CVR(コンバージョン率)が低い理由と改善方法まとめ
CVRとはコンバージョン率のことです。あらゆるサイトには目的があり、その目的を達成することをコンバージョンといいます。コンバージョンするかどうかはサイト運営における重要指標であり、どのようなサイトであってもコンバージョン率を改善することで売上や問い合わせなどを増やすことができます。
広告やSEOでアクセスを増やしても成果が上がらなければコストの回収ができず、失敗に終わります。そのため、WEB担当者はCVRを上げることに必死になりますが、答えのないWEBの世界では手探りで始めることになります。
しかし、コンバージョン率を上げる答えはなくとも、上げる確率を高めることは可能です。

CVRとは
CVRとはConversion Rateの略でコンバージョン率のことを意味します。
WEBサイトを運営しているとアクセス数や問い合わせ数などの目標数値を設定することになるはずですが、アクセス数が少なくともCVRを上げることができれば必然的に問い合わせ数も増やすことができます。
そのため、SEOによるアクセス数増加とともにCVRを上げることもWEB担当者の重要な業務となります。
CVRの計算式
CVRの求め方はどこをコンバージョンに設定するかによりますが、問い合わせをコンバージョンとする場合には問い合わせ数 / セッション数 × 100で求めることができます。
具体的にはセッションが1000件で問い合わせ数が10件であれば 10 / 1000 × 100で1.0%がCVRとなります。
問い合わせ数を20件にしようとした場合、CVRを1.0%のままではセッション数を2000にしなければなりませんが、CVRを1.5%まで引き上げることができればセッション数は1300ですみます。
セッション数だけを目標にするといずれ高止まりが来ますが、CVRも並行して最適化することでさらなる成果増加の期待が可能になります。
なお、コンバージョン率を最適化することをCRO(Conversion Rate Optimization)といい、SEO(Search Engine Optimization)と同時におこなうべき重要施策であるといわれています。
CVRの平均値
一般的なサイトのCVRは1.0%といわれています。つまり100件のセッションがあれば1件のコンバージョンが見込めるということです。
しかし、サイト構造や業界によって非常に大きく変わるため1.0%という数値は目安とお考えください。
SEOで集客したのか、広告で集客したのかでもCVRは変わりますし、公式サイトへのアクセスなのか、WEBマガジンへのアクセスなのか、どういったキーワードでの検索流入なのかなど、状況によって上下に激しく揺れ動くのが通常です。
ただ、一般的にはBtoCのサイトよりもBtoBのサイトのほうがCVRは高いといわれています。
これはBtoCサイトでは商品の購買(Amazonでの購入、楽天での購入など)をコンバージョンに設定していることが多いのに対し、BtoBサイトではお問い合わせ、資料請求、セミナーへの参加、メルマガ登録のような金銭の発生しないものをコンバージョンに設定していることが多く、金銭が発生しない分、敷居を低くしているためといわれています。
なぜ自分のサイトはCVRが低いのか?
数多くのWEB担当者がコンバージョン数が少ないことやCVRが低いことに頭を悩ませ、日々改善に取り組んでいます。
CVR改善についていくら悩んでも決して答えはありません。あるサイトでCVRが上がった施策を別のサイトでおこなっても成果が出ないということはザラです。
そのため、試行回数を増やすことでCVRを上げるのですが、闇雲に試行回数だけを増やしても意味がありません。まずはCVRが低い要因を仮説立てる必要があります。
CVRが低い原因は非常にさまざまですが、大別すると次の4つに分かれるはずです。
- ユーザーニーズを満たしていない
- 広告とコンテンツのギャップが大きい
- コンバージョン喚起していない
- サイトに問題がある
なお、大手サイトにもなると年間試行回数は1000回を超えるということは普通です。年間200日稼働するとしても1日で5回はテストしている計算になります。
小規模サイトの場合には試行回数が月1回や2〜3か月に1回ということはありえますが、試行回数の多さがCVR改善の秘訣であることは間違いありません。
ユーザーニーズを満たしていない
SEO集客にしても広告集客にしてもコンテンツがユーザーニーズを満たしていることは必須条件です。ニーズを満たしていない場合にはコンバージョンはおろか、閲覧すらしてもらえずに離脱されてしまいます。
