Webマーケティングとデジタルマーケティングの違いは?各手法や重要点について
「デジタルマーケティング」と「Webマーケティング」という言葉を耳にしたことはあるでしょうが、違いについて理解していない方もいるでしょう。
Webマーケティングとデジタルマーケティングの違い
同じような言葉に「デジタルマーケティング」と「Webマーケティング」があります。両者は同じような領域を指していますが、Webマーケティングよりもデジタルマーケティングのほうが広義です。
つまり、デジタルマーケティングのなかに、Webマーケティングが含まれるのです。次のイラストを参照してみてください。
デジタルマーケティングでは、あらゆるデジタル技術を活用しています。そのなかでも「Web」に特化したマーケティングが「Webマーケティング」です。
デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとは、簡単にいえばデジタル技術を活用して商品・サービスを宣伝するマーケティング手法です。
詳しく紐解けば、データ分析によって商品・サービスを認知してもらい、購買してもらうことで購買データを取得します。その購買データをもとに商品・サービスの開発を行い、さらに最適な購買体験を提供する、この一連の流れを「デジタルマーケティング」と呼んでいます。※
現代では主要なマーケティング手法の1つで、デジタルマーケティングの専門部署を設置する企業も増えています。
※参照文献:牧田 幸裕(2017年)「デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク」。
デジタルマーケティングの主な手法
デジタルマーケティングの主な手法について紹介します。
Eメールマーケティング
Eメールマーケティングとは、メールを通じてコンテンツを配信することで、自社の商品・サービスに関心をもってもらうマーケティング手法です。
LINEやInstagramなどのSNSが発達している現代において「メールは効果的なマーケティング手段ではない」と感じるかもしれません。しかし依然、インターネットの利用目的でもっとも上位にあるのは「電子メールの送受信」です。
一口にEメールマーケティングといっても、その手法はさまざまです。そこで主要なメールマーケティングの手法について紹介します。
<Eメールマーケティングの主な手法>
手法 | 内容 |
メールマガジン(メルマガ) | キャンペーン情報やコンテンツを通じて、成約までつなげる手法 |
ステップメール | 「資料請求者」「商品・サービスの購入者」といった特定のターゲットに対して、準備していた複数のメールを順次配信する手法 |
リターゲティングメール | 成約の途中で止まっているターゲットに対して、アクションを促す手法 |
このようにメールマーケティングでは、ターゲットの属性に応じ配信するメールを変えるのが重要です。
SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、SNSを活用して商品・サービスを宣伝し、成約までつなげるマーケティング手法です。無料の投稿機能だけでなく、SNS広告やインフルエンサーマーケティングも含めて「SNSマーケティング」と呼びます。
SNSは20~40代を中心に、多くのユーザーが利用する媒体です。最近では商品・サービスを購入する前にSNSで情報収集しているユーザーも多く、現代でSNSマーケティングの重要性は高まっているといえます。
SNSマーケティングで用いられる主要なSNSは、次のとおりです。
<SNSマーケティングで用いられる主なSNS>
SNS | 特徴 |
画像や動画の投稿に特化したSNS。ハッシュタグで特定のワードを検索できるため、商品の購入前に製品について検索するユーザーも多い。 | |
拡散性の高さが特徴のSNS。クーポン配信やキャンペーン情報の宣伝に向いている媒体。 | |
ビジネス目的で利用されることも多いSNS。有用なコンテンツを配信することで、顧客からの信頼を得るのに向いている。 |
業種や自社の製品によって、選ぶべきSNSは異なります。SNS自体は無料で始められるので、まずは試してみるのもおすすめです。ただし、アカウントが中途半端な運用になっていると、顧客から悪い印象を受ける点には注意が必要です。
IoT
