リダイレクト(redirect)の意味とは?目的や必要な場面・設定方法を解説
Webサイトを運営していると「リダイレクト」という単語を耳にすることがあります。これは、特定のページを訪問したユーザーを指定のページへ転送する方法のことです。
複数のサイトを1つにまとめたり、メンテナンスを行ったりするときには必要になるため、Web担当者なら知っておいて損はありません。

リダイレクト(redirect)の意味とは何か
リダイレクトは、サイトを訪問したユーザーを事前に指定した別ページに遷移させる仕組みです。サイト運営者の視点で考えると、古いページから新しいページへ訪問者を移動させるために使う手法といえます。
反対に利用者目線では、自動でページが遷移するためリダイレクトについて意識したことがある方は少ないかもしれません。ただこの手法がないと、たとえばブックマークするサイトのURL更新時にページへアクセスできません。リダイレクトによって自動で転送されないので、更新前の古いものにつながってしまうためです。
よって運営者は、ユーザーを自動で遷移させる仕組みを理解しておく必要があります。Web担当者には必須の知識なので、利用経験がない方は理解を深めておいてください。
リダイレクト(redirect)の目的
では、ユーザーを遷移させる設定はなぜ必要なのでしょうか。実装する目的は、大きく以下の2つです。
- ユーザビリティの低下防止
- SEOでのマイナス評価防止
それぞれ詳しく解説します。
1. ユーザビリティの低下防止
一つ目の目的は、訪問者にとって利用しやすいサイトにすることです。転送設定をしていないと、ユーザーは古いページを訪問してしまいます。つまり、ユーザーは閲覧を希望していたコンテンツにアクセスできません。
インターネットの利用時、コンテンツが表示されないページにつながってがっかりした経験がある方は多いのではないでしょうか。古いページから自動で転送されないと、大半の方は別サイトで情報収集を始めます。アクセスユーザーの減少にも直結するため、転送設定をすることは重要です。
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2. SEOでのマイナス評価防止
二つ目の目的は、SEOでのマイナス評価を受けないことです。サイトやページが移動になったのに転送設定をしないと、GoogleやYahoo!は移動後のサイトを新しいものとして認識しません。そのため、たとえば上位表示しているページを更新した際には、URLの変更をGoogleなどが認識できないため評価が引き継がれないのです。
ページが移動になったと伝えている対象は、サイト訪問者だけではありません。不要なマイナス評価を防ぐためにも、適切なタイミングで正しく設定しましょう。
リダイレクト(redirect)が必要になる主な場面
サイト訪問者を転送する設定は、次のような場面で必要になります。
- サイトのリニューアル時
- ドメイン変更時
- サイトのSSL化時
- 一部ページでの不具合発生時
- サイトのメンテナンス時
まず考えられるのは、サイト更新時やドメイン変更時です。このケースで転送設定をしないと、URLを記録するユーザーは古いページを訪問してしまいます。通信を暗号化(https化)するSSL化時にも、同様の理由で実装が必須です。
また、不具合発生時やメンテナンス時といった一時的に別ページへ遷移してほしい場合にも、訪問者を転送させたほうが親切でしょう。メンテナンス中である旨や終了時刻の目安などを把握できると、利用者の不満は軽減されるためです。上記のような対応をする際には、転送設定を欠かさず行ってください。
リダイレクト(redirect)には大きく2種類ある
サイト訪問者を遷移させる方法は、301と302の2種類です。要点を簡潔にお伝えすると、両者の違いは転送を設定する期間にあります。それぞれの詳細を順に見ていきましょう。
1. 301リダイレクト
恒久的に訪問者を転送する301は、サイトの更新時やドメイン変更時など期間が限定的でない場合に行う設定です。この設定をすれば古いサイトやページの評価を引き継げるため、SEOでマイナス評価を受けたくないなら活用しない理由がありません。
301は永続的な転送設定であることを意味するため、検索エンジンに対しても評価を引き継ぎたい旨を伝えられるのです。一時的な変更ではなく、継続的に新規のURLを使用する際には301の設定を行ってください。
2. 302リダイレクト
永続的に訪問者を転送する301に対して、一時的に遷移させる仕組みが302リダイレクトです。301では検索結果に新しいURLが記載されますが、302では古いものが表示されます。そのため、URLを見ただけではページが変更になっているとわかりません。
302の設定は、サイトのメンテナンス時やページに不具合が発生した際などに用います。両者の違いを把握していないと、たとえばドメインを変更したのに302の設定をしてしまい、SEOの評価が失われるなどのトラブルに発展しかねません。転送設定を適切に行うために、2種類の違いについて正しく理解しておくことが大切です。
リダイレクト(redirect)の設定方法の種類
訪問者を転送する設定方法には、以下の2種類があります。
1. サーバーサイドリダイレクト
一つ目は、サーバーの指示によってユーザーを転送する仕組みです。歴史あるWebサーバー「Apache」の.htaccessファイルなどにアクセスしたり、PHPなどのサーバー側のスクリプト言語を用いたりすると設定できます。
やや複雑な内容ですが、ここでは「サーバー側が転送先の情報を返している」と理解しておけば問題ありません。二つ目の転送方法と比べて、すぐに新たなページへ遷移することが特徴です。
2. クライアントサイドリダイレクト
二つ目は、サイト運営者やサーバー管理者などにとっての顧客であるブラウザ側で転送情報を解釈する仕組みです。ページ遷移の情報がHTMLファイル内に記述されており、サーバーから転送の指示を受けない点が一つ目との違いといえます。
Webサイトを閲覧していて「数秒後にページが遷移する旨の表示」を見かけたことがある方は少なくないでしょう。この表示は、リダイレクト設定によりブラウザ側が転送情報を解釈した結果なのです。
Googleの推奨はサーバーサイドリダイレクト
複雑な内容なので、どちらの設定をすべきかと混乱した方がいるかもしれません。結論をお伝えすると、基本的にはGoogleが推奨するサーバー側の設定がおすすめです。
