llms.txtとは? 書き方や設置方法の解説と自動生成ツールをご紹介
昨今では、年々、生成AIの性能がアップグレードされていて、仕事の業務などで実用的に利用できる機会が増えてきています。この背景には、生成AIに組み込まれているLLM(大規模言語モデル)の進化があります。
こうしたことから、SEO対策だけでなく、LLMO(大規模言語モデル最適化)対策が注目を集めています。そして、LLMO対策に不可欠な施策がllms.txtと呼ばれるテキストファイルを作成する作業です。
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llms.txtとは
llms.txt(Large Language Models Text)とは、LLM(大規模言語モデル)に自社サイトの情報を伝える、またはAIクローラーを制御するためのテキストファイルを指します。このファイルの役割は2つあります。
1つめは、LLMが搭載する生成AIに対して、自社サイトのコンテンツの引用を促進することです。もう1つは、クロールすべきページとそうでないページの情報をAIクローラーに伝えることです。
現代の生成AIの場合、ユーザーの質問に答える際にWEBサイトのコンテンツが利用されていて、その依存度が高いと言われています。
そのため、llms.txtを介して、自社サイトの情報を能動的に提供して、生成AIの回答テキストに自社リンクが設置されやすくすることで、生成AIによるアクセス流入を見込めます。なお、llms.txtには、下記のとおり、2種のファイルが存在します。
ファイルの種類 | 解説 |
llms.txt | LLMにWEBサイトの全体像を伝えるためのファイル |
llms-full.txt | LLMにWEBサイトのすべての情報を詳しく伝えるためのファイル |
そもそもLLMとは
LLM(大規模言語モデル)とは、大量のテキストデータやディープラーニングと呼ばれる学習機能を搭載した言語モデルのことです。人間のように自然言語を扱えて、テキストの理解や生成に特化している点が特徴です。
LLMは生成AIに用いられていて、その性能の進化に大きく貢献しています。たとえば、チャット型の生成AIのchatGPTには、LLMのGPTが搭載されています。2025年には、LLMの最新モデルとしてGPT-4.1が公開されています。
llms.txtは、このように、生成AIに使われているLLMに対して、自社サイトの情報を伝える役割を担っています。
llms.txtを設置するメリットと注意点
llms.txtを設置すると、次のような利点があります。
- 自社サイトの情報が生成AIに伝わり、自社コンテンツが引用されやすくなる
その一方で、次のような注意点があります。
- 2025年現在では、SEO対策ほどの効果をえられない
メリット:コンテンツが引用されやすくなる
メリットとしてllms.txtの実装で、自社サイトの情報が生成AIに伝わり、自社コンテンツが引用されやすくなります。
サイト内でllms.txtを用意しておくと、生成AIに対して自社サイトの構造などの理解を促進する効果をえられます。その結果として、自社サイトのコンテンツが生成AIの回答に引用されやすくなります。
生成AIに引用されると、回答文にWEBページのリンクが貼られますので、生成AIユーザーのアクセス流入を見込めます。昨今では日々、生成AIの性能の高まりとともに利便性が増しています。
そして、将来的には、生活や仕事と切り離せない存在に成長すると期待されています。2025年における、主要な生成AIとしては、次のようなサービスが挙げられます。
- ChatGPT(チャット型の生成AI)
- Perplexity(チャット型の生成AI)
- Gemini(チャット型の生成AI)
- Microsoft 365 Copilot(アプリのアシスタント型の生成AI)
- AI Overview(検索エンジン一体型の生成AI)
注意点:効果はまだ少ない
注意点としては、2025年現在では、まだSEO対策ほどの効果をえられないことがあります。
近年では、LLMO対策を用いた生成AIからのアクセス流入の手法が注目を浴びています。ただし、2025年現在では、LLMO対策で大量のアクセスを確保できているケースが少数派となっています。実際に、東京SEOメーカー(本サイト)でもLLMO対策を実施していますが、2025年5月のアクセスデータは次のようになっています。
項目 | 割合 |
オーガニック検索 | 68.18% |
参照元 | 3.01% |
参照元の上位サイト | 割合 |
perplexity.ai | 66.67% |
evernote.com | 11.11% |
sam.dify.davinci.speee.jp | 11.11% |
chatgot.com | 11.11% |
※本データは、Similarwebを参照
このデータをみると、SEO対策の効果を示す「オーガニック検索」では、全体のアクセス数の70%近くを占めていることがわかります。その一方で、外部サイトからのアクセス流入を指す「参照元」では、全体のアクセス数の3%にも満たないアクセス数になっています。
そして、そもそも、生成AIが回答テキストを作る際にWEBコンテンツを用いる(とくに、情報の信頼性が高い検索上位の記事)という性質上、LLMO対策がSEO対策を前提としている側面があります。そのため、現実的には、WEB集客の施策としては、LLMO対策よりもSEO対策の優先度が高い状況といえます。
llms.txtの書き方
