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CAC(顧客獲得コスト)とは?計算方法やLTVとの関係など解説

CAC(顧客獲得コスト)とは?計算方法やLTVとの関係など解説競争が激化するなか、顧客獲得にかかる費用がビジネスの成功を左右します。そして、その指標となるのが今回お伝えするCACです。

 

SEOコンサルタントこの記事では、CACの計算方法やLTVとの関係、ビジネスの健全度計測方法などについて詳しく解説します。

 

SEOコンサルティング

CAC(顧客獲得コスト)とは

CAC(Customer Acquisition Cost)とは、新しい顧客を獲得するためにかかる費用のことです。顧客獲得費用、あるいは顧客獲得単価と呼ばれています。

 

このCACが低いほど、企業は効率よく顧客を獲得できているということです。

 

例えば、CACが3,000円と1,500円の場合を比較します。前者は、1件あたりの顧客を獲得するのに費やしたマーケティング費用が3,000円かかったという意味です。一方、後者は、顧客1件あたり1,500円で獲得しています。

 

このようにCACが低いほど、マーケティング費用をかけずに顧客を獲得しているため、効率が良いと判断できます。

 

また、CACという用語は、元々SaaSビジネスで使用されることが多いです。SaaSビジネスとは、インターネットを通してクラウドにアクセスすることで、ユーザーが利用できるサービスのことを指します。例えば、Slackのようなビジネスチャット、ZoomのようなWEB会議システムなどが該当します。

 

参考ページ:Customer Acquisition Cost – SaaS Metrics

 

CPAとの違い

CACと類似した用語としてCPAがあります。CPAもCACと同様に、顧客獲得単価を意味しています。違いは、使用シーンです。CACは主に事業単位、プロジェクト単位に対して使われる用語なのに対して、CPAは個別のマーケティング施策に対して使われます。

 

例えば、次のような使用例が考えられます。

 

  • 我が社の事業において、今期からCACがLTVを下回り安定成長に入った
  • Google広告で、CPAを30%下げることに成功した

 

 

CACの計算方法

CACは前述したとおり、顧客獲得単価を意味しています。これを具体的に計算式で確認すると、次のとおりです。

 

01_calculation

 

マーケティング費用が分子で、獲得できた顧客数が分母となります。マーケティング費用というのは、広告費や展示会の出展料などのことです。

 

例えば、Google広告に10万円、Yahoo!広告に5万円を費やして、100件の新規顧客を獲得したとします。この場合のCACは次のとおりです。

 

02_caluculation

 

計算結果より、新規顧客を1件あたり1,500円で獲得できたことが分かります。

 

計算式についての発展的解説

CACの計算式において、1つ論点が出てきます。

 

それは、分母の獲得した新規顧客数に全獲得数の数字を入れれば良いのか、それともマーケティングによって獲得した顧客数に限定した方が良いのかという点です。

 

そもそもユーザーの獲得経路には、大きく分けると2つあります。1つはGoogle広告など何かのマーケティング施策をおこなった結果としてえられる新規顧客です。もう1つは、顧客が自ら自社のサービスや商品を見つけ、契約・購入する場合です。後者の場合、マーケティング費用はかかっていないということです。

 

03_diagram

 

この場合、どちらを分母にするのが正しいと決まっているわけではありません。CACを活用する目的によって判断します。

 

つまり、マーケティング施策に対しての投資効果を確認したいのであれば、顧客が自然に契約・購入に至った数を含めず計算します。一方、事業全体の顧客獲得効率を確認したいのであれば、経路に限らず、全ての獲得数を含めて計算します。

 

LTV(顧客生涯価値)とCACを活用した事業評価

実は、CAC単体では事業がうまくいっているのかを評価できません。例えば次の2つの事業を比較してみます。

 

  • A事業はCACが3万円かかる
  • B事業はCACが1万円かかる

 

A事業とB事業であれば、どちらが収益の良い事業といえるのでしょうか?

