UXとは?メリットや具体的な施策、優れた実例から学べる点など解説

WEBマーケティングにおいて、UX(ユーザー体験)は顧客満足度を高めるだけでなく、ビジネスの成果やSEOにも大きな影響を与える重要な要素です。
検索エンジンは「ユーザーにとって有益な体験」を評価軸としており、UXが悪ければ直帰率や滞在時間に悪影響を及ぼし、結果として検索順位の低下につながるからです。
実際、デジタルマーケティング会社UXCamの調査によれば、UXに1ドル投資するとおよそ100ドルのリターンがえられるという報告もあります。そこで、定義からメリット、具体的な施策、そしてWEB担当者が自覚しておくべき未来の視点までを詳しくお伝えします。
UX(User Experience)とは?
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、WEBサイトやアプリを利用する際のすべての体験を指します。
「すべての体験」というのは見た目のデザインだけではなく、ナビゲーションのしやすさ、情報の見つけやすさ、ページの読み込み速度、コンテンツの関連性、商品購入のしやすさなど、機能性までを含むという意味です。
そして、そのUXが快適かどうかという点が、ユーザー満足度や顧客ロイヤルティ、そして最終的なコンバージョン率に大きな影響を与えます。
UXが向上するメリット
UXが向上すると、顧客満足度が高まり、リピーターの獲得や売上向上につながります。直感的に使いやすいWEBページやアプリはストレスを減らし、ブランドへの信頼感を高めます。そこでUX改善がもたらす具体的なメリットを詳しくお伝えします。
CV率の向上
UXが改善することで、コンバージョン率が向上します。例えば、WEBサイトの体験をスムーズにすることで、ユーザーが商品ページをより多く閲覧したり、問い合わせフォームをクリックしたりする可能性が高まります。
シンプルで分かりやすいナビゲーションがあれば、ユーザーがWEBサイトに長く留まりやすく、最終的な購入や登録といった行動に結びつきます。
特にコンバージョン率の向上に直結しやすい箇所としては、決済プロセスが挙げられます。クレジットカード情報や個人情報を入力しやすいようにすることで、顧客はストレスなく買い物を完了でき、満足度も向上します。
ブランドイメージの向上
UXの改善は、ブランドイメージの向上にも役立ちます。なぜなら、優れたUXは顧客満足度を高め、WEBサイトや企業そのものに対するポジティブな印象をつくるからです。
直感的に使いやすく、全体として快適な体験ができると、顧客はその商品や企業に対して信頼感を抱くようになります。満足した顧客は、その体験を口コミで友人や同僚に勧めたり、肯定的なレビューを投稿する可能性が高まります。
競争力の強化
競争力の向上にも、UXは役立ちます。優れたUXであれば、ユーザーはWEBサイトやアプリに対して満足度が高く、繰り返し利用しようという強力な動機づけになります。
逆に、使いにくいWEBサイトやアプリは、ユーザーを競合他社に流出させる原因となります。このように、UXの満足度が高いユーザーは長期的に利用してくれる可能性が高いため、激しい市場競争の中でも、自社が成功する強力な要因となります。
UXを向上させる施策
UXを高めるためには、デザインの見直しだけでなく、ユーザーの行動や心理を理解した改善が欠かせません。小さな使いにくさが離脱を招く一方で、快適な体験が長期的なファンを育てます。そこで、すぐに実践できるUX向上の施策を解説します。
ユーザーのリサーチ
UXを向上させるための施策として、まずはユーザーのリサーチが挙げられます。具体的には、ユーザーへのインタビューやアンケート、テストといった多様な手法を用いて、ターゲットとなるユーザーのニーズや課題を理解するようにしてください。
このリサーチを通じてえられた定性的・定量的なデータは、社内の仮説を検証し、ユーザーが本当に価値を見出すWEBサイトの客観的な指標となります。
