E-A-Tとは?GoogleのEAT評価基準や対策方法を徹底解説
ここ数年でSEO業界で注目されるようになったE-A-Tですが、一体どのような指標なのかいまいち理解していないWeb担当者の方は多いのではないでしょうか。E-A-Tを理解することで、検索順位の低下リスクを限りなく抑えることが可能です。

E-A-Tとは
E-A-Tとは、近年Googleが重要視するページコンテンツの品質基準を指します。ページ品質基準としての専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)の頭文字をとった造語です。
Google が公開している検索品質評価者向けガイドラインに詳細があります。英語で書かれていて大変長い文書ではありますが、E-A-TやSEOの本質を理解するためにはご一読をおすすめいたします。
検索品質評価者向けガイドラインには次のように記載されています。
- The expertise of the creator of the MC.
- The authoritativeness of the creator of the MC, the MC itself, and the website.
- The trustworthiness of the creator of the MC, the MC itself, and the website.
文中のMCとはメインコンテンツのことですので、訳すと次のようになります。
- メインコンテンツの著者の専門性
- メインコンテンツの著者、メインコンテンツそのもの、サイトの権威性
- メインコンテンツの著者、メインコンテンツそのもの、サイトの信頼性
ここでは、それぞれの品質基準の概要について解説します。
E: 専門性(Expertise)
「専門性(Expertise)」とは、Webページの内容がどれほど専門性が高いページであるかを評価する指標を指します。特定領域の専門家が執筆した記事であれば評価が高まる傾向があります。
検索エンジンマーケティングにおいては、検索クエリに対してWebページは検索意図を満たす真実性の高い役立つ情報を提供する必要があります。専門性の高い情報であればあるほど、後述する「権威性」や「信頼性」の指標も向上しやすくなります。
例をあげると、不動産投資に関する記事コンテンツであれば、個人ブロガーが執筆した個人ブログの記事コンテンツよりも、不動産投資に詳しい有名不動産投資家や宅建士、不動産鑑定士のような専門家が執筆した記事コンテンツの方が専門性が高く、サイト訪問者に有益な情報を提供できることになります。
また、雑記サイトよりも特化サイトの方が専門性の高いサイトとみなされやすくなるため、サイトのコンテンツの情報網羅性を高めておくことも大切です。
A: 権威性(Authoritativeness)
「権威性(Authoritativeness)」とは、Webページがどれほど権威性の高いページであるかを評価する指標を指します。
「権威性が高い」状態は、特定の分野においてある一定の評価・評判を得ることが求められます。
Webサイトの場合には、ドメインパワーが高いサイトであったり、Webサイト内の記事コンテンツが同様に権威性の高いWebサイト上で引用されている状態であれば、権威性の高い状態を指します。そのため、記事コンテンツの質が高いだけでなく、Webサイトのドメインパワーが重視される傾向が高くなります。
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T: 信頼性(Trustworthiness)
「信頼性(Trustworthiness)」とは、Webページがどれほど信頼のできる内容であるかを評価する指標を指します。
Webサイトの場合には、研究機関や公共機関がリリースする記事コンテンツと匿名ライターが執筆する記事コンテンツであれば、多くの人は前者の記事コンテンツを信頼するものです。
誰が書いたのかはサイト訪問者にとって重要な情報となるため、記事を執筆したライター名はサイト内に明示する必要があります。
E-A-Tが注目されるようになった理由
近年SEOにおいて、E-A-Tが注目されるようになった背景として、ユーザーにとって役に立たない低品質なコンテンツが増加したことがあげられます。
以前までは、Googleの検索アルゴリズムの精度が低かったこともあり、検索キーワードに対して関係のない情報が上位に上がることが見受けられました。
しかし、医療やお金などの人の命や生活に大きく影響を与えるキーワード領域でこのようなことが起こると、我々の生活に悪影響を及ぼしかねません。このような状況を踏まえGoogleでは、検索エンジンの評価基準に、E-A-Tの基準を設けるようになりました。
GoogleがE-A-Tを重要視するようになった理由は大きく2点あります。
1点目はインターネット上に低品質なコンテンツが大量生産され、ユーザーに悪影響を与えるようになったこと。2点目は検索エンジンの精度が非常に向上したことです。
低品質なコンテンツの量産を避けるため
