ECストアとは？市場規模や運営業務、事例などを詳しく解説
ECストアは今や日常生活に欠かせない存在です。しかし、その運営業務にはどのようなものが含まれるのか、そして市場規模は今後、拡大する見込みがあるのかといった疑問もあるのではないでしょうか。
そこで今回は、ECストアがどういったものなのかその基本事項から、注目すべき成功事例まで詳細を解説します。
目次
ECストアとは？
ECストア（Electronic Commerce Store）とは、インターネットを利用して商品やサービスを販売するオンラインプラットフォーム全般を指します。顧客はWEBサイトを通じて商品を閲覧したり購入することが可能です。
また、ECストアは多様な形で存在します。具体的には、専門店や大規模マーケットプレイスなどが挙げられますが、どのECストアも便利さや効率性、独自のショッピング体験を提供し、コンバージョンに結びつけることを目的としています。
参考ページ: What is ecommerce? – Amazon
ECストアの市場規模
ECストアの市場規模は、インターネットが浸透するにつれて急速に拡大しています。海外市場へのアクセスも容易であり、24時間365日営業が可能という強みが主な要因です。一方で競争も激化していますが、ここではECストアの市場規模や今後の展望について解説します。
日本市場
令和3年における日本のBtoC（消費者向けEC）市場規模は20.7兆円に達し、前年比で7.35%の増加をしています。同様に、BtoB（企業向けのEC）市場も372.7兆円と、前年比で11.3%の増加です。これは新型コロナウイルスの影響もあり、多くの消費者がオンラインショッピングに移行した結果が主な要因といえます。
また、EC化率(業界ごとのEC普及度)はBtoCで8.78%、BtoBで35.6%と着実に市場が発展しています。物販では「食品、飲料、酒類」、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」、「衣類・服装雑貨等」、「生活雑貨、家具、インテリア」の4カテゴリーが市場規模として多くを占めています。
一方、サービス系は「旅行サービス」が1兆4,003億円と大きな割合を占めていますが、新型コロナウイルスの影響で前年比は縮小しています。
全体で見ると、日本のEC市場は大きく成長しており、今後も環境変化に柔軟に対応することができれば、成長が続くものと思われます。
参考ページ: 電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました – 経済産業省
世界市場
2022年のEC世界市場は16.6兆ドルに達したと報告されています。IMARC Groupの予測によれば、2023年から2028年までの期間で年平均成長率が27.4%になると推定されており、2028年にはその規模が70.9兆ドルに拡大する可能性が高いです。
この急成長の背後にはデジタル環境が整ったことが挙げられます。具体的には、ECプラットフォームが充実してきたことに加え、信頼性の高いデジタル決済手段の登場があります。こういった環境が整ったことで、企業は物理的な店舗を持たなくても、国際市場へ簡単に進出できるようになり、今後もEC市場は更に拡大すると考えられます。
参考ページ: E-commerce Market Size, Share, Trends, Analysis Report 2023-2028 – IMARC Group
ECストアの種類
ECストアの形はさまざまで、製品の種類や販売方法、ターゲット顧客などによって変わります。そこでここでは、ECストアの種類を整理してお伝えします。
単店舗型
単店舗型のECストアとは、自社の商品を販売する目的で独自に構築したオンラインストアを指します。このタイプのECストアは、企業や個人が自身でWEBサイトを設計・運営し、顧客対応なども独自におこないます。
単店舗型のECストアでは、自社商品のブランドイメージや販売戦略を自由に設定できるのが特徴です。顧客データも自社で管理するため、マーケティングやプロモーションもしやすく、顧客との直接的なコミュニケーションをとることができます。
ただし、運営には専門的なスキルが必要なこと、そして知名度が低い場合は集客が難しいなどの課題があります。
BtoB型
