内部リンクとは?SEOにおける重要性や効果的に設置するポイントなど解説

WEBサイトを運営していると「SEOの評価を高めると同時に、ユーザーエクスピリエンスも改善できるか」という課題に直面します。その解決策の1つは内部リンクです。なぜなら、内部リンクを充実させれば、ユーザーは目的としている情報に、いち早く到達できるからです。
また、検索業界のZyppy SEOによれば、内部リンクが4件以下のページは、40~44件のリンクがあるページと比べてGoogle検索からのクリック数に4倍の開きがあると伝えています。このように、内部リンクはSEO強化とユーザーエクスピリエンスを高める有効な施策です。
ただ一方で、デジタルマーケティング会社SureOakの発表では、WEBページの25%には内部リンクが1件もなく、WEBサイトの42%は壊れたもの(クリックしても反応しないなど)が存在していると報告しており、必ずしもすべてのWEBサイトで施策がうまくいっているわけではありません。
そこで、内部リンクの基本から設置のポイント、そしてGA4を用いた改善方法までをわかりやすく解説します。WEB担当者は早速今回の記事を読んで実践で活かしてください。
内部リンクとは?
内部リンクとは、同じWEBサイト(同一ドメイン)内の別ページへつながるリンクのことです。内部リンクの主な役割は、ユーザーがWEBサイト内をスムーズに回遊できるように導くこと、そして検索エンジンにサイトの構造や階層を正しく理解してもらうことです。
また、内部リンクはリンクジュース(ページ同士のリンクが与え合う価値のこと)をサイト内で分配する働きがあり、検索エンジンに「このページは重要です」と示すことで、ページごとのSEO効果にもつながります。
参考記事:Internal Linking for SEO: The Complete Guide – Backlinko
外部リンクとの違い
内部リンクと外部リンクの主な違いは、リンク先のドメインが自社サイトと同じであるか、異なるかという点にあります。
内部リンクは、同じWEBサイト内の異なるページを指すリンクのことで、ユーザーをWEBサイト内の別コンテンツに誘導したり、検索エンジンがWEBサイトの構造を理解するのを助ける役割があります。
一方、外部リンクは他のWEBサイトへ誘導するリンクです。外部リンクは主に、閲覧中の自社ページの信頼性を裏付けるために、科学的な研究や専門家の記事といった関連リソースを紹介するために使用します。
参考記事:外部リンクとは?対策方法やSEOにおける注意点などを詳しく解説
内部リンクの設置場所
内部リンクは、WEBサイト内のさまざまな場所に設置します。もっとも一般的な設置場所は、WEBサイトの上部や下部、サイドバーなど、主なページを効率的に移動できるよう案内するナビゲーションメニューです。
また、コンテンツ本文中に関連性の高い情報へのリンクもよく設置されます。その他、長いページ内で特定のセクションへジャンプするためのリンクや現在のページの階層を示すパンくずリスト、行動喚起(CTA)なども内部リンクの一般的な形です。どれも、ユーザー体験向上と検索エンジンによるサイト構造の理解を助ける役割があります。
関連記事1:CTA(Call To Action)の作成と活用におけるポイントを解説
関連記事2:パンくずリストとは?SEO効果と設置方法を解説
内部リンクの重要性
WEBサイトのSEOやユーザー体験を高めるのに重要な役割を果たすのが内部リンクです。適切に設置された導線は、ユーザーが迷わず情報にたどりつける道しるべとなり、サイト滞在時間やコンバージョン率の向上につながります。
さらに検索エンジンにとっても、サイトの構造や重要ページを理解する手がかりとなり、検索順位の改善に直結します。ここでは、こういった内部リンクの重要性について整理してお伝えします。
ユーザー体験の向上
ユーザーがWEBサイト内を効率的に移動し、関連性の高いコンテンツを簡単に見つけられるようにすることで、リンクはユーザー体験を向上させる役目があります。ユーザーは閲覧しているコンテンツ内から関連情報にアクセスでき、自身の疑問点を解消できたり、知りたい情報を閲覧できます。
文脈に沿った自然なリンクや行動喚起(CTA)などを配置することで、ユーザーのエンゲージメントを高め、サイト滞在時間をのばします。結果として、SEO的に高く評価されることにもつながります。