過去には売上を伸ばすために専門家でもないライターを集め、低品質な記事を大量生産することで検索順位を上げるというSEO対策手法がありました。この方法は現在では通用しませんが、過去には大きく効果が見込まれました。そのため、WEB上に低品質コンテンツが溢れ、ユーザーが間違った情報を信じてしまうという弊害が出ました。
Googleは検索エンジンを使ってもらい、広告収入を得るというビジネスを行っていますので間違った情報の配信を極力抑えるために品質の高いコンテンツを評価するようになっています。
検索エンジンの精度が向上した
Googleは徹底したユーザーファーストを順守していますので可能な限り低品質コンテンツを弾くようにしています。しかし、以前は検索エンジンの精度もそこまで良くなかったため、検索結果に出てくることもたびたびありました。
現在では検索エンジンの精度が非常に高くなったため、単にコンテンツを作るだけでは検索結果の上位表示はできないようになっています。この流れは将来にわたって続くことが想定されますので、今後はE-A-Tを重視したコンテンツ制作が望まれます。
E-A-Tが重視されるのはYMYL領域
先述したように、E-A-Tが特に重要視されるのは医療やお金などの人の命や生活への影響どの高い領域となります。Googleではこのような領域をYMYL(Your Money Your Life)領域と呼び、検索エンジンマーケティングでも評価の厳しい領域とされています。
YMYL領域が重要視されるようになったのは、2016年のWelq事件が発端となっています。Welq事件とは、DeNA社の医療キュレーションメディアであるWelqにて、医学的根拠のない記事コンテンツが医療系キーワードで検索上位を占めていたことから、問題となった事件を指します。
結果として、検索エンジンの公共性の高さを鑑みて、専門性が高く信頼できるWebサイトや記事コンテンツを評価するアルゴリズムに変更されていきました。
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E-A-Tを考えるうえでの基本ポイント
E-A-Tをさらに考えるうえで、Googleの公式ガイドラインやGoogleのE-A-Tの評価基準について知ることが大切です。ここでは、これら2つのポイントを紹介していきます。
ポイント1: Google公式ガイドラインの非推奨コンテンツ
Google公式ガイドラインとは、Googleが公開している「品質に関するガイドライン」を指します。E-A-Tを正しく理解し、自社サイトに開発実装するには、上記ガイドラインを読み込み、内容を適切に理解したうえで、自社サイトに適用する必要があります。
「品質に関するガイドライン」においては、推奨されないWebページとして次のような項目が記載されています。
- コンテンツの自動生成
- 不正なリダイレクト
- リンクプログラム
- 質の低いコンテンツ など
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ポイント2: E-A-Tの評価基準
Googleでは、WebページのE-A-T評価を次のように3段階で評価しています。
- 良い評判
- とても良い評判のページ
- 最高品質のページ
自社のWebページのE-A-T評価基準を検討する場合には、これらの評価基準を正しく解釈したうえで対策を行うことが必要不可欠となります。
E-A-Tを向上するための方法
自社サイトのE-A-Tを向上する方法について知りたいという方が多いでしょう。ここでは、各評価基準ごとに指標を高める具体的な方法を解説します。
専門性を高める方法
E-A-Tの中でも特に重要視される「専門性」を高めるためには、以下の2つのポイントを満たすことが重要とされています。
- 特定領域に特化する
- 専門知識の量と質を高める
Webサイト内の記事コンテンツも雑多な内容ではなく、特定領域に特化させることで専門性の高いWebサイトとなります。特定領域に特化するためには、意味の近いキーワードを選定し、記事コンテンツを制作するようにしましょう。
また、専門知識の量と質を意識した記事コンテンツ制作が求められます。記事の量に関しては、情報網羅性の高い記事コンテンツが高く評価されます。
しかしながら、ただ文字数の多い記事にすることが正しいわけではなく、ユーザービリティを低下させない範囲で、適切な文字数で記事コンテンツを制作することを心がけることが大切です。
専門知識の質に関しては、専門家が執筆する記事にすること、もしくは一次情報によるオリジナリティの高い情報を執筆することを心がけましょう。
権威性を高める方法
E-A-Tにおける「権威性」を高めるためには、次の2つのポイントを満たすことが重要とされています。
- 著者名や運営会社名を明記する
- 被リンクやサイテーション(引用)を獲得する
まずは、記事コンテンツなら著者名を、Webサイトなら運営会社名を公開するようにしましょう。著者名に関しては、YMYLの場合には特に重要であり、医療であれば監修した医師名、不動産であれば、宅建士、法律であれば弁護士、金融であればファイナンシャルプランナーなどのその道のプロが著者として記載されていることで権威性が高まりやすくなります。