llms.txtファイルは、一般的なテキストエディタで作成できます。そして、次のようなルールを踏まえてファイルを作成することになります。
- ファイル名を「llms.txt」とする
- UTF-8エンコードで出力する
そして、記述方法ですが、下記の2つの形式が存在します。
- Markdown形式
- ディレクティブ形式
Markdown形式
llms.txtファイルは、Markdown(マークダウン)と呼ばれる形式に対応しています。Markdown形式とは、記号を用いることで、簡易的にサイトやページ構造を指定する書き方のことで、マークアップ言語の一種です。
Markdownの記述方法は、HTML言語に似ていて、見出しや本文などを記号で指定していきます。下記表は、Markdown形式で使用する記号と役割をまとめたものです。
記号 | 解説 |
#ダミー | 見出し(Hタグ)を示す記号。「#」がh1、「##」がh2の要領で、記号の数が増えるほど小見出しとして扱われる。 |
*ダミー | 箇条書き(list)を示す記号。 |
-ダミー | 箇条書き(list)を示す記号。 |
1. | 箇条書き(list)を示す記号。「1.」「2.」「3.」のように、数値で箇条書きを表現する際に利用する。 |
*ダミー* | 文字の強調を示す記号。「*」で文字を囲って記す。「* ダミー *」でイタリック体、「** ダミー **」でBold体、「*** ダミー ***」でイタリックのBold体と、アスタリスクの数で表現が変化する。 |
*** | 水平線を出力する記号。見出しなど段落を区切るときに利用する。 |
— | 水平線を出力する記号。見出しなど段落を区切るときに利用する。 |
> | 引用(Blockquotes)を示す記号。 |
[ダミー](URL) | ページタイトルとページURLを示す記述。 |
| ダミー | ダミー | | テーブル(tableタグ)を示す記号。 |
記号のルールを踏まえて、Markdown形式でllms.txtを記述すると、次のようなファイルができあがります。
# サイト名 > サイトの説明 --- ## セクション名 - [ページタイトル](ページURL): ページ内容の説明 - [ページタイトル](ページURL): ページ内容の説明 - [ページタイトル](ページURL): ページ内容の説明 ---
ディレクティブ形式
ディレクティブ形式とは、ページ処理方法を命令形で指示する記述方法です。この記述は、たとえば、robots.txtが用いられています。robots.txtの場合は、Googleクローラーなどにクロール、またはインデックスしてほしくないページの情報を提供します。
しかし、llms.txtの場合は、AIクローラーに対して情報を与えます。具体的には、次のように記述します。
ディレクティブ | 解説 |
User-agent: | AIクローラーの種類を指定する。たとえば、GPTクローラーを指定するケースでは、「User-agent: GPTBot」と記述する。 |
Disallow: | アクセスを禁止するURLやディレクトリなどを指定する。たとえば、サイト内の/admin/以下のディレクトリのクロールを禁止する場合は、「Disallow: /admin/」と記述する。 |
Delay-Request: | AIクローラーがリクエスト送信する間を指定する。たとえば、5秒間隔でリクエストしてほしい場合、「Delay-Request: 5」と記述する。この指定によって、サーバーの負担を軽減できる。 |
これらのルールを踏まえて、llms.txtには、次のように記述します。
User-agent: GPTBot Disallow: /admin/ Delay-Request: 5
llms.txtの設置方法
llms.txtを実装する方法は とても簡単です。作成したllms.txtをWEBサイトのルートディレクトリにアップロードするだけで作業が完了します。本項目では、WordPressをインストールしたエックスサーバーを事例に、llms.txtを実装するための具体的な手順をご紹介します。
- llms.txtを作成する
- エックスサーバーのサーバーパネルにログインする
- ファイルマネージャを開く
- ルートディレクトリのフォルダを開く
- ファイルをアップロードする
▲「2」の画面。WEBサイトを設置しているサーバーにログインします。
▲「3」の画面。サーバー内に置いているWEBサイトのフォルダにアクセスします。事例では、ファイルマネージャのツールを利用しています。
▲「4」の画面。WEBサイトのルートディレクトリのフォルダを開きます。事例のケースでは、WordPressで構成されているWEBサイトの階層となっていて、次の順番でフォルダを開いていきます。
ドメインフォルダ > public_html > wp-content > uploads
▲「5」の画面。ルートディレクトリに「1」で用意したファイルをアップロードします。
関連記事:ディレクトリとは? 意味やSEOとの関係性をわかりやすく解説
llms.txtを自動生成できるWordPressブラグインについて
WordPressでWEBサイトを運用しているケースでは、プラグインを導入することで、簡単にllms.txtを作成できます。llms.txtを自動生成できるWordPressプラグインには、次のようなものがあります。
- Website LLMS.txt
- txt and LLMs-Full.txt Generator
- txt Generator