リサーチによって、WEB担当者やデザイナーはユーザーの感情や課題を理解できるので、ジャーニーマップを作成するなどして、ユーザー中心の設計でWEBサイトを構築してください。
シンプルなデザイン
2つ目の施策としてはシンプルなデザインの導入が挙げられます。ユーザーがWEBサイトやアプリをストレスなく利用できるようにするために、この点は非常に重要です。
具体的には、最小限の装飾を心がけ、ホワイトスペース(余白)を効果的に活用することで、ユーザーを情報過多で圧倒しないように注意します。UXで成功しているWEBサイトやアプリの多くは、ユーザーを一度に1つの主要なアクションだけに集中するように設計しています。
気を散らす要素を減らし、明確なアクションを1つだけ提示することで、ユーザーは迷うことなく、購入や登録といった行動をとることができます。このようにシンプルにすることは、UXを向上させるためのもっとも基本的な戦略の1つです。
一貫性
一貫性は、WEBサイトやアプリのUXを向上させる重要な施策です。デザインやボタン、構成パターン、ナビゲーションの操作など、WEBサイト全体で一貫性を保つことで、ユーザーは次に自分がどうすればいいかを予測しやすくなります。
こうすることで、ユーザーが新しい画面に遷移しても、認知的な負担が軽減され、WEBサイトやアプリがより直感的で使いやすいと感じられます。一貫性は、WEBサイトのUXを高める基本的な原則です。
表示速度の最適化
UXを向上させる4つ目の施策は、表示速度の最適化です。WEBサイトの読み込みが遅いと、ユーザーは苛立ちを感じ、サイトから離脱してしまう可能性が高くなります。実際に、表示速度が遅ければ購買意欲が低下し、企業としてのイメージも低下します。
具体的には、画像の圧縮、コードの最小化、キャッシング技術の活用などが挙げられ、どれもサイトパフォーマンスを最適化するのに役立ちます。
どうしても、技術的な制約で読み込み速度を上げられない場合は、読み込み中であることを視覚的に表示する「進捗インジケーター」を表示するなどして、UXの低下を避けることもできます。
関連記事:サイトスピード(ページ表示速度)とは? チェックツールや改善方法を解説
ナビゲーションの明確さ
分かりやすいナビゲーションを設計することも、UX向上に有効です。分かりやすいナビゲーションとは、ユーザーが必要な情報や機能を簡単に見つけられるよう論理的な構造で設計されているという意味です。
直感的で使いやすいナビゲーションは、ユーザーが求めるページやお問い合わせフォームなどにスムーズにたどり着くことができ、ブランドに対する信頼性を確立するのに大いに役立ちます。
これからのUXに求められること
テクノロジーの進化や価値観の多様化に伴い、UXに求められる基準は常に変化しています。これからは単なる使いやすさだけでなく、AI活用やパーソナライズ、アクセシビリティへの配慮が鍵を握ります。そこで、今後のUXに期待される要素についてわかりやすく解説します。
ビジネス目標との連携
これからのUXに求められることのつ1つは、ビジネス目標との連携が挙げられます。UXはユーザー満足度の向上のためだけにあるのではなく、企業の収益性に直接貢献するものとして、施策を進める必要があります。
具体的には、ユーザーのニーズを満たす体験を実現しながら、それが顧客維持率の改善やコンバージョン率の向上といったビジネスの成果に結びつく必要があります。そのため、WEB担当者は、これまで以上に幅広い視点を持って、特定の施策が企業の目標達成にどうつながるのかを検証していく必要があります。
AIとの融合
AIをUX向上における協力者として捉え、実装することが大切です。身近な例としては、ECサイトが閲覧履歴や購入履歴に基づき、トップページのおすすめ商品を切り替えるなどの「アダプティブインターフェース」などが挙げられます。
また、AIはワイヤーフレームの自動作成やA/Bテストのバリエーション生成といった反復的なタスクを自動化し、ビジネス目標との連携にも役立ちます。このように、AIとの融合は今後、UX向上施策を進めるうえで重要な要素といえます。
UXの優れたWEBサイト
