情報取集は、ビジネスにおいて「食べる、寝る、起きる」のような日常的な行動の1つです。情報取集は、あまりにも自分にとってあまりにも当たり前の行動なため、情報収集によって得られる成果や対価は軽視されがちです。

しかし、情報収集とは、すべてのパフォーマンスの起点です。なぜなら、結果は行動の判断によって決まります。判断は、与えられた情報、獲得した情報をもとに決まります。

ソニー銀行は、従業員のデータ活用が浸透させるためのデジタルツールを導入した結果、2022年の経常利益は導入前の18年と比較し122％増加しています。

トレンドやアップデートが盛んなSEOからWebマーケティングの世界では、情報収集が成果に占める割合は、さらに大きいと言えるでしょう。そこで、今回はSEOにおける情報取集のマニュアル、効果を出す方法、情報取集の効率やパフォーマンスを高めるツールなどを分かりやすく解説していきます。

情報収集とは

情報収集とは、特定の目的やニーズに応じて情報を集めるプロセスです。ビジネスにおいては、課題解決や目標達成に対する知識や知見を集め、意思決定の最適化やパフォーマンス向上のために行われます。

情報収集のプロセス

どの分野でもグローバルに行われる情報取集のプロセスは、主に5つあります。

以下、説明します。

目的の明確化

目的を明確にすることは、情報収集の感度を大きく高める効果があります。目的を持つことで、情報のアンテナを張ることができ、目の前の景色を含めた感じ取るものすべてを、目的と結び付けられるようになるからです。

自分の目的を可視化し、目的をきちんと形にして、目的そのものも情報として落とし込むことが、情報収集の第一歩です。

参考：［2023年最新版］SEO会社を目的別でご紹介！選び方のポイントや注意点も解説

情報源の特定

目的が明確なれば、情報を探すステップへ移ります。その際に、まず行うのが情報源の特定です。情報は、必ず何かしらの媒体を通じて、得られるものです。媒体は情報の伝達や共有に使用される手段やメディアを指します。

情報源とは、媒体と、媒体の中に含まれる情報の2つの意味を持ちます。このことから、情報源の特定とは、媒体選びと情報選びの2つの作業を指します。

Webサイト、SNS、書籍、学術論文、動画、ツール、特定した媒体の中に存在する情報の中から、さらに絞って情報を特定していきます。情報は、専門家の意見、データベース、市場調査レポート、事例、ツールによる出力などが存在し、それらの中から目的を果たせそうな情報を選択していきます。

媒体選びも、媒体の中にある情報選びも、信頼性、信憑性、鮮度などを考慮することで、最適な情報源を特定することができます。

参考：マーケットリサーチとは？必要性や種類を解説！

情報の取得

目的を果たす情報をピックアップしていきます。この時点では、目的を果たすヒントや手掛かりになると感じるものをひたすら収集していくと良いでしょう。情報を収集する際は、情報に対して情報源も一緒に残すようにします。

参考：Googleの情報取得方法とインデックス登録について解説

情報の整理と分析

複数の要素やデータをまとめ、総合的な結果を得る作業です。収集したデータを整理し組み合わせ、パターン、均一性、共通化、トレンドの発掘を行います。この分析結果が実質的なノウハウ化へ結びついていきます。

参考：マーケティング分析とは？初心者向けに基本や流れとフレームワークについて解説

情報の利用

整理と分析によって導かれた仮設や最適解を、目的を果たすために利用します。問題解決、意思決定、報告、学習など、多様なシーンで、情報収集が生かされることになります。

参考：ChatGPTをSEO対策に活用する方法とは？ おすすめプロンプト一覧もご紹介

SEOにおける情報収集とは

SEOにおける情報収集は、一般的な情報取集に比べて、主に5つの特徴を持ちます。これは、デジタルマーケティング、Webマーケティング全般に通じる特徴です。

以下、説明します。

現状分析

SEOの情報収集は、他の情報収集に比べて、現状分析に占める負荷が大きく、重要な割合を占めます。なぜなら、SEOは、さまざまな要素が関与しており、その幅は非常に広いからです。