また、被リンクやサイテーション獲得も同様に重要です。被リンクであれば、ドメインパワーの強い公共機関、研究機関、教育機関などの誰もが知る権威性の高い Webサイトからの被リンク獲得は権威性を高めます。
信頼性を高める方法
E-A-Tにおける「信頼性」を高めるためには、次の2つのポイントを満たすことが重要とされています。
- 情報の正当性を担保する
- 編集ポリシーを公開する
信頼性の高いWebサイトでは、情報の正当性を担保することが求められます。Webサイトの権威性を高める上で、著者名や運営会社名を記載することを言いましたが、コンテンツの公開日や変更日、会社の基本情報(住所、担当者、メールアドレスなど)の詳細な情報が信頼性を高めることに繋がります。
また、Webサイトの編集ポリシーを公開することも信頼性獲得に繋がります。編集ポリシーはメディアの方向性を目的を明記することであり、記載することでユーザーやGoogleも安心してコンテンツを閲覧できるようになります。
さらに昨今では、信頼性を高めるためにGoogleマイビジネスに自社ビジネスを掲載することで信頼性向上の効果が確認されてます。
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E-A-Tはアルゴリズムではない
E-A-Tはアルゴリズムなので専門家を使って権威性と信頼性を高くすれば検索順位が上がるという誤解がありますが、E-A-Tは2020年の時点では考え方でありアルゴリズムではありません。
そもそも検索品質評価者向けガイドラインはGoogleが年間数百回行っているアップデートの精度を評価する人のために作られたガイドラインです。アップデートを行った後に検索結果が正しいか、改善の余地があるかというのを判断するために作られています。
評価者が検索結果を見て「なぜこのサイトが上にあるのかわからない」、「評価されるべきサイトが全く検索結果に出てこない」と判断すればGoogleは改善を行いますし、反対に「見たい情報がすぐに見つかって使いやすい」「評価されるべきサイトが上位表示されている」と判断すればGoogleは次回のアップデートの参考にするでしょう。
そのため、E-A-Tを強化することで将来的に検索順位が向上することは想定できますが、E-A-Tを改善して短期間ですぐに上位表示されるというものではありません。
E-A-T対策するには
E-A-Tを意識してSEO対策をするにはあらゆる意味で信用できるサイトになるように改善を施す必要があります。専門性を高めることと権威性を持たせることが重要です。次に、専門性を高める方法と権威性を持たせる方法を解説します。
専門性を高める方法
専門性を高めるには大きく3つの手法があります。
- 特化サイトを作る
- 一次情報を公開する
- 専門家の協力を得る
特化サイトを作る
特定の1つのジャンルに特化したサイトを作ることで専門性を高めることができます。通常のSEO対策通りに1ページ1キーワードを意識し、関連ページを内部リンクで繋げることで必然的にキーワードと関連性の高い特化サイトができあがります。
たとえば、ある弁護士法人法律事務所 は複数の分野に対応している弁護士事務所ですが債務整理、離婚問題、慰謝料、労働問題などのサイトを分けることでそれぞれの分野に特化した運営をしています。
特化サイトではない場合や雑記サイトの場合には専門性を確保しづらくはありますが、カテゴリ内でキーワードマッピングを正しく行い、サイトマップを作り直すことでカテゴリ内での専門性を高めることは可能です。カテゴリ内でうまく連携することで専門性の高いサイトを構築することが可能です。
一次情報を公開する
専門性が高いということはそれだけ持っている情報が多いということです。自社で持っている一次情報を積極的に活用することで他社にはない独自性を確保できるとともに専門的なコンテンツにすることができます。
専門家に協力を仰ぐ
専門的なコンテンツを作るためにはその分野の専門家の協力が欠かせません。専門家に取材する、記事の監修を依頼する、記事の執筆を依頼するなどの対応が必要です。
特に高いE-A-Tが求められる医療メディアでは監修医師を設け、医師の紹介や病院へのリンクを付けることで権威性を担保しています。
権威性を高める方法
サイトやコンテンツの権威性を高めるには次のような著者情報や外部対策が必要になります。
- 著者情報・運営者情報を載せる
- 被リンクやサイテーションを確保する
著者情報・運営者情報を載せる
E-A-Tでは誰が記事を書いているのか、誰が監修しているのかが重要視されます。そのため、コンテンツを誰が執筆したのかを発信し、充実させる必要があります。
よくあるのはコンテンツの最初か最後にライターや監修者の顔写真と共に略歴や執筆した書籍紹介などがありますが、場合によってはそれだけでは不十分です。
その人がその業界でどれだけ権威があるかを示すためには経歴、論文、書籍、役職、SNS情報など狙っているジャンルに関わる情報は可能な限り載せることで権威性が高まります。
例えば、ある法律相談所などのメディアでは著者情報を事務所情報、著作・出演、講演・セミナー、所属、取り扱い分野など詳しく載せています。
被リンクやサイテーションを確保する
