Google検索の「AIモード」とは?機能やSEOへの影響を解説
Googleは、検索エンジン上に新たなAIサービスとして、AIモードを追加することを2025年5月に発表しました。AIモードは、オーガニック検索(タブ「すべて」)とは、別タブ(タブ「AIモード」)として設置されます。
そのため、検索エンジンの使われ方が激変する可能性が高く、SEO業界では、大きな話題を呼んでいます。そして、今後のSEO対策にどのような影響を与えることになるのかが注目されています。さらに、生成AIによる検索流入の増加が見込まれることから、LLMO対策の重要性が再確認されています。

Google検索のAIモードとは
AIモード(AI Mode)とは、大規模言語モデル(LLM)のGemini(ジェミニ)を用いて検索結果を表示する、Google検索エンジン上で使えるチャット型の生成AIサービスのことです。
AIモードは、2025年5月に開催されたGoogle I/Oで発表されました。それによると、AI による概要(AI Overviews)を公開したところ、対話型のAI検索体験を求めるユーザーの声が多かったといいます。そこで、Google検索エンジンの新たなサービスとして、チャット型の生成AIを導入することになったとのことです。
AIモードとAIによる概要(AI Overviews)の違い
AIモードとAIによる概要(AI Overviews)は、表示場所や有する機能が異なります。両者の違いを簡単にまとめると、次のようになります。
– | AIモード | AIによる概要 |
表示場所 | 専用のAIモードタブ内 | オーガニック検索画面の上部 |
表示内容 | より広範で多様に | – |
機能 | 順次追加予定 | – |
Google検索エンジンのAIモードは、チャット型の生成AIサービスです。その一方で、AIによる概要(AI Overviews)は、検索クエリに対して、回答となるテキストを自動生成するAIサービスです。もともと、AIによる概要は、検索ユーザーの反応をうかがうためのテストとして運用されていた側面を持っていました。こうした意味では、AIモードは、AIによる概要が進化した姿ともいえます。
▲AIモードの表示画面
▲AIによる概要の表示画面
AIモードでできること
Google I/Oの情報では、AIモードには、順次新たな機能を搭載していく予定と発表しています。追加予定の機能では、次のようなことができるようになります。
- 検索エンジンを用いた調査時間を短縮できる
- スマホカメラに映した情報をリアルタイムで調べられる
- ショッピング時に、WEB上で必要な作業を代行してもらえる
- ユーザーの履歴に合わせて、AIモードが適切な情報を提案してくれる
- データのグラフを生成してくれる
検索エンジンを用いた調査時間を短縮できる
Deep Searchは、ユーザーの質問に対して、より綿密で詳しい回答を調査するための機能です。この機能は、クエリファンアウトと呼ばれる、独自の技術をベースにしています。そして、回答表示に必要な複数回の情報検索を瞬時に実行し、専門家の情報を数分でまとめて、回答テキストを表示します。
そして、この機能によって、検索ユーザーは、通常では何時間もかかる膨大な調査時間を短縮できます。
スマホカメラに映した情報をリアルタイムで調べられる
Search Liveは、Googleレンズを用いて、カメラに映るリアルタイムの情報を会話を通じて検索する機能です。この機能は、Googleが開発した音声対話型のAIアシスタントのGemini Liveを検索エンジンに導入することで実現する予定です。
検索ユーザーとしては、課題が発生したときに、目の前のものをスマートフォンのカメラで映し出します。たとえば、目の前の商品の正式名称を知りたい時に、AIに質問すると、数多あるWEBコンテンツの情報のなかから、その答えとなる商品の情報を探し当ててくれます。
ショッピング時に、WEB上で必要な作業を代行してもらえる
Googleが開発するProject MarinerのAIエージェントをAIモードに導入する予定です。この機能によって、AIモードがユーザーのタスク(作業)を代行してくれるようになります。
たとえば、ユーザーがEC経由で野球のチケットを購入しようとしているとします。このとき、ユーザーがAIモード上で「指定の日にちで安い野球のチケットを探して」と入力すると、候補となるチケット情報をピックアップしてくれます。
さらに、購入することを決めたチケットの決済作業もAIに任せることもできます。
ユーザーの履歴に合わせて、AIモードが適切な情報を提案してくれる
検索ユーザーの過去の検索履歴がAIモードに反映されるようになります。また、この機能は、GoogleアプリやGmailとも連携し、より多くの個人の情報が情報源として扱われる予定となっています。
