Webマーケティングの進め方とは?Web担当者が押さえるべき基礎知識を解説
インターネット需要が拡大している昨今、企業にとってWebマーケティングは必要不可欠な要素といえるでしょう。
一方、初心者は始め方や注意点が分からず、効果的な運用ができないということも少なくありません。

Webマーケティングとは
Webマーケティングとは、インターネットを媒体にしたモノやサービスを販売する仕組みの構築を指しており、SEO(検索エンジン最適化)、ウェブサイトに掲載する広告等も含まれています。
パソコンとスマホが生活に欠かせない現代においては、従来のスタンダードとされていた新聞や電車の中吊りのみのマーケティングはもはや適切とはいえませんので、ここから解説する基礎知識をしっかり押さえて、より理解を深めておきましょう。
Webマーケティングの重要度
総務省の調査によると、日本におけるインターネット利用率は全体で9割程度であることに加えて、テレワークの導入や情報コンテンツの拡充に伴い、その需要は今後も安定推移が予想されています。
そして、更に注目するべきはECサービスの市場規模であり、経済産業省の発表によれば、toCで約19兆円、toBに至っては330兆円以上にも昇るため、特にネットショッピングをメイン販路としている企業にとって、Webマーケティングの成功は重要課題といっても過言ではないでしょう。
また、現在はインターネット上でアプリを配信する等してターゲット層にキャンペーンを周知し、実店舗へ誘導するO2O(Online to Offline)という概念も確立されていることから、飲食といったオフラインビジネスに関しても当然例外ではありません。
Webマーケティングの歴史
Webマーケティングについて理解するために、Webマーケティングの変遷について理解することが重要です。ここでは、Webマーケティングの歴史について解説していきます。
1994年~
Webマーケティングの起源は、インターネットが徐々に普及し始めた1994年頃とされており、WindowsやMacintosh(現在のMac)といった主要OSのリリース、そしてオンラインビジネスも小規模ながら誕生した時代です。
2000年~
企業、あるいは一般家庭にパソコンが普及し始めた2000年は、大手ECサービスである楽天の勢いが活発化し、時の総理大臣である小泉純一郎氏がメルマガを活用したことでも話題となりました。
そして、Googleの発達によってSEOの概念が誕生した年でもあり、現在の形が徐々に浮かび上がってきたタイミングといえるでしょう。
2005年~
Twitterの需要拡大やFacebookの日本市場参入、そしてSEO対策の外注ビジネス化が始まった2005~2009年頃は、現代主流とされている数々の手法やサービスの礎を築いた時代といえるでしょう。
ちなみにこの頃はインターネット広告も普及していたことから、個人でアフィリエイトに取り組むケースも増えてきました。
2010年 ~ 現在
スマホやLINEの普及によってSNSビジネスが活発化、そしてLTEや5Gといった高速通信サービスも次々にリリースされたことで、加速度的に市場が変貌を遂げた時代です。
およそ四半世紀にも及ぶWebマーケティングの歴史を知れば、次に巻き起こるトレンドの予想にも繋がるため、現在チャレンジを検討している方はしっかり押さえておきましょう。
Webマーケティングとデジタルマーケティングの違い
Webマーケティングとデジタルマーケティングは一見するとよく似ていますが、以下の通りカバーしている範囲が大きく異なっています。
種類 | 対象範囲 |
Webマーケティング | ・ウェブサイト、SNS、アフィリエイト、SEO対策等 |
デジタルマーケティング | ・マーケティングの範囲 + IoT、VR、AI、Web |
したがって、デジタルマーケティングはWebマーケティングもカバーしつつ、より多くの分野に対応した手法であることから、混同すると社内やクライアントとのセッションも噛み合わなくなってしまうため、注意しましょう。
Webマーケティングのステップとは
ここからは、Webマーケティングの基本ステップである、戦略構築、集客施策、回遊施策、CRMについて解説していきます。
- 戦略構築
- 集客施策
- 回遊施策
- CRM
いずれも確実な成果を得るには必要なプロセスであるため、是非参考にして下さい。
戦略の構築
Webマーケティングといえば広告やウェブサイト制作ばかりに注目してしまいがちですが、その前にまず以下のポイントを整理して、戦略を構築しなければなりません。
ターゲットの確立
