ラクスル株式会社が展開する印刷・集客プラットフォーム「ラクスル」は、2022年11月に会員数が累計200万人を突破しました。印刷業界全体でもオンラインでの受発注が一般的になっており、中小企業にとってはSEOを軸としたWEB集客の重要性が増しています。

また、ペーパレス化により紙の印刷物の需要は減っていますが、一方で新たな需要が生まれており業界は今、変革期を迎えています。このような変化の激しい時代には、集客につながる新たなキーワードが日々生まれるため、いち早くそのトレンドに気づいて対策をした企業が他社をリードすることができます。そこで、早速今回の記事を読んで、印刷業界の動向や、今後重要となるSEO対策のポイントを掴んでください。

印刷業界におけるSEOの重要性

現代では、多くの顧客がオンラインで情報を検索し、ECサイトや会社を選定しています。印刷業界においても例外ではありません。そのため、検索結果で上位表示を果たすことは、新規顧客を開拓するうえで必要不可欠です。そこでここでは、印刷業界におけるSEOの重要性について詳しくお伝えします。

受発注がインターネットに移行

かつて印刷会社は、地域密着型ビジネスでした。発注者と印刷物について密な連絡が重要で、1つひとつ要望を確認しながら仕事を進めていたからです。しかし、デジタル化の進展により、多くの印刷会社では全国をターゲットにしたビジネスへと変化しました。地方の印刷会社もインターネットをとおして全国に営業範囲を広げることが可能となる一方、顧客もインターネットで手軽に発注できる環境が整ったのです。

事実、矢野経済研究所や船井総研などの大手シンクタンクによると、インターネットによる印刷通販市場は2023年時点で約1,300億円規模になると推定されており、将来は印刷物の受発注のほとんどがインターネット経由となることが予想されています。このため、印刷会社にとってSEO対策は、受注を増やすための重要な戦略です。

参考ページ: 国内印刷通販市場に関する調査を実施（2022年） – 矢野経済研究所

セールスパーソンの代わりになる

印刷業界の多くは少数の従業員で会社を運営しています。経済産業省の工業統計表産業別統計表によると、印刷・関連事業全体の事業所数は21,247社で、4人以上の従業員を持つ企業は9,888社。3人以下の事業所は11,359社となっています。つまり、半数以上の印刷会社は小規模で運営されています。

このように従業員が限られているため、セールスパーソンに依存した集客では、現実的に新規顧客を増やすことは困難です。そのため、セールスパーソンの代わりにWEBサイトを効果的な営業ツールとして活用することが重要です。自社のWEBサイトを検索エンジンで上位表示させることができれば、セールスパーソンの代わりに24時間365日、新規顧客の獲得を自動化させることができます。

参考ページ: 令和元年工業統計表産業別統計表 – 経済産業省

新しいキーワードが生まれている

印刷業界では業務の多角化が進んでいます。そのため、従来の「印刷 +格安」などの競争が激しいキーワードだけでなく、さまざまなジャンルに対してSEO対策をとることができるようになりました。具体的には、電子書籍の企画・販売、パッケージや包装事業、液晶・半導体、5G関連事業、VR・AR向けコンテンツの販売など、各印刷会社がそれぞれの得意分野を見つけ新たな市場に挑戦しています。

このように印刷会社が活躍できる市場は拡大しているため、今なら中小規模の会社でも自社の得意なカテゴリーで上位表示させることが可能です。このような変化の激しい時期は、会社の規模よりもスピードが成功の鍵を握っています。SEOを軸とした新ジャンルでの集客にいち早く着手した企業は今後、大きなビジネスチャンスを掴むことができるはずです。

印刷業界のSEO最新トレンド

近年、印刷業界では多角化が進んでいます。そのため、印刷業界のトレンドを踏まえたSEO対策が必要不可欠です。そこでここでは、業界で注目されているキーワードやトピックをとりあげ解説します。

