近年、採用活動における企業の公式採用サイトの重要性がますます高まっています。実際、株式会社ONEの調査によると、求職者の84％が「採用サイトは就職・転職活動において重要な情報」と回答しており、公式サイトの内容が応募動機に大きな影響を与えていることが分かっています。

企業が優秀な人材を獲得するには、ただ求人を出すだけではなく、自社の文化や価値観、働く環境など、求職者が求める情報をしっかりと伝える必要があります。

そこで今回は、採用サイトを制作するメリットや、求職者が知りたい情報、さらに制作時に押さえるべきポイントについて詳しく解説します。

採用サイトとは？

採用サイトとは、企業が求職者に向けて自社の採用情報を提供するWEBサイトのことです。具体的な掲載情報としては、企業の紹介、募集職種、応募受付方法などを掲載するのが一般的です。企業の顔として公開されている側面があるため、ブランドを意識したサイト制作をおこなうことが必要です。

一方、求職者は採用サイトを通じて、企業の文化や価値観、働く環境、キャリアパス（キャリア形成の道筋）などを知り、自分に合った仕事を見つけて応募することができます。

また、良質な採用サイトをつくるには、見やすいだけでなく、応募のしやすさなどの利便性を備えることも重要です。
 

採用サイトを制作するメリット

企業の採用活動において、自社専用の採用サイトを制作することには多くのメリットがあります。求人媒体への掲載だけでは伝えきれない企業の魅力や働く環境をダイレクトに発信できたり、応募の導線を自社で自在にコントロールできるなどのことが挙げられます。ここでは、こういった採用サイトを制作するメリットを整理しておきます。

ブランドの信頼性向上

採用サイトは、求職者に対して企業の信頼性を伝え、業界における権威ある会社としての地位を示すのに役立ちます。業界内での専門知識を示し、業界の洞察、トレンド、成功事例などを求職者と共有することで、ただの一企業ではなく、「その業界をリードする存在」であることを印象づけられます。

参考ページ:ブランドコミュニケーションとは？成功させるポイントを徹底解説！

採用活動の効率化

オンラインでの応募受付やATS（Applicant Tracking System）と呼ばれる採用管理システムと連携することで、選考プロセスを効率化し、採用担当者の負担を減らすことができます。また、企業の文化や価値観、働きがい、福利厚生などをWEBサイトを通じて伝えることで、求職者は自身に合った企業かどうかを応募前に判断しやすくなります。結果として自社にフィットする適切な候補者からの応募が増え、採用ミスマッチのリスクを減らすことにつながります。

応募の導線を自社でコントロールできる

求人媒体だけで応募を受け付ける場合、掲載内容や応募の流れはプラットフォーム側の仕様に従う必要があります。そのため、採用プロセスが自社にマッチしなかったり、求職者に対してのフォローが不十分になってしまう恐れがあります。

一方、専用の採用サイトであれば、応募フォームの項目やエントリー後のフローなどを自由に設計できるため、自社に合った人材を効率よく集められます。
 

求職者が採用サイトに求める情報

近年の求職者は、給与や職種といった表面的な条件だけでなく、企業文化や働く環境、自分との相性といった中身を重視する傾向が強まっています。こうした情報は求人媒体や募集要項だけでは十分に伝わりません。そこで、求職者は企業の公式採用サイトにアクセスし、リアルな企業情報を確かめようとします。そこで、採用サイトでは、そういった求職者のニーズに応えるのに必要な情報を掲載してください。具体的には次のような項目が挙げられます。

会社の方針・雰囲気

求職者は、採用サイトに対して、会社の方針や・雰囲気を知りたいと考えています。企業文化・働く環境など、その企業特有の価値観や信念は、採用後の働きやすさに直結するためです。具体的には、企業の価値観、使命、仕事の進め方、職場の雰囲気、従業員のキャリア開発の機会、福利厚生といったものが含まれます。

