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社会的包摂とは?ソーシャルインクルージョンの基礎と企業の取り組み方について解説

社会的包摂とは

世界人口における障害者の割合は約15%といわれています。しかし、日本の法律が定める障害者の法定雇用率は2021年3月1日時点で2.3%に留まっています。日本の企業においては、まだその労働力を生かし切れていないというのが現状ではないでしょうか。

 

SEOコンサルタントそこでここでは、社会的包摂の基本事項について解説し、障害の有無を超えて誰もが参加できる企業を目指すためのポイントをお伝えします。

 

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社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)とは

社会的包摂とは、すべての人が社会の一員になれることを目指すことです。SDGsでも掲げられている誰1人として取り残さない理念とも合致し、ソーシャルインクルージョンともいいます。

 

企業においても、社員の多様性を認めて孤立を防ぎ、立場的に弱い人たちを支え合うことが望まれます。具体的には障害のある・なしで分けない、障害のあることを1つの特性として受容しそれを企業内でも活かすことなどが挙げられます。

 

SDGsとの違い

SDGsとは持続可能な開発目標のことです。世界には環境問題や差別、貧困などさまざまな課題がありますが、こういったことを地球規模で2030年までに解決していこうという目標です。

そして、SDGsの理念には普遍性、包摂性、参画型、統合性、透明性という5つの基本原則があります。この中の1つである包摂性には「誰1人取り残さない」というものが含まれています。このように、SDGsは社会的包摂の理念を含む、より大きな概念です。

 

ダイバーシティとの違い

ダイバーシティとは多様性のことです。例えば、性別や年齢、国籍、障害の有無など人はそれぞれ異なっています。この異なりそのものがダイバーシティです。そのため、社会的包摂は、ダイバーシティを前提条件にしているといえます。

 

ニューロ・ダイバーシティとの違い

ニューロダイバーシティとは神経多様性あるいは脳の多様性とも呼ばれます。発達障害や神経疾患には、ASD(自閉症スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動性障害)、LD(学習障害)などさまざまなものがあります。しかし健常者との違いは遺伝子の違いに過ぎないので、個性だとする概念のことをニューロ・ダイバーシティと呼んでいます。企業や教育現場でも、発達障害や神経疾患のある人を正そうとするのではなく、本来持っている個性を活かすことが求められています。このようにニューロ・ダイバーシティは社会的包摂よりは狭い概念にはなりますが、類似したものです。

 

社会的包摂が生まれた背景

社会的包摂の反対の言葉に、社会的排除というものがあります。社会的排除というのは、1970年代から80年代にかけてヨーロッパにおいて注目された概念で、性別・国籍・家庭環境・病気・障害などが原因で社会的に排除されている状態のことです。

 

その後、社会的排除を克服するための取り組みとして、社会的包摂が掲げられるようになりました。日本においても2000年12月に厚生労働省がまとめた「社会的な擁護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会報告書」の中で社会的包摂が提唱され、教育界・経済界に浸透しました。

 

引用:社会的な擁護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会報告書

 

被社会的排除者の例

誰1人として取り残さないという理念である社会的包摂ですが、被社会的排除者の明確な定義は2023年1月現在のところありません。そのため、経営者やWEB担当者の中には「どういった人が、社会参加を阻害されているのか」と疑問に思うのではないでしょうか。

 

人が被社会的排除者に至るには主に3つのプロセスがありますので、ここで整理しておきます。ただし、通常1つの要因で被社会的排除者になることは少なく、複数の要因が絡むことが現実的には多くなります。

 

本人の生まれ持った生きづらさが主な要因

本人の生まれ持った障害によって被社会的排除者につながることがあります。例えば身体障害、発達障害、知的障害などが挙げられます。

 

家庭環境が主な要因

家庭環境のさまざまな問題から被社会的排除者になることがあります。例えば、シングルマザー、若年妊娠者、親と断絶をした人などが考えられます。

 

学校・職場などの環境が主な要因

学校や職場環境によって被社会的排除者になることがあります。具体的にはひきこもり、不登校、職場環境の悪さによる離職などが挙げられます。また、就職難などの影響で不安定な生活から抜け出せないなどのことも要因となることがあります。

 