BtoB（Business-to-Business）型のECストアとは、企業間で商品やサービスの取引がおこなわれるオンラインストアを指します。従来の対面での取引や電話・FAXによる注文などとは異なり、インターネットを介して効率よく取引がおこなわれます。
BtoB型のECストアの特徴としては、取引が専門的かつ大規模であることが多いです。商品やサービスの仕様、価格、納期などを顧客ごとにカスタマイズする必要があるため、多機能なECストアを構築しなければいけません。さらに、顧客と長期的な関係性をつくるためのアフターサービスや、複雑な契約条件にも対応することが必要です。
オムニチャネル型
オムニチャネル型のECストアは、実店舗とオンラインの両方を持ち、顧客にスムーズなな購買体験を提供します。例えば、顧客は実店舗で商品を見て、その後オンラインで購入できるといったことです。
一元管理された在庫情報や顧客情報に基づいて各チャネルが連携を取り、顧客はどのチャネルにアクセスしても一貫したサービスを受けことができます。ただし、これらのシステムを効率よく運用するには、高度な機能をもったECストアとその運用ノウハウが必要です。
ショッピングモール型
ショッピングモール型のECストアとは、1つの大規模ECサイト内に複数の店舗を持つ形を指します。具体的には、Amazonや楽天市場などが挙げられます。
ショッピングモール型ECストアの最大の特徴は、自社が独自に集客やマーケティングをおこなう必要がなく、商品の販売にだけ注力すれば良い点です。また、顧客にとっても1つのサイトで複数の商品を購入できるため、利便性が高いです。
越境型
越境型のECストアとは、他の国々に商品やサービスを販売するオンラインストアのことです。このタイプのECストアは、国内市場だけでなく海外市場へも積極的に進出し、マーケティングも地域に特化した手法をとることが多いです。通貨や言語、さらには税制や輸送手段まで多様な要素を考慮する必要があるため、高いマーケティングスキルが必要です。
ECストア構築方法
ECストアを構築するには複数の方法があります。自社のニーズや予算に合わせて適切な方法を選択してください。ここでは、ECストアの構築方法について解説します。
フルスクラッチ
フルスクラッチとは、プログラミング言語を使って、ゼロからオリジナルのECストアを作成することです。既存のCMS（コンテンツマネジメントシステム）などを使用せず、すべての機能やデザインをいちから作成するため、専門的な知識とスキルが必要です。
フルスクラッチの最大の特徴は、自由度の高さです。既存のテンプレートや機能に縛られず、自由にカスタマイズできます。しかし、開発には時間とコストがかかりますし、セキュリティやメンテナンスも自社で対応する必要があります。
オープンソース
オープンソースとは、プログラムのソースコードが公開されているソフトウェアを指します。このソフトウェアを用いてECストアを構築します。具体的には、EC-CubeやWooCommerceなどが有名です。ソースコードが公開されているため、ある程度自社でカスタマイズや機能追加が可能です。
参考ページ: EC-CUBE(イーシーキューブ)とは？導入メリットや料金プラン、評判を解説
ASP
ASP（Application Service Provider）とは、ECサイト運用に必要なソフトウェアをインターネット経由で提供するサービスのことです。通常、ショッピングカートや決済システムなど、運用に必要なものがパッケージとして用意されているので、プログラミングやサーバー管理をすることなく、短期間でECストアを立ち上げることができます。
ASPの最大の特徴は、初期投資や運用に必要なスキルが少なくて済む点です。アップデートやセキュリティ対策もASP側で行われるため、自社で独自の対策をとる必要もありません。ただし、ECストアに高度なカスタマイズを施すことは難しい場合が多いです。
モール
モールとは、多数のオンラインショップが集まっている大規模なECサイトのことを指します。代表的なものとしては、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどがあります。独自のWEBサイトを構築するのではなく、既存の大手モールに出店する形になるため、短期間でECストアを立ち上げることができます。