業界の権威がある人の情報は必然的に関係各所で情報発信がなされます。論文での権威性では参考文献という形で参照されますが、インターネットではリンクや引用・言及が多いほど権威性が高いということになります。
そのため、有用なコンテンツや一次情報を発信することで被リンクやサイテーションを意識する必要があります。
信頼性を高める方法
サイトの信頼性を高めるためには参照情報を公的機関から持ってきたり、編集ポリシーを公開したりするなどの方法があります。
参照情報は公的機関から
信頼できるコンテンツを作るためには参照する情報は極力公的機関を利用する必要があります。自社で持っている一次情報を使うことも良いですが、第三者から見てもはっきりと信用できるという点では政府統計や専門機関が配信している情報を参照にすることが一番です。
様々な分野で検索上位に表示されるWikipediaですが、高く評価されている要因は記事の網羅性やドメインパワーだけではなく、参照している記事の信頼性も関係していると考えられます。
編集ポリシーの公開
特にメディアでは編集ポリシー(メディアポリシー)を公開することで信頼性を高めることができます。特にYMYLのジャンルではE-A-Tが重要視されますが、例えばお金や投資を扱うメディアでは自分たちがどのような方針で記事を作成しているのかを明記しています。
その他E-A-Tのためにできること
E-A-Tを突き詰めると”ユーザーのためにできることをすべてやる”ということに繋がります。そのためには次のような方法もサイトの改善に役立ちます。
- SSL対応する
- 記事の公開日と更新日を明記する
- 定期的にリライトする
- 構造化データを使う
- whois情報を公開する
SSL対応する
SSL対応(https化)するとサイトの信頼性を高めることができますが、それ以上に2020年の段階でまだSSL対応をしていないのであればブラウザやセキュリティの観点からも早急に対応すべきです。これはサイトそのものの信用にかかわります。
記事の公開日と更新日を明記する
優れた記事であっても時間の経過と共に内容が古くなったり、不足する情報が出てきます。ユーザーにとって必要なのは通常は最新情報ですので公開日と更新日を明記することでユーザーにとっても検索エンジンにとっても最新情報なのか、古い情報なのかがわかります。
定期的にリライトする
時間の経過と共に情報は古くなりますし、情報が正しくてもニーズが変わることはよくあります。記事は定期的にリライトすることで記事を最新に保て、サイトの信頼性を高めることができますし、SEOの点からもおすすめです。
ただし、記事が古いからといって必ずしも悪いというわけではありません。情報によっては古い情報をそのまま残しておく必要がありますので、ユーザーにとって更新がプラスになるのか、マイナスになるのかを判断の軸にしてください。
構造化データを使う
構造化データは検索エンジンの評価アルゴリズムには入っていません。そのため、構造化データを使ったからといって検索順位の改善は見込めません。しかし、構造化データの内容は検索エンジンにも読み込めますので情報を受け渡すことはできます。
短期間でみれば構造化データは意味をなさないかもしれませんが、E-A-T対策は長期戦略ですので長い目で見たときにサイト全体の評価を高めることができます。
whois情報を公開する
ドメインを取得したときにwhois情報を代理公開してもらうことができます。代理公開をすることでドメインの所有者を隠すことができるので非常によく利用されます。しかし、代理公開を使わずに自社の名前を出すことでサイトの所有権を明確に公開することができるためE-A-Tの改善につながると考えられます。
E-A-T対策には時間がかかる
E-A-Tを対策するにはとにかく時間が必要です。評価アルゴリズムではないため、紹介した点を改善してもすぐに検索順位に反映されるわけではありません。しかし、Googleはユーザーファーストを非常に重視していますのでサイト全体の評価を高めることは可能です。
特にYMYLの分野でWEB集客をするサイトの場合には今後E-A-Tを意識せずにSEO対策することは不可能ともいえますので、ユーザーのためになることを徹底しましょう。
専門家を見つけるのが重要
E-A-Tではコンテンツ、サイト、著者の専門性が重視されます。これはコンテンツの執筆者か監修者に専門家が必要になるということです。
もしもまだ専門家の協力を得ていないという場合には可能な限り早い段階で協力者を見つける必要があります。
専門家が見つからない場合
では専門家が見つからない場合にはどうするのかという問題が出てきますが、極論、専門家が見つからない場合にはその分野でのWEB集客を諦めるしかありません。
専門家が見つからないということはE-A-Tが必須なジャンルで有用なコンテンツの発信ができないと判断されます。Googleの方針がユーザーファーストである以上はGoogleの方針に従わずにWEB集客を継続することは極めて困難です。
記事が優れていても執筆者や監修者を公開できなければ権威性を担保することは難しいため、本当に戦えるジャンルなのかどうかも検討する必要があるでしょう。
まとめ