IoTとは「Internet of Things」の略称で、あらゆるモノがインターネットにつながることです。テレビやデジタルカメラ、冷蔵庫などインターネットにつながる情報家電が増えており、それに伴ってデータを活用する機会も増えています。
IoTをマーケティングに活用することで、ターゲットに合った商品・サービスを開発したり、顧客データをもとに製品開発に活かしたりできるのです。
たとえばIoTは、設備保全で活躍しています。メンテナンス対象の設備でセンサーを導入することで、些細な変化を検知したり、人が立ち入れないような危険な場所の監視も可能にしたりしているのです。
また過去に蓄積されたデータをもとに、設備が故障する時期を予測して、最適な時間と人材で対応する「予知保全」の動きも進んでいます。
このようにIoTの導入によって、人手不足のこの時代に、最小の人数で最適な商品・サービスを提供することを可能にしています。
MA(マーケティングオートメーション)
マーケティングオートメーション(MA)とは、従来人が行っていた作業を自動化して、効率的な収益拡大を目指すツールです。メールやソフトウェアなどを使用して、効率的にデータを管理したり、最適なターゲットに商品・サービスの情報を届けたりできます。
たとえばメールマーケティング機能を使うことで、顧客の属性に合わせて最適なコンテンツを配信できます。メールは一元管理できるので「商品の購入を検討している」複数の顧客に対してアクションを促すコンテンツを配信することで、効率的なアプローチが可能です。
またメールの開封率や成約率(CVR)などのデータも自社に蓄積されていくので、改善にも役立てます。このように少ないリソースで多くの顧客にアプローチできたり、顧客データを取得・活用できたりするのがMAの魅力です。
Webマーケティングとは
Webマーケティングとは、デジタルマーケティングのなかでも「Web」を中心に商品・サービスを宣伝し、成約までつなげるマーケティング手法です。
オンラインショッピングや自社のWebサイトなどを通じて、顧客に購買してもらうようにアクションを促していくのがWebマーケティングです。
関連記事: Webマーケティングとは?注目される理由と抑えておきたい手法を解説!
Webマーケティングならではの手法
Webを活用する、Webマーケティングならではの代表的な手法を紹介します。
SEO(検索エンジン最適化)
SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、検索エンジン最適化とも呼ばれます。インターネットの検索から自社サイトへの流入を増やし、商品・サービスの成約までつなげるマーケティング手法です。
GoogleやYahoo!などでキーワードを入力して検索すると、検索結果にはサイトが一覧で表示されます。この検索結果の上に表示されるほど、サイトの閲覧数は増え、ブランド認知や商品・サービスの宣伝機会が増えます。
▲「お腹が痛い 対処法」と検索すれば、腹痛の対処方法に関するコンテンツが検索結果に表示される
この検索結果の上位に表示するために、コンテンツを制作したり、評価されやすいように内部を調整したりするのがSEOです。
Web広告
インターネット上に表示される広告を「Web広告」といいます。検索結果の上位に表示されるまでに時間がかかるのがSEOのデメリットです。そこですぐに商品・サービスの購入までつなげるためにWeb広告が活躍します。
一口にWeb広告といっても、その種類は多岐にわたります。そこで代表的なWeb広告について見てみましょう。
リスティング広告
リスティング広告は、GoogleやYahoo!で特定のキーワードを検索したときに、検索結果の一番上に表示される広告です。1クリック=〇円の広告費を支払って掲載する広告であり、広告単価はキーワードによって異なります。
▲「パソコン」と検索すれば、広告を出稿している通販サイトが一番上に表示される
リスティング広告には特定のキーワードを検索するユーザーに対してピンポイントで広告を打てるので、新聞広告やチラシなどに比べて効率にアプローチできるメリットがあります。
ターゲットの反応が悪い広告に頭を悩ませている場合は、一度リスティング広告も検討してみましょう。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、アプリやWebサイト上に表示される広告です。たとえば下の画像で、四角で囲っている広告が「ディスプレイ広告」です。