 

B事業の方がCACが低いわけですから、一見するとB事業の方が収益が高いと判断してしまうかも知れません。

 

しかし、A事業は、顧客になった人が平均10万円の費用を使ってくれるということになれば、3万円のコストをかけても十分収益をえられます。

 

一方、B事業は顧客になった人が平均5千円の費用しか払ってくれないとなるとどうでしょうか?たとえCACが1万円だとしても、企業の収益は5千円なので赤字です。

 

このように、CACが高い、低いというだけでは、その事業の収益性を正しく評価することができません。そこで、必要になってくるのがLTVという概念です。次に詳しく解説します。

 

LTVとは

事業の健全度や収益性を評価するのに必要になるのがCACです。しかし、CACだけでは収益性が良いとも、悪いとも判断できないので、LTV(Lifetime Value: 顧客生涯価値)を確認する必要があります。

 

LTVとは1人の顧客が将来、企業に対して払うお金の総額です。CLV(Customer Lifetime Value)ともいいます。

 

例えば、顧客が平均的に月額1万円のサービスを半年間継続して利用しているなら、LTVは次の計算式です。

 

  • 1万円×6ヶ月=6万円

 

多くの企業ではLTVを計算する際に、1ヶ月単位ごとの平均単価に平均継続数を掛けて算出することが多いです。つまり、下記の計算式です。

 

  • LTV=1ヶ月の平均単価×平均継続月数

 

ただし、計算方法は販売している商品・サービスによって異なりますので、自社の状況に合わせて計算してください。

 

CACとLTVの2つの指標を確認することで、事業評価をすることができます。

 

参考ページ:How to Calculate Customer Lifetime Value – HubSpot

 

事業評価

自社のLTVを算出したら、次にCACと比較します。その際に最低限、事業として成立する条件があります。それが次のものです。

 

  • LTV > CAC

 

これが成り立たない、もしくは成り立つ道筋が見えない事業は撤退する必要があります。なぜなら、CACがLTVを上回る場合、新規顧客を獲得すればするほど、赤字になることを意味するからです。

 

また、LTVとCACを比較し、事業の収益性がどの程度順調かを評価する方法として、ユニット・エコノミスクという計算式を使います。この計算式は次のとおりです。

 

04_calculation

 

一般的には、このユニット・エコノミクスが3以上であれば、非常に効率の良いビジネスといえます。ユニット・エコノミクスをもとにした事業の評価は次のとおりです。

 

 

ユニット・エコノミクス 事業の収益性
0以下 ×
1~2.9
3.0以上

 

例えば、LTVが3万円で、CACが1万円ということであれば、計算式は次のとおりです。

 

05_calculation

 

この場合、ユニット・エコノミクスが3.0になるので、事業の収益性は非常に有望と判断できます。

 

ユニット・エコノミクスの改善

ユニット・エコノミクスが3に満たない場合、あるいは3以上であってもその数値をさらに向上させたい場合、具体的にどのようなことができるのでしょうか?

 

もう一度、計算式を確認します。

 

04_calculation

 

この計算式から考えると、ユニット・エコノミクスを改善するには、分子のLTVを向上させるか、CACを下げるかの2つの方法があるということです。そこで、LTVの向上策とCACを下げる施策について解説します。

 

LTVの向上策

ここでは、ユニット・エコノミクスを改善する施策の1つ目で、LTVを向上させる方法について解説します。

 

解約率を下げる

自社がサブスクリプションビジネスをおこなっている場合、LTVを向上させるために解約率を下げる施策をとることができます。解約する人が減れば、LTVが向上するからです。

 

解約率を下げるためには、これまで解約した人がどのような理由で離脱したのかをアンケート調査をするなどして調べることが大切です。顧客が不満や不便に感じている点を整理し、1つひとつ課題を解決してください。

 

アップセル・クロスセル

LTVを向上させるための施策として、アップセルやクロスセルが有効です。

 

アップセルは、顧客が購入した商品のグレードアップ版をすすめることです。例えば、パソコンを購入した顧客に同一機種で、よりハイスペックなバージョンの購入を促すなどのことです。

 

クロスセルは、顧客が購入した商品に付随する商品・サービスを販売することです。例えば、TVを購入したお客さんにTV用スピーカーの購入を促すなどのことです。

 

こういったアップセル・クロスセルを用いることで1回あたりの取引額が増え、LTVの向上につながります。

 

CACを下げる施策

ユニット・エコノミクスを改善する2つ目の施策はCACを下げることです。具体的な方法として、ここでは3つとりあげ解説します。

 

プロモーションの最適化

SEOやWEB広告、展示会などで見込み客を獲得しているなら、これらにかける費用や効果を見直してください。そして、個々の課題を1つずつクリアする必要があります。

 