コンバージョン向上
内部リンクは、ユーザーをWEBサイト内のセールスページなどへ誘導し、コンバージョン向上に役立ちます。例えば、多くのトラフィックを集めるブログ記事などから、商品購入の申し込みページへリンクを張るといったことが挙げられます。
仮に、自社が筋肉トレーニングのコーチングサービスをおこなっているとします。その際、ブログでは筋肉トレーニングに関する記事を書き、そこで多くのトラフィックを集めます。
そして、記事の先頭や末尾などに筋肉トレーニングのコーチングサービスを宣伝するコンバージョン率の高いセールスページへリンクさせることで、そのまま売上につなげることができます。このように、内部リンクはユーザー体験を向上させるだけでなく、コンバージョンを獲得し収益増に直結します。
リンクジュースの配分
WEBサイト内のページ間で「リンクジュース」と呼ばれる、ページの価値を効率的に配分する役目も内部リンクにはあります。検索エンジンは、リンクを通じて各ページの重要度を評価します。
特に、多くのリンクを受けているページほど重要だと判断されるため、トラフィックを集めたいページへ戦略的にリンクを張ることで、検索エンジンランキングの向上に役立ちます。
関連記事:リンクジュースとは?SEOとの関係とページランクに関しても併せて解説
インデックスの効率化
検索エンジンがWEBサイトのコンテンツを効率的に発見し、インデックスするうえで内部リンクは非常に重要な役割を果たします。Googleのような検索エンジンは、Googlebotと呼ばれるプログラムを使ってWEBサイトを巡回し、新しい情報や更新された情報がないかを探します。
このクローラーは、WEBサイトのトップページから始まり、リンクをたどって他のページへと移動します。そのため、リンクが適切に設定されていると、クローラーはサイト内の深い場所にあるページや、新しく公開されたコンテンツにも迷わずたどりつけます。
逆に、どのリンクからもたどることのできないページは「孤立ページ」と呼ばれ、クローラーにとって見つけるのが困難なため、結果として検索結果に表示されにくくなる可能性があります。このようにリンクがあることで、クローラーはWEBサイト全体を巡回でき、効率的にインデックスすることができます。
関連記事:インデックスとは?用語の意味や仕組み、確認方法まで詳しく解説
効果的に内部リンクを設置するポイント
サイト内のつながりは、ただ設ければ良いというものではありません。戦略的に導線を配置することで初めてSEOやユーザー体験の向上につながります。
重要なページへ効率よく訪問者を誘導する、関連性の高い記事同士を結びつけるといった工夫次第で、検索エンジンからの評価やコンバージョン率は大きく変わります。そこで今回は、効果的にサイト内にリンクを設置するための具体的なポイントを解説します。
ピラミッド型構造の構築
ピラミッド型構造とは、トップページを頂点とし、その下に主要なカテゴリ、さらにその下に記事や詳細ページが配置される階層構造を指します。「トップ → 中カテゴリー → 詳細ページ」のような構造になっていると、ユーザーと検索エンジンの両方がWEBサイト内をスムーズに移動できます。
例えば、株式会社ユニクロのWEBサイトであれば、トップから、「メンズ」「レディース」「キッズ」「ベイビー」といった主要カテゴリに分かれ、その下に「ニットセーター」「カーディガン」「コート」「ジャケット」「デニム」「スラックス」などの詳細ページが配置されます。
このように、ユーザーは大まかな分類から徐々に絞り込んで目的の商品にたどり着け、検索エンジンもサイト全体の構造を理解しやすいです。
特にWEBサイトのナビゲーションメニューがこの階層でつくられていると効果的です。ピラミッド型であれば、検索エンジンはWEBサイトの構造はもちろん、各ページの重要性をより正確に理解できクロール効率も高まります。
ただ、ページ数が増えてくると次第にこの構造が崩れてしまい、孤立するような箇所が出てくることもあるので注意してください。
トピッククラスターの利用
トピッククラスターとは、WEBサイト内の関連性の高いコンテンツをまとめてグループ化し、リンクで相互に結びつけたものです。トピッククラスターでは、まず「ピラー」と呼ばれる広範なメインテーマを扱うページを設け、そこから特定のサブトピックや詳細情報を扱う「クラスター」へとリンクを張ります。