自費出版

従来、自費出版は出版会社が手掛けていました。しかし、近年では印刷会社が請け負うことで、低コストと短納期を実現しています。印刷会社が業務を請け負うことで、自費出版を希望する個人にとってはコスト的にも大きな魅力となっています。中間コストが削減され、より手軽に自分の書籍を出版することが可能になったのです。こういった自費出版をサポートする業務を自社でおこなうなら、SEO対策は「個人出版＋印刷」「自費＋本＋印刷」といったキーワードを軸に進めてください。

電子書籍

紙の書籍は市場が低迷していますが一方で、電子書籍市場は拡大を続けています。公益社団法人全国出版業界・出版科学研究所の発表によれば、2022年の電子書籍・電子雑誌を合わせた電子出版の市場規模は前年比7.5%増の5,013億円に達し、今後も市場は順調に成長すると予想されています。

そして、すでにいくつかの印刷会社は、電子書籍市場に注力し業績を伸ばしています。自社でこういったサポートをおこなう場合、「電子書籍＋出版＋サポート」「電子書籍＋代行」などのキーワードを中心にSEO対策をおこなってください。

参考ページ: 出版月報 – 公益社団法人全国出版業界・出版科学研究所

包装資材関連の需要増加

近年、包装資材関連の需要が増加しています。特に、食品を中心とする地域ブランドの急成長に伴い、市場では小ロットに対応した包装・ラベル印刷に注目が集まっています。また、ラベルのデザイン性が強く問われる現在、デザイン性の高いラベル印刷の需要は今後も増えることが予想されます。「包装資材＋印刷」などのキーワードでSEO対策をおこない、デザイン性の高い包装資材やラベルを提供することを検討してください。

梱包・配送のアウトソーシング需要

どの業界でもインターネットを通じた通販業務が活性化しています。しかし、自社で発送や梱包までを手がけることは、業務上かなりの負担を強いられます。そこで、これらの業務を一括して印刷会社が請け負うサービスの需要が高まっています。具体的な業務としては、印刷だけでなく、仕分け、封入、ラベリング、発送などが該当します。こういったサービスを請け負うことができるなら「梱包+代行」「配送+アウトソーシング」などのキーワードを中心にSEO対策をおこなってください。

カード印刷需要の増加

キャッシュレス化の進展に伴い、カード印刷の需要が高まっています。2022年3月末時点で、クレジットカードの発行枚数は前年比1.9%増の約3億101万枚に達し、これは7年連続の増加となっています。

このほかにも、ギフトカードやプレペイドカードなど、さまざまな種類のカード需要が発生しています。こういったプラスチックカードに強みを持つ印刷会社なら「カード＋印刷」「プラスチックカード＋印刷」などのキーワードでSEO対策をおこなってください。

参考ページ: クレジットカード発行枚数調査結果 – 日本クレジット協会

特殊印刷

現在、印刷会社の業務は大きく分けて次の6種類があります。

この中でも事務用印刷などは、IT技術の導入によるペーパレス化で市場規模が縮小しています。例えば、伝票や帳票類の需要は減っています。

しかし、個人情報保護法の影響で、セキュリティ意識が高まっており、ホログラムやマイクロ文字などの印刷技術が求められています。そのため、自社に特殊な印刷技術がある場合、この分野でSEO対策を検討してください。「セキュリティ+印刷」「ホログラム＋印刷」などのキーワードは今後、検索ニーズが高まる可能性があります。

印刷業界のSEO対策

トレンドを踏まえたうえで、印刷業界に共通したSEO対策の基本をお伝えします。

分かりやすい言葉で表現

印刷業界のWEBサイトは、専門用語が多く用いられがちです。しかし、多くの検索ユーザーは、これらの用語を理解することができません。例えば「アート紙」、「ホイール紙」、「合成紙」といった用紙の選択がWEBサイトでできるようになっていたとしても、顧客の大半はその違いが分からないので、選択のしようがありません。

このようにWEBサイトで不明瞭な点が多くなるとユーザーは離脱して、他社WEBサイトに移動してしまいます。そして、このような短時間で離脱するユーザーが増えると、Googleから「このWEBサイトではユーザーの求める情報を提供していない」と捉えられ、評価が下がる可能性があります。