例えば、SEOに取り組んでいるのなら、さらに新規記事を増やしたり、独自性のある記事をつくるなど自社の課題を整理し取り組みます。

 

各マーケティング施策を見直し最適化することで、CACを下げることができます。

 

CVRを向上させる

SEOやWEB広告などで集客をしても、その後、コンバージョンに結びつかなければ意味がありません。そこで、コンバージョン率(CVR)を向上させるための施策をとります。

 

例えば、無料試用期間を設ける、商品画像を見栄えの良いものにする、キャッチコピーを修正するなどが考えられます。

 

顧客管理ツールの導入

集客した顧客に成約してもらうには、顧客に対しての継続的なフォローが欠かせません。そして、そのためにはCRM(顧客管理ツール)の導入を考えてください。CRMは、顧客の成熟度に応じて、必要なフォローやナーチャリングをするためのツールです。

 

CACのよくある質問(Q&A)

ここでは、CACについて当社に寄せられる質問の中から、よくあるものを取りあげ解説します。
 

Q:なぜCACを計算する必要があるのですか?

Answer)CACを把握しておくことは、事業を起動に乗せるために非常に重要です。仮に、CACがLTVを上回る場合、その事業を続けるだけ赤字になるという意味です。

 

逆に、CACがLTVよりも低い場合、収益が生まれる見込みが高いです。このように、CACとLTVを比較することによって、事業の健全度合いを確認することができます。

 

Q:高いCACは問題ですか?

Answer)高いCACが必ずしも問題になるとは限りません。あくまでも、LTVとの比較によって決まります。仮にCACが高くても、LTVを下回るのであれば事業として軌道に乗る可能性があります。また、CACが低くてもLTVを上回るのであれば、その事業を撤退したり、大きな改革が必要です。

 

Q:顧客獲得コストの回収期間は?

Answer)広告費などに費やした顧客獲得コストは、できる限り早く回収することが安定経営のためには必要です。

 

事業形態によって、どれくらいの期間で回収できるかは異なりますが、SaaSビジネスの場合は、6ヶ月程度が目安とされています。長くても1年以内には回収したいというのが現実的なところです。それ以上の回収期間がかかり、さらに解約率が高い場合は、ビジネスとして成り立たなくなるので注意が必要です。

 

Q:CACを下げる方法は?

Answer)CACを下げる方法はいくつもあります。例えば、ターゲット顧客を絞り無駄なマーケティング費用を削減することができれば、CACを下げることが可能です。また、SEOに取り組むことも、CACを下げるのに有効です。SEOは、成果が出るまでに時間がかかるものの、一度軌道に乗れば、その後はマーケティング費用を抑えて新規顧客や見込み客を増やすことができるからです。

 

Q:展示会やイベントの費用はCACの計算に含めるべき?

Answer)展示会の出展料や参加費、ブースの設営費、出店物の制作費はマーケティング費となるため、CACを計算する際に含めます。

 

 

まとめ

SEOコンサルタントCAC(顧客獲得コスト)は、事業を軌道に乗せる要となる指標です。今回お伝えした、CACの計算方法やユニット・エコノミクスについて正確に理解しておいてください。また、CACはそれ単体で数値を出しても不十分です。LTVと比較することによって、CACが適切かどうかを判断できるからです。効果的なマーケティング戦略の立案と収益性の最大化のためにCACを定期的に算出し、それに基づいた事業改善計画を立ててください。

 

 

この記事の監修者

SEOコンサルタント

アドマノ株式会社 代表取締役 天野 剛志

日本大学法学部卒業、広告代理店で12年間働いている間、SEOと出会い、SEO草創期からSEO研究を始める。SEOを独学で研究し100以上のサイトで実験と検証を繰り返しました。そのノウハウを元に起業し現在、11期目。営業、SEOコンサル、WEB解析(Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持)コーディング、サイト制作となんでもこなす。会社としては今まで2000以上のサイトのSEO対策を手掛けてきました。

監修者:アドマノ株式会社 代表取締役 天野剛志
マーケティングのエキスパート。Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持。大学では経営法学を専攻。オーストラリア・イタリア・フランス・タイ・カンボジアなど世界各国を旅した後、イギリスで1年半生活し語学力と国際的視野を磨く。日本帰国後は広告代理店で営業を12年経験。SEOは草創期から独学で研究し、100以上のサイトで検証しつつノウハウを蓄積。2012年にSEO専門会社のアドマノを設立。
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