キーワード戦略、検索ボリューム、コンテンツ品質、クローラビリティ向上、モバイルフレンドリー、バックリンク構築、ユーザーエクスペリエンス、検索エンジンアルゴリズムなど、SEOに関わる運営サイトの現状を細かく洗い出すことが情報収取として求められます。

SEOにおける情報収集の大きな目的は「検索順位を上げる」ことですが、そこから細かく目的を明確化する際に、誤った目標を設定しやすい分野でもあります。

例えば、「コンテンツの品質を高めるために最適なリライトの手法を探す」というより細かな目的を明確化したとします。しかしながら、本来は質の高いバックリンクの獲得がそのサイトの順位に大きく関わるのであれば、目的自体が誤っていることになります。

SEOにおける情報収集は、まず、Webサイトにおける現状を多角的な点から分析することが求められます。

参考：Google SEOとは?　Google SEOで検索順位1位を獲得するための10の実践

トレンド把握

SEOは他の情報収集とは違い、トレンドの移り変わりが激しいため、常に新しい情報の把握を目指す必要があります。SEOそのものは検索アルゴリズムに対する施策ですが、SEOを通じて獲得したいのは、利益や売上といった成果のはずです。そのため、SEOは検索アルゴリズムだけでなく、潜在顧客や閲覧ユーザーに影響を与えるものである必要があります。潜在顧客が求めるニーズなどのトレンドを把握することは、利益や売上を創出する新たな検索ボリュームの発掘に繋がるなど、非常に重要な作業となります。

参考：2024年のSEOはどうなるのか？意識すべき最新トレンド

アップデートの追跡

SEOの分野は、利用に関わるブラウザ、モバイル、ツール、システムなど、様々なものが随時アップデートされ、検索順位に影響を及ぼします。そのため、アップデートを定期的に追跡することが、適切な情報収集になります。

特に情報収集すべきアップデートは、Googleコアアップデートです。Googleコアアップデートは、Webサイトの検索順位を決定付ける検索アルゴリズムの基軸の部分の仕様変更です。

大手仮想通貨メディアCCNの場合、2019年6月3日、コアアルゴリズムアップデートによって、モバイルからの訪問者数が71%へと激減。1週間後にはサイトの閉鎖に追い込まれることになりました。

アップデートされる度に情報収集するのではなく、これまでのアップデートの流れから、次に起こるアップデートを予測し、情報として可視化させることも、SEOにおける大切な情報収集です。急に起こるアップデートに対するネガティブな影響を避け、アップデートに強い長期的に安定したSEOへ繋がっていきます。

参考：Googleのアルゴリズムとは？概要やアップデートの歴史など解説

競合調査

1つのキーワード検索に対して、検索順位の1位を目指す場合、枠は1つしかありません。AI 主導のオーガニック検索およびコンテンツ最適化プラットフォームを展開するSEOClarityの調査によると、PCで検索順位が1位だった場合のクリック率は8.36%、10の場合は、0.44%となっています。検索結果の1ページ目を目指す中でも、1位と10位では、流入の差が格段に変わります。

2023年時点で、 「SEO対策」と検索した場合、インデックスされているのが19,900,000件。非常に限られた枠を、多くのページと争うことになるため、競合調査を行い、検索アルゴリズムの観点から競合を越えるページにする必要があります。そのため、徹底した競合調査も、SEOにおける情報収集には重要なファクターとなります。

参考：競合他社分析の進め方（テンプレート付き）

実践・事例のピックアップ

SEOには明確な正解がありません。アルゴリズムの詳細を非公開にしており、検索結果のランキングに影響を与える具体的な要因が完全には明らかにされていません。

一般的なSEOの手法は、ウェブマスターガイドラインやベストプラクティスや実績と成功事例の分析によって確立されていきます。特に実績や成功事例というのは、結果が表現されており、SEOの情報収集には非常に有効です。

