BtoB（企業対企業）のビジネスにおいて、SEO（検索エンジン最適化）はウェブサイトへのトラフィックを増やし、リードジェネレーションや顧客獲得につながる重要な施策です。
しかし、BtoBのビジネスはBtoCのビジネスとは異なる特性を持つため、SEO対策も特殊なやり方があります。

本記事では、BtoB企業が成功するためのSEO戦略について具体的に解説します。

BtoBとは

BtoB（Business-to-Business）は、企業間のビジネス取引を指す用語で、企業が他の企業に対して商品やサービスを提供します。これは、一般消費者向けに商品やサービスを提供するBtoC（Business-to-Consumer）とは対照的です。

BtoB取引は、企業が他の企業のために特別な製品、サービス、またはソリューションを開発・提供します。例えば、原材料供給業者、製造業者、卸売業者、情報技術（IT）サービスプロバイダーなどがBtoBの典型的な事例です。

BtoB市場は、長期的な関係性、より高い取引価値、およびより複雑な販売プロセスが特徴として挙げられます。また、BtoBビジネスでは、専門知識や技術的なサポートが重要な役割を果たすことが多いです。
 

BtoB SEOのやり方

BtoB SEOの特徴は、製品やサービスページがナビゲーションクエリとして指名検索されコンバージョン獲得するようにサイト内部を調整する施策と、コンテンツSEOで、トランザクションクエリやインフォメーションクエリによる潜在層へのリード獲得のための記事実装の２つの施策が柱となります。

特に、BtoBのSEOでは、キーワード戦略が重要です。BtoB SEOでは、ターゲットとなるオーディエンスが専門的であり、特定の業界や役割に関心があることが一般的です。そのため、キーワードリサーチやコンテンツ戦略は、その業界の専門知識や用語に焦点を当てます。

また、BtoBの購買プロセスは、多くの場合、BtoCよりも長期的で複雑です。複数の意思決定者が関与し、より多くの情報が必要とされることが一般的です。そのため、SEO戦略では、購買プロセスの各段階に対応したコンテンツを提供することが重要です。
 

BtoB SEOの手順

BtoBのSEOの成功には、キーワード選定、ペルソナの抽出とカスタマーニーズの理解、コンテンツSEO、データ分析と改善が不可欠です。

BtoBSEOの手順は以下です。

対策キーワードを選定する

まず、ターゲットとなる業界や顧客について理解を深めます。その業界や顧客が抱える課題やニーズ、使用される専門用語などに精通することが重要です。次に、キーワードリサーチツール（例：Google Keyword Planner、Ahrefs、SEMRushなど）を使用して、ターゲット業界や顧客が検索する可能性のあるキーワードを調査します。この際、競合他社のWebサイトや業界専門家のブログなどを参考にすると、適切なキーワードの発見が容易になります。BtoB SEOでは、一般的なキーワードよりも具体的で競合が少ないロングキーワードをターゲットにすることも効果的です。

ペルソナの抽出

BtoB SEOのペルソナ抽出は、顧客の理解とターゲット設定に役立ちます。ペルソナは、ターゲット顧客の架空のプロフィールを作成することで、マーケティング戦略やコンテンツ作成を効果的に行うことができます。

既存顧客や見込み顧客からデータを収集し、その特性やニーズ、行動パターンを分析します。データ収集には、顧客インタビューやアンケート、CRMデータ、Web解析データなどが利用できます。

意思決定者や影響力のある人物の役割と責任を特定します。これには、彼らの立場や求める情報、関心事項、課題解決の方法などが含まれます。

収集した情報をもとに、1つ以上のペルソナを作成します。ペルソナには、名前、年齢、性別、職業、役割、責任、目標、課題、コミュニケーションスタイル、情報収集方法などの詳細を含めます。

ペルソナをもとに、SEO戦略やコンテンツ作成を行います。具体的には、ペルソナが関心を持つであろうキーワードの選定、コンテンツのトピックや形式の決定、コンテンツのターゲティングや配信方法の最適化などに活用します。
 

カスタマージャーニーの理解

BtoB SEOにおいてカスタマージャーニーの理解は非常に重要です。カスタマージャーニーは、顧客が購買プロセスを通じて経験する一連のステップやタッチポイントを表します。BtoBの購買プロセスは一般的に長期的で複雑であるため、カスタマージャーニーを理解することで、適切なタイミングで適切なコンテンツを提供し、顧客のニーズに応えることができます。

各ステップでの顧客の課題やニーズに対応するキーワードとコンテンツを特定し、マッピングします。これにより、カスタマージャーニー全体を通じて適切なコンテンツを提供することができます。

コンテンツ作成

ペルソナとカスタマージャーニーの把握ができたら、コンテンツを作っていきます。BtoB SEOのコンテンツ作成では、ターゲット顧客のニーズや課題に対応し、購買プロセスをサポートするコンテンツを作成することが重要です。専門用語を適切に使用しつつ、明確で簡潔な言葉で情報を伝えることが重要です。
 