社会的包摂に取り組むメリット

社会的包摂に企業が取り組むことにより、さまざまなメリットがあります。その一例をここで挙げます。

 

さまざまな人材を採用できる

企業は人材を採用する場合、どうしても自社の社風や考えが合う人を採用しがちです。また、求職者に求める能力も、語学力・パソコン能力など画一的なものを求めがちです。しかし、社会的包摂に取り組むことで多様な人材を採用することができます。

 

そもそも個人の能力は性別・年齢・国籍・障害の有無によって計れるものではありません。さまざまな人材を採用することによって、イノベーションが生まれる可能性も飛躍的に高まります。

 

多様な顧客ニーズに対応できる

近年、顧客ニーズは多様化しています。そのため、商品・サービスを提供する企業側も柔軟な発想・視点が求められます。そこで、さまざまなバックグラウンドをもった人材が集まれば、そのような多様化したニーズにも応えることができます。

 

社内コミュニケーションの充実

さまざまな人材を会社に受け入れることは、それだけ社内コミュニケーションが活性化する可能性が高まります。さまざまな背景をもった人材が集まれば、話題や考え方が異なるからです。社内コミュニケーションが充実すれば、退職率の抑制や労働環境の改善に役立ちます。

 

包摂型社会実現に向けた日本の取り組み

包接型社会を目指すには、法律や制度との関わりがあります。そのため、日本の動向を踏まえて自社で取り組める内容を考える必要があります。

 

退職年齢の引き上げ

日本の少子高齢化を背景に、2013年高齢者雇用安定法が改定されました。これによって定年が60歳から65歳へと引き上げられます。高齢者が被社会的排除者になることなく、社会に参画できる契機にもなります。

 

障害者雇用法促進

障害者雇用促進法は、障害者の職業を安定化させるための法律です。背景には、障害の有無によって差別されたり、社会参画する機会が失われないようにするという社会的包摂の理念があります。

 

対象となる障害者は次の通りです。

 

  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神・発達障害者で症状が安定し就労できる人
  • 精神障害の特性・疾患があるが症状が安定して就労ができる人

 

従業員が43.5人以上いる民間企業では、こういった障害者を2.3%雇用することが求められており、この比率は段階を追って引き上げられます。

 

社会的包摂を実現するための企業の具体的取り組み

包摂型社会に向けて取り組むのは、国だけではなく企業においても同様です。そこで現在、企業が取り組むことができる社会的包摂の内容について解説します。

 

経営

画一的な人材によって企業戦略を考えるのではなく、インクルーシブに多様な人材を集めて戦略を練った方がイノベーションの創出に結びつきます。多種多様な意見を踏まえた経営戦略を練ることをインクルーシブ経営と呼んでいます。

 

マーケテイング

通常の顧客調査では見過ごされがちな少数派の意見を吸いあげ、商品やサービスを提供することをインクルーシブマーケティングと呼んでいます。大きなヒットを狙えなくても、一定のターゲットに確実に刺さる商品を提供することができます。

 

ESG投資

環境・社会・ガバナンスの3つを備えた企業に対して投資をおこなうことをESG投資といいます。環境というのは、二酸化炭素排出量の削減やプラスチックゴミ対策などに取り組んでいるということです。社会については、社会的包摂やライフワークバランスへの取り組みを指しています。そして、ガバナンスは不祥事回避のための法令順守やリスク管理体制の整備などのことです。この3つの要素を備えた企業は、SDGsへの取り組みに積極的だと評価され投資対象となります。

 

社会的包摂に取り組む際のポイント

ここでは企業が社会的包摂に取り組む際の重要ポイントを整理してお伝えします。

 

経営層がメッセージを伝える

社会的包摂への取り組みは、社員の働き方などにも大きく影響を及ぼします。そのため、新しい制度などを導入する際には、従業員がその意義を実感できるよう経営層からメッセージを伝えるようにしてください。意義や重要性を伝えなければ、現場から反発が生じることもあります。

 

個別面談をおこなう

社会的包摂については、社員の心理・意識面にも大きく影響します。そのため、個別面談をおこない、どの程度の意識改革が進んでいるのかを確認する必要があります。ヒアリング項目としては、例えば下記のようなものが考えられます。

 