最初に取るべきステップは、自社サービスのニーズが見込めそうなターゲットの確立であり、具体的に次のポイントを絞り込むことでより効果的なアプローチが可能となります。
- どのようなSNS、メディアを利用しているか
- 抱えていそうな問題や悩み
- ライフスタイル
- 年齢、性別、家族構成
一方、収入水準や職業等を追加して可能な限り詳細にするのも重要ですが、あまりピンポイントに設定し過ぎるとかえってリーチできる層が狭くなってしまうため、取り扱う製品やサービスの特徴がマッチするようなモデルをいくつか洗い出し、バランスを調整していくのがおすすめです。
競合を把握する
設定したターゲットがサービスの利用を検討する際、自社と比較対象になりそうな競合に関しても把握しておく必要があります。
具体的には、自社サービスに関連するキーワードを検索して、表示された競合サイトのコンテンツや製品、できればSNSもチェックしましょう。
そして、ユーザーに対するアプローチ、訴求方法等を押さえてウェブサイト制作における1つの指標に活用するのがおすすめです。
自社の課題と強みを整理する
自社サービスを競合と比較して特徴の整理を行い、不足している要素の改善、そして優れているポイントを押しだせるようにしていきましょう。
また、既存ユーザーによる口コミ、他サイトにおける評価等も有力な判断材料となるため、積極的に活用して下さい。
以上のアクションを通して「どんな人に」「どのような方法で」「自社のどのサービスを」という3点を明確にしていきましょう。
集客施策
効果的な戦略が構築できたら、次に行うのは集客施策です。
マーケティングにおいては何よりも「認知」してもらうことが重要であるため、ここで解説する手法を効果的に活用して下さい。
SEO
SEO(検索エンジン最適化)とは、自社サイトに関連するキーワードが検索された際、上位に表示されるよう検索エンジンからの評価、あるいは理解度を高めることを指しています。
ちなみに代表的な対策は以下の通りですが、ユーザーニーズやトレンドによって評価基準は度々変更されるため、GoogleやYahoo!のアナウンスをこまめにチェックしていきましょう。
- 良質なコンテンツの継続的な制作
- ユーザーニーズを満たせているかどうか
- 被リンクの獲得
- ページ更新速度の改善
関連記事: SEO対策とは?|初心者のためのSEO対策
SNS
ターゲットとする年齢層によって差はありますが、TwitterやInstagramは現在高い利用率を誇っていることに加えて、Googleに変わる検索ツールとして活用されるケースもあるため、集客プラットフォームとしては大変おすすめといえるでしょう。
また、Facebook、TikTok等ももちろん有効であり、拡散されやすいコンテンツを定期的に配信し、ユーザーと直接やり取りできるような仕組みを構築するとより効果的です。
ちなみにこの項目に関してはSNSマーケティングという別ジャンルに分類されるのが一般的ですが、Webマーケティングにおいてはセットで行うのがスタンダード化しているため、あえて本記事で解説しています。
メールマガジン
メールマガジンは既存ユーザーに対する継続的なアプローチはもちろん、購入の手前でスタックしている見込みユーザーが意思決定するまでの期間、自社サービスの関心を維持することが可能です。
また、テンプレートを策定すればほぼコストをかけずに行えるポイントも魅力であり、SNSよりも長く活用されている集客施策の1つとなっています。
広告
Webマーケティングでは適切な広告の運用も重要である一方、現在は以下のように多くの種類が存在しています。もちろんそれぞれに特徴があるため、自社サービスにマッチしたものを選んで下さい。
広告の種類 | 特徴 |
リスティング広告 | ・Google等で検索した際に表示される広告 ・掲載順位はオークション形式で決定 |
バナー広告 | ・ウェブサイトに表示させる広告 ・画像等を用いて視覚的に訴求できる |
SNS広告 | ・TwitterやInstagram等のSNSに表示できる広告 ・SNSのツールを用いて詳細にターゲットが絞り込める |
アフィリエイト広告 | ・購入や申し込み実績に応じた報酬を掲載側に支払う ・基本的に成果報酬型なのでコストが抑えられる |
リターゲティング広告 | ・ウェブサイトに訪問したユーザーに向けた広告 ・クッキーのあるユーザーに限定できるためピンポイントにアピールできる |
回遊施策
Webマーケティングにおいては、アクセス数を増やすだけでなく、最終的に自社サービスを購入してもらわなくてはなりません。
そのため、ここから解説する回遊施策をしっかり行い、ユーザーに対して最後の一押しをしましょう。