特にSEO集客では検索意図を考慮してキーワード設定とコンテンツ制作をおこなう必要があるため、ユーザーがどのような情報を求めているのかは考慮する必要があります。
広告とコンテンツのギャップが大きい
前述した「ユーザーニーズを満たしていない」とも似ていますが、広告の場合にはさらに注意が必要です。クリック率やインパクトを意識しすぎたせいでクリックはされてもコンバージョンはしないということが散見されます。
タイトルや説明文、キャッチ画像を見てクリックしたユーザーは、広告文とコンテンツ内容が一致することを期待しています。しかし、コンテンツを見たときに思ったものと違うと判断されれば即離脱につながります。
広告のクリック率を高めることは非常に重要な施策ではありますが、無駄にクリックさせるよりも意味のあるクリックになるように最適化をすることは広告担当の業務です。
コンバージョン喚起していない
意外に多いのがコンバージョン喚起をしていないことによるCVRの低下です。
コンバージョンをどのように設置するかはサイトによってさまざまですが、ほとんどのサイトではグローバルメニューやメニューの近しいところにコンバージョンボタンを設置したり、記事の最後やページの最後にコンバージョンボタンを設置しています。
しかし、これは最低限必要な対策であって最適な対策ではありません。
CTA(Call to Action)をどこに設置するかは極めて重要なCVR改善施策であり、ファーストビューに設置する、コンテンツ内の商品説明の箇所に設置する、長文記事の場合にはところどころに設置するなどサイトごとにさまざまな手法が取られます。
サイトに問題がある
順調にアクセスが伸びているにもかかわらずコンバージョン数が伸びない場合にはサイトそのものに問題がある可能性があります。
コンバージョン数が思うように伸びない場合には以下の4つに当てはまらないかをご確認ください。
- 導線が悪い
- ファーストビューで離脱されている
- 表示速度が遅い
- モバイル対応できていない
導線が悪い
特に中規模以下のサイトで多いのがサイトの導線設計ができていないことによる機会損失です。
グローバルメニューの整理やコンバージョンボタンを目立たせることはもちろんですが、ユーザーが欲しい情報が簡単に手に入るように設計を修正する必要があります。
少ないクリック数で目的の記事にたどり着ける、重要なコンテンツにはリンクを集約する、サイト内検索を取り入れるなどユーザビリティを高める工夫をしてください。
ファーストビューで離脱されている
ランディングページ(ユーザーが最初に入ったページ)のファーストビューは極めて重要な意味を持ちます。文字にしても画像にしてもユーザーは最初に見た情報でサイトを判断しますので、思ったものと違ったと判断されてしまったり、興味付けがうまくいかなかったりすると離脱されてしまいます。
ユーザーがどの段階で離脱するかはヒートマップやGoogleアナリティクスの読了率などをうまく活用して判断するようにしてください。
表示速度が遅い
サイトの表示速度が遅いのはかなり致命的なことが多い改善ポイントです。
2022年はパソコンであってもモバイルであってもサイトのページ表示速度はGoogleのランキング要素になっていますので改善すべき点になっています。そして、サイトの表示速度が遅いということはユーザーの離脱率にも影響します。
遅いよりも早いほうがよいことは間違いなく、遅いページであればすぐに改善点を洗い出して修正すべきです。なお、表示速度や改善点のアドバイスはPage Speed Insightsを使うことで簡単に調べることが可能です。
モバイル対応できていない
まったくモバイル対応できていないサイトというのは大分減りましたが、パソコンで見たサイトはストレスなく利用できるのにスマートフォンで見たサイトはストレスがあるサイトは現在でも数多く存在します。
日本のスマートフォン普及率は非常に高く、事実上、全員が持っていると考えてサイト制作をおこなうべきです。サイトのテーマによってはユーザーの8割以上、9割以上がモバイルでのアクセスということもありますので、CVR改善のためにはモバイル対応が必須です。
CVRの改善方法
CVR改善方法は非常に多いため、すべてを列挙することはできません。しかし、代表的な手法はどのサイトでも変わりはありません。
まずは以下の15項目を確認し、それでもCVRが低いということがあればサイトやページ固有の問題を特定し、改善するようにしてください。
- CVしやすいキーワードを狙う
- ターゲティングの最適化
- 導線を修正する
- LPOをおこなう
- EFOをおこなう
- ハードルを下げる
- コンバージョンボタンを増やす