優れたUXを備えたWEBサイトは、訪問者に快適な操作性や安心感をあたえ、自然にコンバージョンへと導きます。そこで、WEB担当者が知っておくべきポイントを事例を交えて解説します。自社のUX向上に役立ててください。
Amazon
UXの優れたサイトとして「Amazon」が挙げられます。購入プロセスを極限まで合理化し、ユーザーを単一の行動に集中できるよう設計されています。特に象徴的なのが「今すぐ買う」ボタンです。
このボタンがあることで、ユーザーはワンクリックで購入を完了でき、決済に至る手間を大幅に削減しています。最大限、気を散らす要素をなくし、購入という1つの明確なアクションを促すことで、ユーザーがコンバージョンする可能性を高めています。
Google Store
Google Storeは、Googleが運営している直販のECサイトです。優れたUXを持っています。基本的には無駄な装飾をせず、最小限のデザインと、卓越したサイトの表示速度に強みがあります。
Googleストアは通常1〜2秒以内に読み込まれ、ユーザーが待ち時間にいらだってサイトを離脱するのを防いでいます。さらに、購入時の決済を簡素化し、不要な入力項目問をなくすことで、ユーザーがスムーズに決済完了できるようになっています。
Spotify
音楽配信サイト「Spotify」も優れたUXを持っていますSpotifyは、高度なパーソナライゼーションとカスタマイズ機能に強みがあります。ユーザーはカスタムしたプレイリストを作成し、好みのアーティストやジャンルに基づいて音楽ライブラリを整理できます。
このような機能は、ユーザーが時間と労力を費やしてプラットフォームを自分仕様にすればするほど、そのサービスへの愛着とコミットメントが深まり、競合サービスを利用する選択肢がなくなります。結果として、長期的なエンゲージメントが促進されます。
UXのよくある質問
ここでは、WEB担当者が知っておくべきUXに関するQ&Aをお伝えします。WEBサイトの結果輪大きく左右する重要なテーマなので、早速ご確認ください。
Q.UXはSEOに関係あるのですか?
Answer)検索エンジンはユーザーにとって有益な体験を重視しているため、UXが悪い(表示が遅い、離脱率が高い、モバイル非対応など)とSEO評価も下がります。そのため、SEOにおいても日々、UX向上に取り組むことが成果につながります。
Q.デザインが派手ならUXも良いのですか?
Answer)派手なビジュアルが良いとは限りません。逆にユーザーの目的達成を妨げることもあります。
そもそも、UXの本質は見やすさや分かりやすさです。そのため、過度な装飾は、情報過多に陥らせ、ユーザーの行動を妨げてしまう可能性があります。
Q.すべてのユーザーに最適化することを目指すべきですか?
Answer)それは現実的ではありません。
ユーザーは多様なので誰にとって最適化するかを決める必要があります。つまり、UXに取り組む際には、自社が想定しているペルソナを明確にしておく必要があります。
Q.UXは文化によっても異なりますか?
Answer)ことなります。特に越境ECなどを考えている場合、現地の国や地域に合わせた対応が必要です。
越境ECを考えているのであれば、一度、東京SEOメーカーに問い合わせて相談することをおすすめします。
関連記事:越境ECとは?市場規模、メリット、デメリット、始め方までを解説
まとめ
UXへの取り組みは、見た目や使いやすさを向上させることに留まらず、最終的な企業のゴールに役立つ施策です。特に、これからの時代は、AIなどの新しい要素も含めて、常にユーザー視点に立った改善が求められるはずです。
WEB担当者としてはこれらの視点を今から自覚し、UX改善に努めてください。また、自社の仮説だけに基づいて施策を進めるのではなく、ユーザーの反応を確認しながら進めることも大切です。
UXは、まさにユーザーのための施策なので、レスポンスに対して常にアンテナを張っておくようにしてください。そして、判断に迷ったときには、東京SEOメーカーにご相談ください。