  • 性別による差別をおこなっていないか
  • 障害者に対して差別をおこなっていないか
  • 日本人と外国籍の部下に対してコミュニケーションに違いはあるか
  • 介護や育児を理由にした早退がしやすい環境にあるか

 

こういったヒアリングを通して、社会的包摂に関する施策の見直しにつなげます。

 

定期的な計測と見直し

社会的包摂に取り組む際には、その進捗度や影響度を定期的に測定する必要があります。そして報告書などをレポートにまとめ、WEBサイトなどの発表につなげていきます。具体的な測定項目としては次のような指標が考えられます。

 

  • 障害者の割合
  • 女性社員と男性社員の比率
  • 女性の管理職比率
  • 育児休業取得率

 

こういった項目についての定期的な測定結果を受け、今後の改善点を加えていきます。

 

社会的包摂に取り組む際の注意点

社会的包摂に取り組む際に、企業が注意すべき点をお伝えします。

 

企業のイメージアップを主目的にしない

社会的包摂に取り組むもともとの目的は、多様な人材が社会に参画でき、さまざまな能力・個性を社内で活かすことです。

 

もちろん、そうした取り組みによって他社や顧客から高評価を得られることもありますが、それが主目的とならないように注意してください。外部からどう評価されるかが主目的になってしまうと、次第に施策の方向性が変わるからです。

 

従来の優秀な人材の概念にとらわれない

これまで採用をおこなう際には、自社の基準に基づく優秀な人材を積極的に採用してきたと思います。例えば、外国語ができることやパソコンの能力が高いなどのことです。

 

しかし、社会的包摂に取り組む場合、これまでこだわってきた優秀な人材の概念を取り払う必要があります。従来の固定概念を捨てることによって、初めて多様な人材を活かすことにつながります。

 

時間がかかることを想定する

社会的包摂に取り組むことは、非常に時間がかかることです。制度改革や働き方改革など、一朝一夕には進みません。社内環境や業績への影響など、年単位でみていく必要があります。

 

社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)の事例

ここでは、グローバル企業や日本企業がどのようにソーシャルインクルージョンに取り組んでいるのか事例を挙げて解説します。

 

学校法人望学園葛飾こどもの園幼稚園

望学園葛飾こどもの園幼稚園では、インクルーシブ保育と称して社会的包摂に取り組んでいます。インクルーシブ保育とは、すべての子供がクラスの一員になれる保育のことです。障害児の保育ではなく、障害児がいることを前提とした保育を目指します。

 

2018年度には全クラスで27名が在籍していましたが、各クラスに3-4名の障害児が在籍しています。保育者は1クラスあたり3名が配置されますが、障害児の担当制とはせず、全員で関わるように取り組んでいます。

 

P&G

P&Gでは誰もが自分らしく働くことができる環境を整え、インクルーシブな社会を目指しています。自閉症、ADHD、失読症などさまざまな疾患があっても、分け隔てなく採用をおこないそれぞれのユニークな力が発揮できるよう取り組んでいます。また、誰もが仕事を不自由なくできるような環境を実現するために、社内では字幕・自動音声認識機能などのデジタルの力を活用しています。

 

野村證券株式会社

野村證券株式会社では、多様な人材を積極的に採用しています。国籍だけでも約90種類に及ぶ社員が活躍しており、さまざまなバックグラウンドをもつ社員が協働することによって、イノベーションの源泉にしています。

 

まとめ

SEOコンサルタント今回は、社会的包摂についての基本事項や各企業の取り組みについて解説しました。欧米と比較して、日本はソーシャルエクスクルージョンの取り組みが遅れているのが現状です。しかし、今後の日本社会が包摂型社会に移行していくのは確実ですので、自社でもソーシャルエクスクルージョンに取り組むことを検討してください。

 

 

この記事の監修者

SEOコンサルタント

アドマノ株式会社 代表取締役 天野 剛志

日本大学法学部卒業、広告代理店で12年間働いている間、SEOと出会い、SEO草創期からSEO研究を始める。SEOを独学で研究し100以上のサイトで実験と検証を繰り返しました。そのノウハウを元に起業し現在、11期目。営業、SEOコンサル、WEB解析(Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持)コーディング、サイト制作となんでもこなす。会社としては今まで2000以上のサイトのSEO対策を手掛けてきました。

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