- コンバージョンのデザインを変える
- ツールを活用する
- エラーや古い情報を潰す
- 表示速度を速くする
CVしやすいキーワードを狙う
サイト運営をしているとKPIの1つであるアクセス数に偏重してしまうことがあります。アクセス数が多いことで悪いことはありませんが、コンバージョンするという点に限れば正解とはいえません。
むしろ、サイト立ち上げ当初や成長期にはコンバージョンしやすいキーワードを積極的に取りに行き、アクセスしたユーザーを積極的に囲い込む必要があります。
単純にキーワードボリュームが多いという理由だけでコンテンツを量産するオウンドメディアにありがちですが、アクセス数を増やしてもコンバージョンしにくいコンテンツではCVRは下がる一方です。
そのためにはキーワード戦略の見直しが重要ですが、自社でむずかしい場合にはSEO会社やコンテンツマーケティングを専門におこなっている会社に助力を求める必要があります。
ターゲティングの最適化
複数のサービスや商品を扱っている場合、ユーザーごとに推奨されるサービスや商品は異なります。ターゲティングをしっかりと定めることは広告を出すときにもSEO対策をするときにも重要なことであり、CVRが低いというときにはターゲットを見直す必要があります。
サイト立ち上げ当初を振り返ってペルソナの確認、カスタマージャーニーマップの確認をおこない、本当に売りたいターゲットはどこなのか、顧客ニーズはどこなのかを洗い出す必要があります。
導線を修正する
わかりにくいサイトはすぐに修正する必要がありますが、直観的にわかりやすい、わかりにくいということを判断することは危険です。
CVRが低い原因はユーザーの離脱ポイントやコンバージョンしたユーザーの遷移動向を確認することで浮かび上がってきます。
そのためには、ヒートマップを導入し離脱した箇所やページを特定とコンテンツや導線を修正したり、Googleアナリティクスによりユーザーがどのようなページを経由してコンバージョンに至ったのかを確認する必要があります。
LPOをおこなう
LPOとはLanding Page Optimizationの略で、ランディングページ最適化を意味します。
広告から入ってくるページを最適化することを意味することが多いのですが、オーガニック検索経由のランディングページであっても最適化は可能です。
ユーザーが入ってきたページはどこであっても最終的にはコンバージョンに結びつけることでCVRが改善できることから、CVRが高いページへの導線やコンバージョンしたユーザーが経由したページへの自然な誘導、ページ構成、キャッチ、画像、CTAなどを改善することで数値の上昇が期待できます。
EFOをおこなう
EFOとはEntry Form Optimizaionの略でエントリーフォーム最適化を意味します。
一般に入力フォームの項目が多いほど入力画面からの離脱率が増えます。また、入力を終えても確認画面から送信までの流れがスムーズで無い場合には離脱につながります。
入力の際に気の利いた文言を入れることで改善した例もありますし、確認画面の動作を変更したことでCVRが上がった例もあります。
自分のサイトは大丈夫だろうと過信せずに、一度ユーザーになったつもりで自社サイトの入力フォームから送信してみることで見えてくるものがあります。
ハードルを下げる
代表するコンバージョンは問い合わせや購買ですが、コンバージョンの敷居を下げることでCVRを上げることが可能です。
具体的には資料請求やセミナー参加などをコンバージョンとして設置したり、お問い合わせ後の手続きが簡単であることを説明したりすることでCVRが上がる事例があります。
資料請求やセミナーの参加がほしいわけではないというクライアントもいますが、資料請求やセミナー参加により顧客リストが手に入りますので、リストからナーチャリングをおこなうことで最終的な顧客につながりますし、オウンドメディアではナーチャリングを前提にアクセスを集めているところもあるくらい重要な施策です。
コンバージョンボタンを増やす
意外な盲点がコンバージョンボタンの数です。
ボタンが多ければよいというわけではありませんが、グローバルメニューとページの最後にしかコンバージョンボタンを設置していないサイトが多いのは事実です。
グローバルメニューに設置していても目立たないことが多く、ページの最後にあるボタンは読了したユーザーの目にしか触れません。
- ファーストビューに設置する
- もくじの前に設置する
- 大見出しごとに設置する
- 商品やサービス紹介時に設置する
など、ユーザーの琴線に触れる箇所で適切にコンバージョンボタンを設置することでCVRを上げることができます。