LPO
ランディングページとは、通常検索やリスティング広告から流入したユーザーが最初に見るページを指しており、CVR(成約率)を高めるために行うのがLPO(ランディングページ最適化)となります。
具体的には、訪問ユーザーの行動や過去の閲覧履歴からよりマッチした内容を表示させるパーソナライゼーション、そしてページ更新速度の改善等が代表的な対策といえるでしょう。
EFO
カートや入力フォームは自社サービスの購入、または申し込みのために便利なシステムですが、この段階で細かい全角半角の指示やエラーメッセージの煩わしさを感じると、ユーザーは簡単に競合へ切り替えてしまうでしょう。
そこで重要となるのがEFO(入力フォーム最適化)であり、レイアウトを見やすく、最大限入力を簡素化する等して、ユーザーの購買欲を維持する施策です。
CRM
Webマーケティングは成約すれば終わりというわけではなく、1度サービスを利用、あるいは購入したユーザーとの関係を維持するCRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)も実施する必要があります。
具体的には、購入後のフォローやキャンペーンの配信を行い、既存ユーザーによる口コミ内容を良質なものにし、新規ユーザーに対する効果的な判断材料に昇華させるといった対策であり、丁寧に実施すれば長期的なリピーター化も期待できるでしょう。
Webマーケティングのメリット
ここからは、Webマーケティングのメリットについて解説します。効果的に運用するためにしっかり押さえておきましょう。
モノのコストがほぼ発生しない
Webマーケティングはほとんどがパソコンで完結することから、想定するコストとしてはパソコンや電気代、回線費用程度であり、全体的に低コストで実施できるポイントはメリットといえるでしょう。
ただし、SEO対策やLPの制作等の外注費用が高額になればその限りではないため、コストをかける必要があるかどうかをしっかり判断して下さい。
的確にターゲティングできる
ウェブサイトやSNSでは、ユーザーの趣味や嗜好、現在抱えている悩みといった詳細なデータを効率的に収集できるため、旧態のマーケティング手法よりも格段に的確なターゲティングが可能となります。
そして、市場のニーズやトレンドにマッチしたサービスの考案にも繋がることから、収益はもちろん、企業としての評価も高まる期待が持てるでしょう。
Webマーケティングの注意点
メリットを把握したところで、次はWebマーケティングの注意点を見ていきましょう。
成果をだすためには重要なポイントであるため、是非参考にして下さい。
Web担当者のネットリテラシーが必須
Webマーケティングの拡散性は1つの魅力である一方、担当者のネットリテラシーが不足していると一瞬で炎上するデメリットがあります。
そして、内容によっては自社ブランドのイメージが悪化し、成約率も低下させてしまう可能性もあるため、人選に不安がある場合は多少コストをかけてもWebコンサルタント等を外注した方が良いでしょう。
トレンドや手法のアップデートが重要
Webマーケティングは市場のニーズやシェアの変化に対して大変素早く反応する特徴があり、その都度で適した手法も頻繁に移り変わってしまいます。
そのため、こまめにトレンドをキャッチして情報をアップデートし続けなければならないデメリットがあり、片手間で取り組んでいると早い段階で取り残されてしまう可能性もあるでしょう。
したがって、もし十分なリソースが確保できない場合は、先ほどと同じように外部サービスを活用するのがおすすめです。
Webマーケティングを成功させるには
ここからは、Webマーケティングを成功させる2つのポイントを解説していきます。適切な施策を講じれば高い確率で成果はついてくるため、しっかり押さえておきましょう。
社外のノウハウを収集する
社内におけるディスカッションや検証も当然重要ですが、社外のノウハウを収集することもあわせて行いましょう。
特にWebマーケティングで確かな実績を上げている企業とは、積極的に関係性を構築してパートナーシップを結ぶのも大変有効であるため、決して内向的にならず広い視野を持って取り組んで見て下さい。
自分の求める手法を研究する
Webマーケティングは手法やスキルの移り変わりが激しい世界であることから、つい目移りして結果的に全体の習熟度が低下してしまうケースもあります。
したがって、自分の求める手法や運営するメディアにマッチしたものを的確にピックアップし、集中的に情報をアップデートしていった方が最終的な効率は飛躍的に向上するでしょう。