また、採用サイトでは、従業員の声や写真、動画などを提供し、求職者がイメージしやすいよう配慮してください。こうすることで、求職者はその企業で働くことへのイメージが膨らみ、自身の働き方に合った企業かどうかを判断しやすくなります。

具体的な求人情報

求人情報とは、企業が募集している職務に関する詳細情報のことです。求職者が自身のスキルや経験、希望条件に合致する仕事を探すうえでもっとも重要な要素といえます。具体的な内容としては、職種名や仕事内容、勤務地、給与や待遇、勤務時間、雇用形態、応募資格、求める人物像などが挙げられます。

また、求人情報は単なる職務内容の羅列ではなく、企業のブランドイメージや価値観を反映した魅力的な表現で記述することが望ましいです。ブランドイメージや価値観が正しく伝わることで、より多くの適切な人材を集めることができるからです。

採用方法

求職者は、どのような形で採用が進むのかを詳しく知りたいと考えます。そのため、自社がおこなっている採用プロセスをできる限り細かく記載してください。

例えば、面接を何回おこない、各面接での目的は何かといったことです。また、書類選考にかかる期間や、一次・二次面接の実施方法（対面・オンラインなど）、合否連絡のタイミングなど、具体的なスケジュールを提示することで、求職者の不安を軽減することができます。

採用サイトを制作する際のポイント

採用サイトは単に情報を掲載するだけでなく、求職者の関心を引き、行動につなげるための緻密な設計が必要です。例えば、どんな人材をターゲットとするのかを明確にしたり、信頼性のあるデザインなどが挙げられます。こういった採用サイトを制作する際のポイントを整理しておきます。

求める人材の明確化

採用サイトでは、どのようなスキルや経験、資格を持つ人材を求めているかをできる限り具体的に記述することが大切です。こうすることで、募集職種に合致する可能性の高い求職者を集めることができるからです。

できれば、採用サイトを制作する前に候補者のペルソナを設定し、ターゲットとする人材像を明確にしてください。ペルソナを設定しておくことで、WEBサイト全体のメッセージを最適化でき、求職者は自身がその企業に合っているかどうかを判断しやすくなります。このようにすることで、効率的な採用活動につながり、質の高い人材を確保できます。

信頼性のあるデザインにする

信頼性のあるサイトデザインを施すようにしてください。プロフェッショナルなイメージを保ちつつ、求職者に対して安心感を与えるデザインが望ましいです。具体的には、視認性の良いレイアウトや質の高い画像、明確で分かりやすいナビゲーション、一貫したカラー・フォントなどがポイントです。信頼性のあるデザインによって、企業が真剣に事業に取り組み、質の高いサービスを顧客にも提供しているというメッセージを間接的に伝えることができます。

明確な行動喚起（CTA）

意外に見落とされがちなのは、行動喚起（CTA）です。具体的には「応募する」「求人を見る」「お問い合わせはこちら」「資料をダウンロード」といったフレーズが、目立つボタンとして配置され、訪問者が何をすべきか迷わないよう設計される必要があります。このようにCTAは、求職者目線で配置するのがポイントです。

参考ページ:CTA（Call To Action）の作成と活用におけるポイントを解説

高いセキュリティ

高いセキュリティ性を持たせることも、採用サイトにとって重要です。採用サイトでは、求職者から履歴書や連絡先などの機密性の高い個人情報を扱うためです。強固なセキュリティは、応募者に安心感を与え、より多くの応募件数を獲得できることにもつながります。

逆に脆弱なセキュリティでは、万が一情報漏洩が生じた場合、重大な過失となってしまい、採用活動の自粛に追い込まれる可能性があります。

参考ページ:サイバーセキュリティとは？初心者でも分かる基礎知識を解説！

採用サイトのよくある質問と答え

ここでは、採用サイトを制作する際によくある質問と答えをお伝えします。制作を考えているのであれば、事前に下記の内容を確認してください。

Q.社員の写真や動画は必要ですか？

Answer)社員の写真や動画は、職場の雰囲気を視覚的に伝えるのに役立ちます。文章だけでは伝えきれない職場の空気感や働く人の表情などが伝わるため、応募者がその職場で働く姿を想像しやすくなります。また、写真や動画などを掲載することで、事前にミスマッチを防ぐことにもつながります。