リッチコンテンツ化で評価を高める

印刷業界のWEBサイトでは、専門的な紙質やインクの違いを言葉だけで説明するのは不十分です。こうした情報は、動画や画像を活用してビジュアルで示すようにしてください。例えば、紙の質感や使用シーンなどを動画で公開したり、インクの特性を比較した画像などは、ユーザーが直感的に違いを理解できます。

そして、このようにWEBサイトを動画や画像をふんだんに用いたリッチコンテンツ化することで、ユーザー体験が向上し、検索エンジンでの上位表示もしやすくなります。検索エンジンは、テキスト以外の多様なコンテンツを提供するWEBサイトを高く評価する傾向があるからです。

ローカル対策

現在、印刷業務の受発注は、インターネットで受け付けることが一般的になりました。しかし、きめ細かい打ち合わせをしながら印刷をしてほしいという顧客は依然として存在します。このような顧客は、地元の印刷会社に業務を依頼します。

そのため、地域名を含むキーワード対策をおこなうことも重要です。地域に特化したSEO対策をローカルSEOといいますが、競合が少なくなるため上位表示させることが比較的簡単です。そのため、「地域名＋冊子印刷」や「地域名＋カスタム名刺印刷」といったキーワードでSEO対策をおこなってください。

参考ページ: ローカルSEOとは？ローカル検索のメリットと押さえておくべき対策方法を解説

印刷業界のSEOで注意すべきこと

早速、自社のSEO対策に取り組みたいというお気持ちもあると思いますが、次の注意点を守って進めてください。そうすることで、スムーズに売上を増加させることができます。

専門特化させる

ここ数年、印刷業界全体で多角化が進んでいます。そこで、自社でもどのジャンルで事業をおこなっていくのかを定め、ターゲットとなる顧客を絞り込んでください。例えば、高品質なアート印刷を得意とする会社なら、美術館やギャラリー、アーティストをターゲットにし、彼らが検索するであろう特定のキーワードやフレーズに対してSEO対策を施します。このようにジャンルやターゲット顧客を絞り込むことで、自社のWEBサイトが専門特化し、検索エンジンからの評価も高まります。

リピートしやすい仕組みを作ること

一般的に、印刷物は消耗品であり、使い切ると再発注の需要が生じます。そして、再発注の多くは同じ印刷会社に依頼します。そのため、SEOで新規顧客を獲得したら、リピート購入に力を注いてください。

具体的には、WEBサイトでの簡単な再注文方法の確立、ロイヤリティを高めるための特典の提供などが考えられます。このようなリピート販売の仕組みをつくることで、価格競争に左右されることなく安定した顧客基盤を築くことができます。

印刷業界SEOのよくある質問

ここでは、印刷業界のよくある質問をとりあげ解説します。
 

まとめ

印刷業界に特化したSEO戦略の重要性とその対策についてお伝えしました。現在、業界では多角化が進んでいるため、自社の強みを活かせる分野を見つけ、そこに特化させた戦略を実行に移すことが成功の鍵を握っています。そして、SEO対策を実際におこなう際には、キーワードの選定、リッチコンテンツ化、そしてレスポンシブWEBデザインなどの基本を押さえて進めてください。効果的なSEO戦略は、単に検索エンジンでのランキングを向上させるだけでなく、リピート獲得や収益の向上に繋がります。この記事で、自社のWEB集客がいっそう勢いを増すことを願っています。

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この記事の監修者

アドマノ株式会社　代表取締役　天野　剛志

日本大学法学部卒業、広告代理店で12年間働いている間、SEOと出会い、SEO草創期からSEO研究を始める。SEOを独学で研究し100以上のサイトで実験と検証を繰り返しました。そのノウハウを元に起業し現在、11期目。営業、SEOコンサル、WEB解析（Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持）コーディング、サイト制作となんでもこなす。会社としては今まで2000以上のサイトのSEO対策を手掛けてきました。