例えば、「コーヒーマシン」というメインのピラーから、「ドリップコーヒーマシン」や「タイガーのコーヒーマシン」といったクラスターへリンクします。
あるいは「筋トレ」というメインのピラーをつくり、その後「腹筋」や「背筋」といったクラスターを用意し、それぞれに相互リンクを張るようにします。
こうすることで、検索エンジンはこれらのコンテンツが密接に関連していることを理解し、WEBサイト全体のトピックに関する専門性が高まり、結果としてSEOの評価も向上します。
関連記事:トピッククラスターとは?実践手順や効果、注意点など解説
重要なページにリンクを集める
WEBサイト内で特に重要度の高い箇所(例えば、収益に直結する商品ページ、特定のトピックに関して詳細な情報を提供するコンテンツなど)に対して、他の多くのページから内部リンクを張るようにします。
例えば、「メールマガジンの登録ページ」のSEO評価を高めたいとします。この場合、ブログ記事の各ページから、メールマガジンのページに向けてリンクを張るなどのことが考えられます。
こうすることで、ユーザーと検索エンジンの両方に、その箇所がサイト内で重要であることを伝えることができます。
結果として、重要なページの検索結果でのランキングが向上し、検索エンジンのクローラーも頻繁に巡回してくれます。また、ユーザーにとっても重要なコンテンツにたどり着きやすくなるため、ユーザー体験の向上とコンバージョン率の増加につながります。
GA4の内部リンク改善に役立つ機能
内部リンクの改善は感覚ではなくデータに基づいておこなうことで、効果が大きく変わります。特にGoogle Analytics 4(GA4)には、ユーザーがどのページからどこへ移動したかを可視化する「経路データ探索」や、滞在時間や直帰率を把握できる「エンゲージメント指標」など、リンク改善に役立つものが揃っています。そこで、WEB担当者が活用したい機能をとりあげ解説します。
経路データ探索
GA4の経路データ探索機能は、WEBサイトのリンクを改善するために役立ちます。この機能は、ユーザーがWEBサイト内でどのページ間を移動したかを視覚的に表示するもので、ユーザー行動のフローを把握するのに役立ちます。
例えば、購入・申し込みに至ったユーザーがどのようなページを見てコンバージョンページまでたどりついたのかを調べたり、特定のページのあとでどこに移動したのかを確認できます。
具体的には「探索」メニューの「経路データ探索」を利用すると、「セッション開始」などの起点イベントから、ユーザーが次にどの内部ページを訪問し、それぞれのページがどれだけ閲覧されたか(ページビュー数)を確認できます。
このようなデータから、ユーザーがWEBサイト内で期待どおりにコンテンツ間を移動しているか、あるいはどこで離脱したり、いきづまている可能性があるかを分析できます。こうしたGA4のデータをもとに内部リンクの配置や関連性の改善、ユーザー体験を向上させ、そして最終的にはコンバージョン率の増加につなげることができます。
エンゲージメント指標
GA4のエンゲージメント指標は、リンクのクリック数などを追跡するものではないですが、ユーザーがWEBサイトのコンテンツに対してどの程度、満足しているかを把握でき、内部リンク改善に間接的に役立ちます。
具体的には、ページビュー数、離脱率(指標としてはないため離脱数などから計算)、平均エンゲージメント時間などの指標を確認することで、個々のページのパフォーマンスを評価できます。
例えば、特定のページで離脱率が高い、または滞在時間が短いといったエンゲージメントの低い傾向が見られる場合、そのページへの内部リンクの配置やアンカーテキストの見直しなどを検討できます。このように、GA4のエンゲージメント指標を参考にすれば、リンクとコンテンツの見直しに役立ちます。
関連記事:平均ページ滞在時間とは? 目安や計算式、GA4で確認できるのかを解説
内部リンクのよくある質問
ここではWEB担当者からよくいただく質問を中心に回答します。普段、SEO対策をおこなっていると、よく出てくる疑問を取りあげたので、早速お読みください。
Q.内部リンク設計は重要ですか?