サーバー側が指示を出す方法のほうが、リダイレクトの情報をGoogleが正しく解釈する可能性が高まるからです。いい方を変えると、転送設定をすることでユーザビリティが低下したりSEOでマイナス評価を受けたりする可能性を減らせます。これからリダイレクトの設定をする方は、2種類の違いについて大まかにでも理解しておきましょう。
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リダイレクト(redirect)の具体的な実装方法
続いては、リダイレクト(redirect)の実装方法を解説します。種類やもっとも一般的な設定方法について、順に確認していきましょう。
実装方法は大きく5つ
リダイレクトの実装方法には、大きく以下の5つがあります。
- .htaccess
- PHP
- meta refresh
- JavaScript
- WordPressプラグイン
.htaccessとPHPを用いる方法はサーバーサイド、meta refreshとJavaScriptを使った方法はクライアントサイドのリダイレクトです。よって可能であれば、サーバーサイドのいずれかを使用することをおすすめします。
なお、JavaScriptでのリダイレクトは、Googleに認識されない可能性があると公表されています。同言語を用いる設定は、サーバー側の二つの方法及びmeta refreshでのリダイレクトが行えない場合にのみ使用しましょう。WordPressを使用している場合は「Redirections」などのプラグインを活用するのも一つの方法です。
もっとも一般的な「.htaccess」による実装方法
ドメイン・ディレクトリ・ページURLを変更する場合の記述例を紹介します。
ドメインの変更
「old.coml」から「new.com」
RewriteEngine OnRedirect permanent / https://www.new.com/
ディレクトリの変更
「example.com/old/sample.html」から「example.com/new/sample.html」
記述例)
RewriteEngine on
RewriteRule ^old(.*)$ /new$1 [R=301,L]
ページURLの変更
「example.com/old.html」から「example.com/new.html」
記述例)
RewriteEngine on
RewriteRule ^old.html$ /new.html [R=301,L]
Googleが公表する設定方法を知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
リダイレクト(redirect)設定後に確認すべきこと
次にこの章では、サイトやページの転送設定をした後に確認すべき内容を紹介します。
- ページが正しく遷移するか
- 検索結果に表示されるか
1. ページが正しく遷移するか
転送設定をしたら、実際にページが遷移するかどうか確認しましょう。意図したとおりにページが遷移しない場合は、誤った設定をしている可能性があるからです。
リダイレクトが正しく実装されているかどうかは、301・302・303などのステータスコードを見ることでも確認できます。ステータスコードを確認する無料のツールも多くあるため、必要に応じてこれらのサービスを活用するとよいでしょう。
2. 検索結果に表示されるか
ページの遷移だけでなく、検索結果への表示を確認することも大切です。適切に表示されない場合は、やはり実装方法を誤っているかもしれません。
リダイレクトの設定が検索エンジンに反映されるまでには、基本的に数週間程度かかります。設定直後にはクロールに認識されていないことがあるので、確認するのはある程度時間が経過してからにしてください。
リダイレクト(redirect)についてよくある質問
最後に、リダイレクト(redirect)についてよくある質問に回答します。
- リダイレクトについてサイト運営初心者が知っておくべきことは?
- 301リダイレクトはいつ解除したらいい?
- リダイレクトの警告が出た場合はアクセスしないほうがいい?
- サイト利用時にリダイレクトが繰り返された場合の対処法は?
1. リダイレクトについてサイト運営初心者が知っておくべきことは?
最低限、リダイレクトには以下の2種類があることを知っておきましょう。
- 301リダイレクト:恒久的にユーザーを転送する
- 302リダイレクト:一時的にユーザーを転送する
これらは、用途に応じて使い分ける必要があるからです。転送設定をする理由によって、どちらの設定をすべきかは異なります。違いを正しく把握し、適切な方法で設定しましょう。
2. 301リダイレクトはいつ解除したらいい?
少なくとも、1年程度は解除しないことをおすすめします。あまり時間が経過していない状態で解除すると、検索エンジンにドメインやURLの変更を認識してもらえないからです。
また、外部サイトから自サイトへのリンクがある場合に、変更前のページが表示されてしまう恐れがあります。一つの目安として、変更前のページにアクセスがある間はリダイレクトを解除しないほうが無難でしょう。
3. リダイレクトの警告が出た場合はアクセスしないほうがいい?
Webサイトの閲覧時、不適切なリダイレクトが設定されているとGoogleが判断した場合には、画面に警告が表示されます。「http://example.comにリダイレクトしようとしています」といった旨の警告を見たことがある方は多いでしょう。
警告が出たページは転送設定を誤っている可能性があり、なかには悪意を持って不正なリンクへ誘導しているケースもあるため危険です。信頼性に乏しいサイトで警告表示が出たら、基本的にはアクセスを避けましょう。
4. サイト利用時にリダイレクトが繰り返された場合の対処法は?
誤った転送設定をしているサイトにアクセスすると「リダイレクトが繰り返し行われました」と表示されることがあります。多くの場合は設定側に問題があるため、サイト利用者に非はありません。ただ、ユーザー側で実施できる対処法もいくつか存在します。
- ブラウザの再起動
- シークレットモードでのアクセス
- Cookieの削除
再起動やシークレットモードでの閲覧であれば、実施するのにあまり手間はかかりません。どうしてもサイトにアクセスしたい場合は、上記の方法を試してみてください。

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