この機能によって、検索ユーザーは、AIモードから適切な情報を提供してもらいやすくなります。
データのグラフを生成してくれる
数値データを視覚化したいときには、AIモードが表やグラフを生成してくれます。そして、この機能では、まずは、スポーツと金融に関連する検索クエリに対応する予定となっています。
たとえば、特定の株価が含まれる業界全体の動向を把握したいとします。すると、AIモードが業界全体の株価の値動きを分析し、全体的な業界の動きを示すグラフを生成してくれます。
日本国内でAIモードを使う方法
AIモードは、アメリカ内のGoogle検索エンジン(英語版)でのみ公開されています(2025年7月時点)。そのため、原則的には、日本国内の検索エンジンでAIモードを利用することはできません。
ただし、VPN(Virtual Private Network / 仮想の専用線)と呼ばれるアプリケーションを用いることで、国内からAIモードを試してみることができます。そのために必要な作業は、次のとおりです。
- VPNアプリをインストールする
- Googleアカウントの言語を設定する
- AI Modeを起動する
1.VPNアプリを利用する
まずは、アメリカ版のGoogle検索エンジンにアクセスするために、VPNアプリを使って仮想の専用線を用意します。本項目では、chromeの拡張機能「TunnelBear VPN」の利用を事例として解説しています。
- ブラウザ「chrome」を起動する
- 「chromeウェブストア」の拡張機能「TunnelBear VPN」にアクセスする
- 「chromeに追加する」をクリックする
- 「TunnelBear」のアカウントを作成する
- 拡張機能「TunnelBear VPN」で「United States」を選択して、ラジオボタンをオンにする
▲「5」の画面。ここまで作業を終えると、擬似的にアメリカ版のGoogle検索エンジンにアクセスできるようになります。
2.Googleアカウントの言語を設定する
Googleアカウントの設定から言語環境を英語に変更します。
- Googleアカウントにログインする
- 左メニュー「個人情報」→「ウェブ向けの全般設定」→「言語」をクリックする
- 「+他の言語を追加」をクリックする
- 「English」と検索して、「United States」を選択し、「保存」をクリックする
- 「優先言語」に「English」を指定する
▲「5」の画面。
3.AI Modeを起動する
まず、「1.VPNアプリを利用する」と「2.Googleアカウントの言語を設定する」で設定した環境のまま、アメリカ版のGoogle検索エンジンのSearch Labsにアクセスします。そして、Search Labs内でAI Modeを起動すると、検索エンジン上で利用できるようになります。
- 「Search Labs」にアクセスする
- 「Turn on」をクリックする
- Google検索結果を表示して、タブ「AI Mode」をクリックする
- 質問フォームに検索キーワードを入力する
▲「2」の画面。青印をクリックして、AI Modeを起動します。
▲「3」の画面。Google検索エンジンのオーガニック検索結果を表示すると、メニュータブに「AI Mode」が追加されていることが確認できます。
▲「4」の画面。ここがAIモードのページです。下段に表示されている「Ask anything」と書かれているフォームにテキストを入力すると、AIモードの検索結果が表示されます。
ご覧のとおり、AIモードは、ChatGPTなどのように、チャット型の生成AIとなっています。すでに国内のGoogle検索エンジンに実装されている、「AIによる概要」(AI Overviews)をチャットのように利用できます。ただし、2025年7月現在では、日本語に未対応となっています。
そのため、日本語で検索すると、下記のように「AIモードは英語のみ対応しています。他言語のサポートに関しては、しばらくお待ちください」という旨の回答文が表示されます。そのため、一度、英文で質問を入力したのちに、Google翻訳で回答ページを日本語化する作業が必要です。
AIモードがSEOに与える影響とは? アメリカ版のAI Modeに聞いてみた
AIモードが追加されることで、Google検索エンジンの環境が大きく変化することが予測されます。そのため、これまで以上に、生成AIの流入を促す、LLMO対策の重要性が高まることになりそうです。
今回は、せっかくですので、アメリカ版のGoogle検索エンジンのAI Modeに対して、「AIモードの追加がSEOに与える影響」について聞いてみました。その回答として、下記のような点を提示してくれました。
- オーガニッククリック数の減少
- 「引用」されることの重要性
- 検索意図に応じたコンテンツの重要性
- コンテンツ戦略の変化