▲Yahoo!のトップページにおけるディスプレイ広告(ピンクの四角で囲った場所)
また上記とは別に、バナーで表示されることも多いため「バナー広告」とも呼ばれます。リスティング広告は特定のキーワードの検索結果に表示されるため、商品・サービスへのニーズが明らかな「顕在層」へのアプローチにぴったりです。
一方でディスプレイ広告は、アプリやWebサイトに表示されるため、商品・サービスのニーズが不明な「潜在層」にアプローチできるメリットがあります。商品・サービスの認知を拡大したい段階の企業にとって、ディスプレイ広告は効果的な広告です。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、成果報酬型の広告です。そのメディアから商品・サービスの購入があると、紹介したサイトやブログ運営者などにも報酬が入るサービスです。
おもにアフィリエイト用の専用リンクを作り、そこから成約があれば、紹介者にも報酬が入るようになっています。アフィリエイト広告を出稿するには「ASP」という、広告主と紹介者(アフィリエイター)をつなぐ仲介会社を利用します(A8.netやafbなど)。
アフィリエイト広告のメリットは、自ら宣伝しなくても、紹介者(アフィリエイター)が代わりに商品・サービスを広めてくれる点です。アフィリエイターが自らのメディアで宣伝してくれるので、広告運用のリソースが不足する企業に向いています。
デメリットは、紹介者が正しい情報を記載するとは限らず、消費者からのクレームにつながる可能性がある点です。またイメージの悪いキーワード(「⦅製品名⦆ 使いにくい」など)で集客するアフィリエイターもいるため、それらを管理する手間も発生します。
デジタルマーケティング・Webマーケティングで集客を伸ばすには?
デジタルマーケティングおよびWebマーケティングでWebからの集客を伸ばすにあたって、共通して重要な点を紹介します。
データを活かして最適な施策を打つ
デジタルマーケティングおよびWebマーケティングでは、データ分析が欠かせません。
ただメルマガ送信や広告出稿だけで終わりにせず、蓄積されたデータを次のアクションにつなげる行動が必要不可欠です。意外にデータを活用しない企業も多いので、特に注意したい点です。
たとえばEメールマーケティングのメルマガでは、MAを使って「開封率」や「成約率(CVR)」などのデータを抽出できます。
開封率が悪ければ、読者に読まれたいようなタイトル名になっていない可能性が考えられます。その場合、タイトルの最初15文字以内に読者のメリットを書く(「集客が伸びないのは〇〇が原因!~」など)といった改善方法が考えられます。
デジタルマーケティングおよびWebマーケティングは、実施したら終わりではなく、社内で効果測定できる環境を整えるのが重要です。
自社に合った広告を選ぶ
特にWebマーケティングには多種多様な広告がありますが、自社にあった最適なものを選ぶ必要があります。適性を考えず、無闇に広告を使うのはおすすめしません。
たとえば検索結果の上位に表示させる「リスティング広告」は、商品単価が数百円のような低単価商品には向いていません。商品や業界にもよりますが、リスティング広告の顧客獲得単価(CPA)は平均5,000円程度といわれています。
つまり商品単価数百円程度の商品では、リスティング広告を出すと、たとえ商品が売れても赤字になってしまうのです。
そのため広告の出稿を考えるときは、それぞれの特性を考慮し、自社の商品・サービスに合っているか考慮する作業が必要です。
広告は小さく始める
広告は小さく始めましょう。初めから、特定の広告のみに数百万円の広告費を投下するようなやり方はおすすめしません。なぜなら広告は、実際に始めてみないとわからないことが多いからです。
たとえばリスティング広告で競合のキーワードが強い場合、広告単価は高いのに成約までいたらないケースが多々あります。もし最初から予算の多くをリスティング広告に割いていた場合、この時点で成果は少ないまま終了する可能性が高くなります。
そのため最初は、特定の広告に予算の一部を使って効果測定し、うまくいけばそのままそのまま使えばよいでしょう。反対に、思ったように成約できなければ、すぐにほかの広告に移動できます。柔軟に動けるためにも、まずは小さく始めることをおすすめします。
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