインデックスしたいページが検索結果に表示されないといったアクシデントに見舞われます。
そこで、PLPの評価を上げるために、下記のような施策を進めてください。
- PLPに内部リンクを集める
- PLPとキーワードカニバリズムを起こしているページを統合する
関連記事:内部リンクとは?SEO強化のための内部リンクのポイント
後者に関しては、PLPに対して競合しているページを削除するか、リダイレクト設定して転送するといった方法があります。この場合のリダイレクトとは、競合ページからPLPにアクセスを移動させることを指します。サイト訪問者やGoogleが競合ページをチェックしたとすると、自動でPLPへ強制移動させることが可能です。
リダイレクトの詳細に関しては、下記のリンク先ページを参考にしてください。
関連記事:302リダイレクトとは?301リダイレクトとの違いやSEOとの関係など
検索順位の改善方法
インデックスされたページが検索順位で目標値に達しない場合は、競合サイトと比較して、自社サイトが下記のような状況にあると想定されます。
- ドメインパワーが弱い
- ページ品質が低い
ドメインパワーが弱い
Googleは、WEBサイトのドメインに対して、それぞれ評価を下しています。そして、この評価のことをドメインパワーと呼びます。ドメインパワーが高いほど、WEBサイト内のページが上位表示されやすくなります。
関連記事:ドメインパワーとは
その一方で、ドメインパワーが競合に劣っていると、ページを上位表示するための難易度が大きく上がります。そのため、次のようなドメイン強化の施策を進めてください。
- 被リンクを増やす
- E-E-A-Tを反映する
- 指名検索を狙う
ただし、現実的には、ドメインパワーを一朝一夕の施策で強化することは極めて困難です。コツコツと良質なコンテンツを作成して、実績を積み上げていくことが大切です。そして、ドメインの権威性を高めていってください。それぞれの施策に関しては、下記リンク先のページを参考にしてください。
ページ品質が低い
ページ自体の品質が競合ページに劣っていると、上位表示の実現が困難です。そこで、データベース型サイトならではの品質アップ施策として、ページテンプレートの見直しを進めてください。具体的には、ページテンプレート内にて、下記の部分を修正します。
- 競合サイトにあって自サイトにない要素を追加する
- 競合にはない、オリジナル要素を追加する
SEOでは、原則として、コンテンツの網羅性が問われます。そのため、自サイトに不足している要素を補いつつ、オリジナル要素を加えていくと、ページの価値や評価が高まります。
ページテンプレートの強化方法
ページテンプレートを見直すにあたり、強化すべき要素は、次の3つです。
- メタタグ
- メインコンテンツ
- サイドコンテンツ
メタタグの強化
メタタグ(meta tag)とは、HTMLのheadタグ内に記述されるソースコードのことです。メタタグには、下記のような要素があります。
- タイトルタグ(title tag)
- ディスクリプション(description)
Amazonの商品ページ を例に出すと、メタタグは次のように設定されています。
メタタグ | 設定内容 |
---|---|
タイトル | 東京SEOメーカー2023年最新SEO対策完全ガイド | 天野 剛志 | 起業 | Kindleストア | Amazon |
ディスクリプション | Amazonで天野 剛志の東京SEOメーカー2023年最新SEO対策完全ガイド。アマゾンならポイント還元本が多数。一度購入いただいた電子書籍は、KindleおよびFire端末、スマートフォンやタブレットなど、様々な端末でもお楽しみいただけます。 |
メタタグは、このとおり、ページタイトルといった重要な要素を司ります。ページタイトルとメインコンテンツの内容が一致していない場合は、最適な文言に修正する必要があります。
関連記事:メタタグとは? SEO対策に欠かせないmetaタグの種類とポイントを解説
メインコンテンツの強化
メインコンテンツとは、ページのメイン情報のことです。この部分は、ページごとに異なるデータが表示されます。
引用:Amazon
画像のページを例にすると、下記のような要素がメインコンテンツ内に組み込まれています。
- 見出し
- 画像データ
- 商品の説明文
- 商品のスペック
- 商品の登録情報
- 商品のレビュー
メインコンテンツには、ページテーマを網羅する要素を入れるべきです。そのため、競合サイトのメインコンテンツにあって、自サイトにはない要素を追加してください。さらに、オリジナルとなりうる要素を入れると盤石です。たとえば、Amazonにおいては、豊富なカスタマーレビューが唯一無二の強みとなっています。
サイドコンテンツの強化
メインコンテンツとは、メインコンテンツを補完する情報のことです。この部分は、異なるページでも、同じ要素が組み込まれます。
引用:Amazon
ここには、主に、サイトの内部リンクが採用されます。ECサイトに限っていうと、「この商品の購入者は○○にも興味があります」といった具合に、関連商品をピックアップするケースが一般的な手法です。こうすることで、サイト内の回遊率を高める狙いがあります。
このように、サイドコンテンツとしての効果を高めるためにも、ページごとに最適な内部リンクが表示されるように設定してください。
データベース型SEOのよくある質問
データベース型SEOについて、よくある質問をFAQ形式でご紹介しています。
Q:データベース型サイトと一般のWEBサイトの違いは?
Answer)データベース型サイトでは、データベースを利用して自動でWEBページが生成されます。
データベース型サイトは、あくまでデータを情報として提供することを目的としています。そのため、ニュースサイトや情報サイトのように、読み物記事やコラム記事といったものを重視していません。
Q:データベース型サイトとは具体的にどのようなものですか?
Answer)代表的なものとしては、ECサイトや求人サイトが挙げられます。
このほかにも、下記のようなものがあります。
- グルメサイト
- 不動産サイト
- 料理レシピサイト
- FAQサイト
- Wikiサイト
Q:データベース型SEOと一般的なSEOの違いは?
Answer)データベース型SEOでは、全体的な改良作業がメインとなります。
昨今では、コンテンツSEOの重要性が叫ばれています。コンテンツSEOでは、検索意図を見極めて、より高品質な記事などのコンテンツを提供することが大切です。データベース型SEOでは、個々のページを1つずつ改修したりリライトすることを重視していません。
まとめ