可能であれば、社員インタビューやオフィス風景を収めた映像なども掲載してください。日常業務の雰囲気を具体的に示すことができ、親近感を抱いてもらいやすくなります。近年は求職者が企業の透明性や「そこで働く人」を重視する傾向にあるため、社員の姿を見せることは、求職者のニーズにもマッチしています。

Q.SEO対策を施した方が良いですか？

Answer)採用サイトにSEO対策を施すことはとても重要です。なぜなら、求職者の多くはGoogleなどの検索エンジンを利用して企業情報や求人情報を探しているからです。例えば「地域名＋職種」や「企業名＋採用」などのキーワードで検索されるケースが多いため、SEO対策を施す場合は、このようなキーワードで上位表示を狙うようにします。SEOで成果を出すのにはそれなりに時間も必要ですが、求人媒体に依存しない採用活動ができるようになれば、長期的には採用コストの削減につながります。

参考ページ:【2025年最新】SEOとは？SEO対策完全ガイド～企業担当者が知りたいAI時代のSEO対策～

Q.どのような機能を持たせるべきですか？

Answer)採用サイトには、求職者が安心して応募できるよう、情報提供だけでなく、利便性にも配慮する必要があります。実装したい具体的な機能としては、履歴書添付などが可能なエントリーフォーム、応募前の不安を解消するFAQ機能などがあります。

また、スマートフォン対応やSNS連携、採用管理ツールとの連携も重要で、こういった機能があれば応募業務の効率化につながります。

Q.SNSとの連携をする必要はありますか？

Answer)SNSとの連携は、現代の採用活動において重要です。多くの求職者は企業の公式SNSアカウントを通じて、日々の雰囲気や社内イベント、社員の声などをチェックしているからです。

SNSには、採用サイトだけでは伝えきれない企業の日常が公開されており、求職者の貴重な情報源となっています。そのため、採用サイトとInstagramやX、LinkedInなどを連携し、更新情報を共有したり、投稿を埋め込むようにします。特に若い世代にアプローチするには、SNSが応募のきっかけになることが多くなっています。そのため今後は、採用サイトとSNSをうまく連動させることが、これまで以上に重要になっていくはずです。

参考ページ:オウンドメディアとSNSを併用するメリットは？運用の注意点を解説

Q.エントリーフォームで必要な項目は？

Answer)エントリーフォーム（応募フォーム）は、応募する人にとって負担が少なく、採用する側が選考に必要な情報をスムーズに集められるように工夫してください。入力項目は絞りつつも、必要な情報は記載してもらえるよう設定します。一般的なエントリーフォームには「氏名」「ふりがな」「メールアドレス」「電話番号」といった基本情報に加え、「希望職種」「志望動機」「簡単な自己PR」「職務経歴（任意）」などがよく使われます。

さらに、履歴書・職務経歴書のアップロード機能をつけることで、詳細な情報を取得することも可能です。ただし、初期段階では入力項目を最小限にし、応募のハードルを下げたほうがエントリー率は向上しやすいです。そして、詳細情報は面接などで補うようにしてください。応募者の目線でエントリーフォームを設計することが、良質な応募を増やす鍵です。

まとめ

採用サイトは、ただ情報を載せるだけの場所ではなく、企業と求職者をつなぐ大切なコミュニケーションの場です。信頼感のあるデザインや、見る人に合わせた内容の工夫、行動を後押しする仕組みなどによって、企業の魅力をしっかり伝え、採用活導の効率化につなげてください。採用力を強化することは企業の成長に直結するため、この記事を参考にしながら、ぜひ戦略的に採用サイトづくりに取り組んでください。