Answer)街の道路と同じように考えてください。
例えば、大通りから裏路地につながる道がなければ、人はいきたい場所にたどり着けません。逆に人の目的と合致しない区間を道路で結んでも、不便でしかありません。このように内部リンクは、WEBサイトに訪れたユーザーが「ここに誘導してくれたおかげで、目的地に素早く移動できた」という形にすることが重要です。そのため、設計は必ずおこなってください。
Q.内部リンクは検索エンジンを優先した対策をとったほうが良いですか?
Answer)その考えは必ずしも正しくありません。
検索エンジンはユーザーに役立つページを、よいWEBサイトとして評価します。そのため、ユーザー第一で作れば結果的にSEOにも効果的です。一方で、検索エンジンがどのような形を理想的なリンクと見なしているかを知っておくことは、よりスムーズに結果を出すのに役立ちます。そのため、ユーザーを第一に考えつつ、一方でSEO対策を意識した施策をとる必要があります。
Q.GA4以外にも役立つツールはありますか?
Answer)MicrosoftClarityやPtengineなど、ヒートマップツール(特にクリックヒートマップ)は、役立つツールといえます。
これは、タップしてほしいところをユーザーが適切に操作しているか確認することができるものです。クリックヒートマップでは、ユーザーがクリックした箇所を赤色で示します。そのため、WEB担当者の設置したリンクをユーザーがきちんと認識し、タップしているかを確認できます。ときには何かのグラフィックがCTAなどのボタンと間違えられていて、ユーザーの混乱を招いているなどのことが発見できますので、これらのデータをもとに改善を図ってください。
関連記事:ヒートマップとは?導入すべきケースやWEBページの改善方法など解説
Q.古いページにも内部リンクを張る方が良いですか?
Answer)古いページであっても、ユーザーにとって有益であれば積極的にリンクを張るようにしてください。
検索エンジンは、適度に更新しているWEBサイトを評価します。そのため、リライトしたタイミングなどで、必要に応じて見直すと良いです。
関連記事:更新頻度とSEOの関係とは?更新が重要視される理由
Q.広告を配信するLPにも内部リンクを設置した方が良い?
Answer)広告を配信するLPでは、リンクを最小限に留めるようにしてください。
LPはSEO対策をして検索結果に上位表示させることが目的ではありません。また、他のコンテンツを見てほしいわけではなく、LPだけを読んで欲しいという意図もあります。そのため、他のコンテンツに誘導する必要性は低いです。
関連記事:ランディングページ(LP)とは? 意味、構成とデザインの制作方法を解説
まとめ
今回お伝えしたとおり内部リンクは、ユーザー体験の向上と、検索エンジンに正しいサイト構造を伝えるという点において重要なポイントです。ピラミッド構造やトピッククラスターなどを考慮し効果的に設置することで、最大の効果をえられるはずです。
また、内部リンクをただ闇雲に設置するのでなく、GA4の経路データ探索やエンゲージメント指標などを活用し、継続的に改善を図ることも大切です。各ページの重みづけを調整するうえでも内部リンクは重要なため、GA4のデータと照らし合わせ最適化を図るようにしてください。