モールを利用するメリットは、すでに多くの顧客が訪れるプラットフォームであるため、自社で集客する必要がない点です。その他、ショッピングモール自体が決済システムやカスタマーサポートなどを提供してくれるのも利点です。
一方で、販売手数料がかかること、競合店と同じ場所で販売することになるため独自性が出しにくいといったデメリットもあります。
参考ページ: ECモールとは？3つの種類や導入するメリットを徹底解説
ECストアの運営業務
ECストアの運営業務には、商品選定から在庫管理、デザイン、注文処理など複数存在します。そこでここでは、その業務内容を種類ごとに分類し解説します。
商品選定・仕入れ
商品選定と仕入れは、ECストア運営の基盤です。商品選定ではターゲットとする顧客層のニーズやトレンドなどを考慮しながら、販売する商品を決定します。例えば、環境意識が高まっているので、エコな商品を提供するなどのことが考えられます。
また、仕入れ先の選定も重要です。品質保証、価格、納期などの交渉をおこない、もっとも効率的かつ信頼性の高い仕入れ先を選ぶようにしてください。
在庫管理
在庫管理はECストア運営のキャッシュフローに影響します。適切な在庫管理がなされていないと、商品が過剰にストックされキャッシュフローが悪化します。
一方で、在庫が不足すると顧客満足度が低下し、販売機会を逃すことにつながります。ECストアが備えている在庫管理システムをうまく活用する必要があります。
注文処理・配送管理
注文処理と配送管理は、ECストアの顧客体験に直接影響を与える業務です。顧客が商品をカートに入れて注文するところから、その商品が顧客の手元に届くまでの一連の流れを効率的に管理する必要があります。
注文の受付では、顧客からの注文情報を確実に受け取り、在庫状況をリアルタイムで確認することに注意してください。在庫がある場合は、すぐに注文処理に移行し、商品のピッキング、梱包、出荷の手続きを進めます。
WEBマーケティング
ECストアで新規顧客開拓やコンバージョン向上を実現するために、WEBマーケティングは必要不可欠です。
例えば、SEO（検索エンジン最適化）に取り組み、検索エンジンでのランキングを高めるなどの施策があります。また、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアを活用して、ターゲットとなる顧客にリーチするなどのことも挙げられます。
参考ページ: SEOとは？SEO対策完全ガイド～上位表示の基本とテクニックを徹底解説～
ECストアの事例と成功ポイント
ここではECストアの成功例を紹介し、各ケースの成功ポイントを解説します。事例から学べぶことで、自社のECサイト立ち上げに役立ててください。
Amazon
参考ページ: Amazon
Amazonは、アメリカ合衆国に本社をおく世界最大のECストアです。1994年にジェフ・ベゾスによって創業されました。当初はオンライン書店としてスタートしましたが、現在では家電、衣料品、食品など幅広い商品カテゴリーを取り扱っています。
AmazonのECストアとしての最大の特徴は、その膨大な商品ラインナップと利便性です。多くのサードパーティ(第三者)が出店しており、商品の選択肢が豊富です。また、物販だけでなく、サブスクリプションとしてAmazon Prime会員権を販売しており、収益の安定化に貢献しています。
ユニクロ
参考ページ: ユニクロ
ユニクロは、日本発のアパレルブランドで、1963年に山口県に「小売店オゴリ」として設立されました。その後、社名を「ユニクロ」に変更し、国内外で急速に拡大しています。ユニクロは高品質で機能的、かつ手頃な価格で衣類を提供しており、全世界で多くの支持を集めています。
ユニクロのECストアは、店舗と連携したオムニチャネル型です。商品が作られてから顧客に届くまでの独自運送システムを構築し、商品の在庫状況をリアルタイムで確認できるよう工夫しています。
また、新しい試みとしてオンラインの試着サービスや、アプリを通じた限定商品の販売、オンラインとオフラインの購買履歴を統合したマーケティングなどに取り組んでいます。
ECストアの課題
ECストア市場が急速な成長を遂げる一方で、運営にはいくつかの課題が存在します。そこでここでは、これらの課題をを整理し、解決のアプローチやヒントをお伝えします。