- E-E-A-Tの重要性
▲画像は、「AIモードがSEOに与える影響」について質問し、回答テキストをGoogle翻訳で日本語に訳したものです。
各論まで記すと、非常に多くの情報が掲載されていました。要約すると、まず、下記のようなことが起こりえるようです。
- オーガニック検索のクリック数が減少する
そこで、AIサマリーに引用されることの重要性が高まります。そのための施策として、次のようなものが挙げられます。
- コンテンツSEOやE-E-A-Tを強化する
- LLMO対策を導入する
結論だけ先に書いておくと、WEBサイトのオーナーとしては、従来のSEO対策を継続して進めつつ、AIサマリーに追加される施策を導入することが大切になります。
オーガニック検索のクリック数が減少する
AIモードは、オーガニック検索(「ALL」タブ)と別のタブ(「AI Mode」タブ)として設置されています。そのため、AIモードでは、オーガニック検索結果が表示されません。つまり、AIモードの利用者が増え、オーガニック検索の利用者が減るにつれて、オーガニック検索によるアクセス流入が減少することを意味しています。
コンテンツSEOやE-E-A-Tを強化する
AIモードが回答テキストを生成する際に、情報源として、インデックス済みのWEB記事を引用します。そして、記事を引用する際には、記事品質の高さやサイトのE-E-A-Tを重視します。そのため、WEBサイトの運用者としては、コンテンツSEOやE-E-A-Tを高める施策が求められます。このうち、コンテンツSEOにおいては、次のようなコンテンツ作りの重要性が高まります。
- 独自コンテンツ(一次情報)を作る
- キーワードの検索意図を考慮して、その回答となるコンテンツを作る
- FAQに代表される、会話型のコンテンツを作る
つまり、原則としては、従来のSEO対策を継続すべきということです。
LLMO対策を導入する
そもそも、LLMO(大規模言語モデル最適化)とは、生成AIの回答テキストに対して、自社コンテンツの引用を促す施策のことです。このケースでは、Google検索エンジンのAIモードに自社ページを露出させることを指します。LLMOの詳しい導入方法については、下記リンク先の記事をチェックしてください。
関連記事:LLMO(大規模言語モデル最適化)とは?概念から施策の進め方まで解説
AIモードのよくある質問
Google検索エンジンのAIモードに関する、よくある質問をまとめています。
Q:日本でAIモードは使えますか?
Answer)AIモードは、先行してアメリカ国内のGoogle検索エンジンに実装されています。2025年7月現在では、原則的に日本国内でAIモードを利用することができません。
ただし、Googleアカウントの設定やVPNツールを利用することで、日本国内から擬似的にAIモードを利用する環境を構築できます。
Q:日本では、いつからAIモードを使えるようになりますか?
Answer)日本でAIモードが利用できる時期について、Googleから公式な情報が発表されていません(2025年7月現在)。そのため、日本国内でAIモードを使える時期は未定となっています。
しかし、AI による概要(AI Overviews)が日本の検索エンジンに実装された時期は、アメリカに遅れて3ヶ月程度でした。このことを考慮すると、数ヶ月以内に国内でAIモデルが利用できるようになる可能性があります。
Q:AIモードが実装されたら、SEO対策は不要になりますか?
Answer)結論だけいうと、WEBサイトの運用者としては、SEO対策を続けることが必須となります。
よく、「これからの時代はLLMO対策が重要で、SEO対策は終わりなのでは?」といった見解が散見されますが、この見解は正しくありません。性格には、「SEO対策を続けることを前提として、LLMO対策の導入が必要になる」ということです。
そもそも、AIモード(というより、現状におけるすべての生成AI)は、WEB上で公開されるサイトやページを情報源として、回答テキストを生成しています。そして、その情報源の候補となるのは、Google検索エンジンで上位表示するページ、独自コンテンツ、E-E-A-Tの評価が高いサイトが軸になります。
つまり、AIモードに自社ページが引用される条件として、SEO対策を通じて検索エンジン上で評価されることが前提になるということです。
Q:LLMO対策がうまくいかず、生成AIに引用されない場合は?
Answer)WEBマーケティングの専門会社に相談してください。
東京SEOメーカー(本サイト)では、SEO対策やLLMO対策、その他WEBマーケティングの支援サービスを提供していて、これまでに支援サービスの導入企業が2,000社を超えています。LLMO対策でお困りの方は、下記リンク先のフォームよりお問い合わせください。>>LLMOコンサルティングサービス
まとめ