- Advanced LLMs.txt Generator
※本項目で紹介するプラグインのスペックデータは、2025年6月現在のもの
Website LLMS.txt
Website LLMS.txtは、Ryan Howard氏が投稿した無料のWordPressプラグインです。これまでのインストール数が1万件を超えていて、llms.txtを生成するプラグインのなかでは、もっとも広く利用されています。
llms.txtに載せるページは、投稿タイプで選択でき、投稿タイプ別でリストに載せる順番も変更できます。キャッシュ管理や更新頻度の設定といった機能も備わっています。このほかでは、Yoast SEOやRankMathといった人気のSEOプラグイン、サイトマップと連携可能です。
投稿者 | Ryan Howard |
対応環境 | WordPressバージョン5.8以上
PHPバージョン7.2以上 |
インストール数 | 10,000以上 |
ダウンロード | Website LLMS.txt |
関連記事:Website LLMS.txtの使い方
LLMs.txt and LLMs-Full.txt Generator
LLMs.txt and LLMs-Full.txt Generatorは、rankth氏が投稿したプラグインです。同プラグインでは、llms.txtのファイルだけでなく、llms-full.txtのファイルの自動生成にも対応しています。機能としては、まず、ファイルに記述するページを投稿タイプ別で選択できます。
また、特定のページやディレクトリを含める、含めないといった条件設定も可能です。このほか、Yoast SEO やRankMathと互換性を持っています。
投稿者 | rankth |
対応環境 | WordPressバージョン5.0以上
PHPバージョン7.0以上 |
インストール数 | 400以上 |
ダウンロード | LLMs.txt and LLMs-Full.txt Generator |
LLMs.txt Generator
LLMs.txt Generatorは、Pedro Ladeira氏が投稿したプラグインです。
同プラグインでは、基本機能は無料で利用できるものの、高度な機能を使う場合は有料版を購入する必要があります。たとえば、基本的なファイル生成やキャッシュ管理は利用できますが、ファイルの自動更新に関しては、プレミアム版でのみ扱っています。
投稿者 | Pedro Ladeira |
対応環境 | WordPressバージョン5.0以上
PHPバージョン7.4以上 |
インストール数 | 100以上 |
ダウンロード | LLMs.txt Generator |
Advanced LLMs.txt Generator
Advanced LLMs.txt Generatorは、Taha Büyüktaş氏が作成したプラグインです。作成者がトルコ人であることからトルコ語に対応している点が特徴です。機能については、ファイルの自動生成と自動更新、キャッシュシステムなどが搭載されています。
ファイル生成に関しては、主要な投稿タイプをピックアップして自動で作成してくれます。また、生成AI上における表示のされ方を微調整できる設定オプションが用意されています。
投稿者 | Taha Büyüktaş |
対応環境 | – |
インストール数 | 70以上 |
ダウンロード | Advanced LLMs.txt Generator |
llms.txtのよくある質問
LLMs.txtにおいて、よくある質問をまとめています。
Q:llms.txtとrobots.txt、sitemap.xmlの違いは?
Answer)それぞれのファイルでは、情報の内容や伝える相手が異なります。
まず、llms.txtは、AIクローラーに対して、サイト構造の情報やクロール指示を伝えます。その一方で、robots.txtは、検索エンジンのクローラーに対して、クロール指示を与えます。また、sitemap.xmlは、検索エンジンのクローラーに対して、サイト構造を伝えます。
Q:llms.txtには、どのような情報を載せるべきですか?
Answer)llms.txtには、サイト構造やクロール指示の情報を載せてください。前者の場合はMarkdown形式で、後者の場合はディレクティブ形式が用いられます。
Q:llms.txtは、どこに設置すべきですか?
Answer)llms.txtは、WEBサイトのルートディレクトリに設置します。ルートディレクトリとは、サイト階層の最上位のディレクトリのことです。
Q:簡単にllms.txtを作成する方法はありますか?
Answer)WordPressでサイト運用しているケースでは、プラグインをインストールすることで、簡単にllms.txtを作成できます。llms.txtを作成できる有名なプラグインとしては、Website LLMS.txtが挙げられます。
関連記事:Website LLMS.txtの使い方
Q:llms.txtを自動更新する方法はありますか?
Answer)WordPressを使っている場合、llms.txtを自動更新する機能を持つプラグインが存在します。
まとめ

そこで、注目を集めている施策がLLMO対策です。そして、このLLMO対策に不可欠な施策として、llms.txtの実装が挙げられます。
ただし、現実的に考えると、LLMO対策はSEO対策の延長にあることから、2025年現在においては過度な期待は禁物です。将来に向けた長期的な施策として、まずはllms.txtを作成し実装してみてください。