データ分析と改善

BtoB SEOのデータ分析と改善は、ウェブサイトやコンテンツのパフォーマンスを評価し、最適化するために重要です。

SEO戦略における目標を明確に設定します。トラフィックの増加、リードの獲得、コンバージョン率の向上などをKPIとして目標に設定します。
次に、データ収集ツールの活用：Google AnalyticsやGoogle Search Consoleなどのデータ収集ツールを使用して、ウェブサイトやコンテンツのパフォーマンスデータを収集します。

収集したデータをもとに、ウェブサイトやコンテンツのパフォーマンスを評価し、問題点や改善点を特定します。例えば、高バウンス率のページや低コンバージョン率のキーワードなどを見つけ出します。

分析結果をもとに、具体的な改善策を立案し、実行します。これには、コンテンツの更新や追加、内部リンクの最適化、メタデータの改善、ページ速度の向上などが含まれます。

改善策の実行後、効果を測定し、フィードバックを行います。KPIの変化や目標達成度を評価し、必要に応じてさらなる改善策を実行します。

このように、SEOは継続的なプロセスであるため、定期的にデータ分析と改善を行い、ウェブサイトやコンテンツの最適化を進めます。データ分析と改善を行うことで、BtoB SEOの効果を最大化し、ウェブサイトやコンテンツのパフォーマンスを向上させることができます。

効果のあるBtoB　SEOの施策

具体的に効果のあるSEO施策を下記に上げます。

業界の用語集のページコンテンツ実装

BtoBでは、専門用語による検索が多く、狙うべきキーワードも専門性が高くなる傾向があります。専門用語をまとめたわかりやすいページコンテンツを作成し、実装することで、業界の専門用語でユーザーが検索したときに上位表示されるようにSEO対策をすると効果的です。

製品名やサービスページのサイト内部キーワード最適化

コンテンツ記事とは別に、製品名やサービスページが指名検索のナビゲーションクエリで表示するように、ページタイトルとメタディスクリプションを設定します。特に製品ページなどは、写真と製品名だけの簡素なページではないように、情報をたくさん掲載しましょう。

参考：SEOに効果的なタイトルの文字数とは？タイトルの付け方とタイトルタグについて解説

専門的な知識のコンテンツSEO

BtoBでは、業界の専門用語や業界のトレンドなどキーワードのテーマがより絞られてきます。コンテンツSEOでは、より専門的な経験による記事が評価されます。営業の現場からの情報や本業だからこそ発信できる独自性の高い専門情報をコンテンツSEOで配信していくと効果があります。競合調査や顧客インタビューを通じて、ターゲット顧客の課題や関心事を把握し、それに基づいたキーワードからコンテンツを作成します。

サービスが分かりやすくまとまったホワイトペーパー

BtoBでは、発注までのプロセスは、多くの場合、複数の意思決定者が関与し、長期的で複雑です。より多くの情報が必要とされます。そのため、ホワイトペーパーなどがあることにより、発注側の企業が社内でサービス情報を共有しやすくなり、上司への稟議も通しやすくなります。

SEO対策と連動してホワイトペーパーやeブック、ウェビナーなどのコンテンツも活用しましょう。購買プロセスの各段階に対応したコンテンツを提供することが重要です。

実績や導入事例からペルソナを抽出し、ターゲットに向けた記事

BtoBでは、顧客のターゲットがBtoCと比べ独自性が高く、独特なターゲティングが必要です。製品やサービスを購入した実際の顧客からペルソナを抽出し、ターゲットに向けた役に立つコンテンツ記事を実装していくと効果があります。例えば、導入した企業が食品メーカーであれば、食品メーカー向けに導入した製品のサービスを推す記事を作成したり、実績や導入事例を詳しく記載することもCV率アップに貢献します。

業界メディアへの出稿によるサイテーションや外部リンク獲得

SEOで上位表示していくには外部リンクやサイテーションが欠かせません。BtoB企業においては、業界団体やメディア、専門家とのコラボレーション、ゲスト記事の投稿、業界イベントへの参加などを通じて、自然なリンク獲得が望ましいです。

まとめ

BtoB SEOは、企業対企業のビジネス取引を対象としたリード獲得を向上させるための重要なマーケティング施策の1つです。ターゲット顧客や意思決定者のニーズや課題を理解して、BtoB市場向けのキーワードを選定します。BtoBならではの購買プロセスの各ステップやタッチポイントを把握し、顧客のニーズに応じたコンテンツを提供します。BtoBは特に専門用語などがコンテンツSEOのポイントとなりますので、今回の記事を参考に、BtoBのSEO対策に取り組んでみてください。

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この記事の監修者

アドマノ株式会社　代表取締役　天野　剛志

日本大学法学部卒業、広告代理店で12年間働いている間、SEOと出会い、SEO草創期からSEO研究を始める。SEOを独学で研究し100以上のサイトで実験と検証を繰り返しました。そのノウハウを元に起業し現在、11期目。営業、SEOコンサル、WEB解析（Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持）コーディング、サイト制作となんでもこなす。会社としては今まで2000以上のサイトのSEO対策を手掛けてきました。