集客と顧客維持
顧客獲得と維持は重要な課題です。新規顧客を獲得するには、効果的なマーケティング戦略や広告が必要ですが、これには高いコストがかかります。一方で、既存顧客を維持するには、優れた製品やサービスはもちろん、カスタマーサポートやポイント発行などの施策なども考慮する必要があります。
集客と顧客維持の両方が重要ですが、これらのバランスをとった運用は非常に難しいです。東京SEOメーカーとしては、解決のアプローチとして、最初は顧客維持に力をいれることをおすすめします。新規顧客の獲得コストは既存顧客を維持するコストよりも通常高いため、顧客維持に力をいれる方が全体的な収益を高めやすいためです。
価格競争
価格競争は、多くのECストアが直面する課題です。顧客が簡単に価格を比較できるオンライン環境では、価格競争は避けられません。価格競争に巻き込まれると、しばしば利益率の低下を招きます。
東京SEOメーカーが考える価格競争への対処方法は、付加価値を提供するというものです。例えば、高い顧客サービス、迅速な配送、優れた製品品質などで自社のファンを築くことです。また、限定版やバンドル販売などで販売価格を高め、利益を確保する手法も有効だと考えています。
物流・配送
配送が遅延したり、配送費用が高額だと、顧客満足度が低下することがあります。物流や配送のコストが高ければ、顧客のリピート購入や長期的なロイヤリティにも影響します。
この課題を解決するには、配送オプションを複数用意する方法が良いと東京SEOメーカーでは考えています。
というのも、顧客が自分に適した配送方法を選べることで、もっとも理想的なサービスを顧客が享受できるからです。たとえば、急ぎでない場合は低料金の配送オプション、急いでいる場合は高速配送などを特別料金で提供するなどのことが考えられます。
ECストアのよくある質問
ここではECストアについて、当社に寄せられる質問の中から代表的なものを取りあげて解説します。
Q:運営するには法的な義務がありますか？
Answer）ECストアを運営する際にはいくつかの法的な義務があります。主な義務としては、プライバシーポリシー、利用規約の設定、税金と請求に関するガイドラインなどがあります。これらの方針は、ユーザーとの取引がスムーズにおこなうためだけでなく、法的トラブルを防ぐためにも重要です。
Q:競合と同じ商品を販売する場合、どう差別化すれば？
Answer）競合と同じ商品を販売する場合、差別化は非常に重要です。
商品自体ではなく、サービス、ブランドイメージ、価格戦略などで差別化を図ることが多いです。例えば、高速な配送サービスや優れたカスタマーサポート、独自のパッケージデザイン、ポイントプログラムなどを提供することで、顧客に特別な価値を提供できます。
Q:ECストアの集客方法は？
Answer）ECストアの集客にはいくつかの方法があります。具体的には、オンライン広告（Google広告やFacebook広告など）、SEO（検索エンジン最適化）、SNSマーケティング、そしてアフィリエイトマーケティングなどが挙げられます。通常、何か1つのマーケティングだけでなく、これらの方法を組み合わせることで、効果的な集客が可能です。
参考ページ: ECサイト集客にオウンドメディアを活用するメリットとは？ポイントも紹介
まとめ
今回は、ECストアの基礎から成功のポイント、具体的な業務内容にいたるるまで幅広く解説しました。市場は日々変化しており、成功するには緻密な戦略と効率的な運営が求められます。在庫管理や付加価値の提供といった課題にも取り組むことで、自社のECストアを起動にのせることができます。ECストア運営は容易なものではありませんが、正しい知識と戦略でその障壁を乗り越えることが可能です。今回の記事がその一助となれば幸いです。
この記事の監修者
日本大学法学部卒業、広告代理店で12年間働いている間、SEOと出会い、SEO草創期からSEO研究を始める。SEOを独学で研究し100以上のサイトで実験と検証を繰り返しました。そのノウハウを元に起業し現在、11期目。営業、SEOコンサル、WEB解析（Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持）コーディング、サイト制作となんでもこなす。会社としては今まで2000以上のサイトのSEO対策を手掛けてきました。