ウェブサイトや業界ごとに最適なSEO戦略が異なるため、他の専門家や企業の実践的な取り組みや成功事例をより多くピックアップしていくことで、目的に沿ったSEOの情報取集がより実現できます。

参考：サテライトサイトの基本を解説！目的や作り方、運用事例など紹介

SEOの情報収集ツール

SEOのための最適な情報収集のツールは主に5つあります。

以下、説明します。

Google Search Central

Google Search Centralは、WebサイトのSEO改善のためのあらゆる情報を網羅したGoogleの提供するプラットフォームです。

時代が進むにつれて多様化するSEO施策のあらゆる情報が掲載されてあります。自社サイトのSEO対策に目的を適切に明確化するために、何度も読み込んでおくことをおすすめします。

Googleキーワード プランナー

文字通り、キーワードに対するあらゆるプランニングを助けてくれるWebツールです。 特定のキーワードに対する検索ボリュームや特定のトピックに関連するキーワードのアイデアを取得できます。Googleキーワード プランナーは、キーワードの観点から、最適なサイトの設計作りに役立つ情報源です。

参考：Googleキーワードプランナーの使い方をわかりやすく解説

Similarweb

オンラインで利用可能なマーケティングインテリジェンスプラットフォームです。Similarwebは、ウェブサイトやアプリが特定の業界や地域でどの程度の市場シェアを持っているかを知ることができます。他にも、指定したウェブサイトがどのキーワードで検索エンジンでのランキングを上げているかを可視化でき、競合調査に非常に有効です。

参考：SimilarWebとは？使い方から無料版と有料版の違いやメリット、注意点を解説

ラッコキーワード

ラッコキーワードは、無料で利用できるキーワードリサーチツールです。特に便利なのが、Googleサジェストに含まれる複合ワードを全部抽出してくれる機能です。全体的に使いやすいUIで、SEOやデジタルマーケティングの初心者のかたの情報取集には最適なツールです。

Googleアナリティクス

トラフィックやユーザー行動に関するデータを収集・分析できるツールです。WebマーケターやWeb担当者であれば、常時使っているかたが多いツールですが、Googleアナリティクスでできることは非常に多岐に渡ります。

例えば、カスタムレポートは、自社のニーズに合わせてカスタマイズでき、重要な指標やデータに素早くアクセスできるようになり、SEOにおける情報取集の質を高めることができます。常に使っているツールに対しても、より詳しく深く接することで、新たな問題の解決策を発見できるようになります。

参考：Googleアナリティクス4とは？導入方法や初期設定・基本的な機能の使い方を解説

Googleトレンド

索エンジンのデータを基にしたキーワードやトピックのトレンドを可視化し、比較が可能なツールです。地域ごとのトレンド、関連ワードのトレンド、カテゴリごとのトレンドなどを知ることができ、新たなS

参考：Googleトレンドとは？機能や活用方法を解説

SEO情報収集のよくある質問

まとめ

SEOにおける情報収集とは、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性が高く、まさに技術革新や時代の移り変わりが激しい、今の時代を紐解く情報収集の特徴を持つと言えます。今後、様々なデジタルツールやデジタルプラットフォームが誕生し、それをうまく生かすことが求められていきます。SEOの情報収集では、幅広いデータアナリティクスツールと向き合う貴重な機会となり、データを活かす企業体質を成長させることにも繋がります。そのため、SEOの情報収集のパフォーマンスを高めることで、企業はその都度時代に適した革新を活かし、時代の急激な流れや波に大きく乗る機会を生むきっかけの1つとなります。

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この記事の監修者

アドマノ株式会社　代表取締役　天野　剛志

日本大学法学部卒業、広告代理店で12年間働いている間、SEOと出会い、SEO草創期からSEO研究を始める。SEOを独学で研究し100以上のサイトで実験と検証を繰り返しました。そのノウハウを元に起業し現在、11期目。営業、SEOコンサル、WEB解析（Googleアナリティクス個人認定資格GAIQ保持）コーディング、サイト制作となんでもこなす。会社としては今まで2000以上のサイトのSEO対策を手掛けてきました。