コンバージョンのデザインを変える
コンバージョンのデザインを変えるというのは単純ですが、極めて効果が大きい施策です。
改善例としては次のようなものがあります。
- ボタンの色を変える
- サイズを大きくする
- 配置の場所を変える
- 文言を変える
- 動作を変える
ボタンの色は目立つようにすることはもちろんですが、大きくしたり、場所を変えるだけでも効果が出ることがあります。
コンバージョンボタンの前後のキャッチを変えたり、ボタンそのものにも「無料」や「かんたん」をアピールすることでCVR改善が見込めます。
ツールを活用する
CVRを上げるためにツールを利用することも有効な手段です。
例えば、離脱の際にポップアップが出てくるツールやページを読み進めると自動的にポップアップが出てくるツール、チャットボットなどがCVRを高めてくれます。
ただし、あまりにツールを多用するとユーザビリティを損なう危険性やUX(ユーザーエクスペリエンス、ユーザー体験)を損なう可能性がありますので注意してください。
エラーや古い情報を潰す
サイト運営を長くおこなっていると思わぬエラーが出ることがあります。以下は代表的なエラーですので見つけ次第、すぐに修正してください。
- 404エラー(リンク切れ)
- システムエラー(WordPress設定)
- 古い情報の刷新
404エラーは内部リンクであれば機会損失につながりますし、外部リンクであればユーザーの期待を損ね、SEO的にもマイナスです。情報を常に最新に保つことはユーザー満足度を高め、リライトすることでSEO効果も期待できます。
表示速度を速くする
サイトの表示速度は離脱率にもCVRにも影響する重要な要素です。表示速度の改善は非常に奥が深く、専門業者もいるほどですが、以下の点を変えるだけでも相当に変わるはずです。
- 画像サイズを小さくする
- 画像を圧縮する
- cssを最小化する
- Javascriptを最小化する
- HTMLを最小化する
- 無駄なコードを削除する
しかし、上記を改善してもまだ遅い場合には抜本的な見直しが必要になることがあります。その場合にはSEO会社やページ速度改善を得意とするWEB制作会社に相談するようにしてください。
CVR改善ツール
CVRの改善は人の目による目視確認も重要ですが、定性的なものではなく定量的な分析も重要です。また、人の目では限界もありますので、次のようなツールを利用することで効率的にCVR改善をおこなうことができます。
- Googleアナリティクス
- Googleオプティマイズ
- Page Speed Insights
- Microsoft Clarity
- チャットボット
Googleアナリティクス
GoogleアナリティクスはGoogleサーチコンソールと並び、サイト運営では必須といえるツールです。ユーザーの属性やアクセス、コンバージョン数などがわかることはもちろん、コンバージョンまでの経緯を追ったり、離脱したページを調べたりすることにも役立ちます。
無料であることも導入理由ですが、WEB分析ツールとして極めて優秀であることからも確認するようにしてください。
Googleオプティマイズ
GoogleオプティマイズはA/Bテストを簡単におこなうことができる無料ツールです。A/Bテストとは、2つのページのどちらのCVRが高いのかをテストするツールであり、A/Bテストの繰り返しがCVR改善には欠かせません。
無料で利用できるという点でGoogleオプティマイズを推していますが、有料ツールでも優れたA/Bテストツールは数多くあります。
Microsoft Clarity
Microsoft Clarity(マイクロソフト クラリティ)は無料で利用できるヒートマップツールです。無料ではありますが、非常に調査範囲が広く、他の無料ヒートマップと比較しても多くの点で優れたツールです。離脱ポイントの把握のためにはヒートマップツールが欠かせません。
チャットボット
チャットボットとは、ロボットが自動応答してユーザーと対話してくれるコミュニケーションツールです。AIによる自動応答するタイプと決められたシナリオを説明するタイプの2種類があります。
チャットボットの導入により、問い合わせが増えたというケースは非常に多く、24時間対応で迅速に回答を返すためユーザー満足度という点でも優れています。
CVRを改善させるために
サイト運営を続けているとある程度のアクセス数まで伸びた後は停滞が続くことがあります。そのときに新しいキーワードを狙いに行くという手段もありますが、既存ユーザーをどうやってコンバージョンにつなげるかという意味ではCVRの改善が欠かせません。
