カニバリゼーションとは?SEOへの影響からカニバリ対策までを解説
WEBサイトの運用期間が長くなるほど、記事本数が増加していき、サイト管理が煩雑になっていきます。こうした理由でサイト管理が行き届かなくなると、サイト内で重複ページが生まれてキーワードカニバリゼーションを起こす危険が高まります。そして、自社サイト内でカニバリが発生していると、SEO対策の観点から都合が悪い状況といえます。実際に、カニバリを不安視するサイト運用者の声がみられ、GoogleのFAQサイト内でも議論の対象になっています。
そこで、サイト運用者としては、カニバリの発生メカニズムやリスクを理解することが大切になってきます。そのうえで、カニバリの検証方法、カニバリを未然に防ぐ方法や発生時の対処方法を知っておく必要があります。

キーワードのカニバリゼーション(カニバリ)とは
SEO業界用語のキーワードカニバリゼーション(Keyword Cannibalization / カニバリ)とは、1つのWEBサイト内に存在する複数のページが検索結果(SERPs / サープス)上で競合を起こしている現象を指します。
わかりやすく説明すると、2つのWEBページに対して同じキーワード(テーマ)を設定すると、Google検索エンジンが「1つのサイト内に、同じテーマの記事が2つある」と認識して、いずれのページを優先して検索結果に表示すべきか迷ってします。とくに、管理が不十分なサイトだと、カニバリを起こしやすい傾向がみられます。そして、カニバリが発生すると、SEO面で不都合が生じます。
キーワードカニバリゼーションの問題点【サイト運用者の認知】
キーワードカニバリゼーションが起きると、サイト運用上の問題が発生します。たとえば、サイト運用者にとっては、次のような不都合が生じます。
- サイト運用者の意図に反するページが検索結果に表示される
- ページの評価が分散して、上位表示しにくくなる
サイト運用者の意図に反するページが検索結果に表示される
カニバリのもっとも重大な不都合としては、サイト運用者や記事作成者の意図に反するページが検索結果に表示される点です。その一方で、上位表示を狙っているページの順位がランク外に転落してしまうこともあります。
とくに、サイトの売上を支えるコンバージョンページで競合が発生してしまうと、利益を損ねる原因に直結しますので注意してください。
ページの評価が分散して、上位表示しにくくなる
カニバリを起こしたページは、Google検索エンジンの評価が分散します。その結果としては、本来は上位表示できる品質の記事であるにも関わらず、検索順位が低迷しがちです。さらに、順位が低下するだけでなく、検索結果の圏外に弾き飛ばされる危険があります。
キーワードカニバリゼーションのメカニズム【検索エンジンの動き】
WEBサイト内で重複記事(コピーコンテンツ)を作成することで、検索エンジンが混乱して、キーワードカニバリゼーションが発生します。検索エンジン内では、下記のような現象が生じます。
- 検索順位を決める際に検索エンジンが混乱する
さらに、テクニカルの観点でみると、次のようなメカニズムから自社サイトやページ評価の低下を招くこともあります。
- 無意味なクロールが発生する
- 内部リンクや外部リンクが分散する
- 検索ユーザーのCTRが低下し、離脱率が高まる
検索順位を決める際に検索エンジンが混乱する
同一のWEBサイト内で重複ページが発生していると、Google検索エンジンがページ順位を決める際に混乱します。
同じテーマで同品質のページが存在していると、検索エンジンの視点では、いずれのページを優先して検索結果に表示すべきかわからなくなります。その結果として、サイト運用者が意図しないページが検索結果に表示されるケースが発生します。
無意味なクロールが発生する
重複ページが存在すると、Googleクローラーにとって無駄なページを巡回することになります。
そもそも、WEBページがGoogle検索エンジンに登録される過程において、Googleクローラーと呼ばれるロボットがページ情報を検索エンジンに共有する工程を踏むことになります。
そして、クローラーがWEBを巡回できる総数には上限が設けられています。そのため、クローラーとしては、極力無駄なクロールを避ける傾向がみられます。
こうしたなか、たとえば、自社サイトでカニバリを起こしていると、クローラーに無駄な巡回をさせることにつながります。結果として、「クロールの優先度が低いサイト」と検索エンジンに認識される危険があります。
内部リンクや外部リンクが分散する
重複ページがあると、内部リンクや外部リンクが分散されるため、ページ評価に悪影響を及ぼします。
たとえば、自社サイト内に「自社ページA」と「自社ページB」という、同じテーマの記事を2つ公開しているとします。そして、「外部サイトA」が自社サイトの「自社ページA」を役立つ記事として、発リンクを設置しました。
その一方で、「外部サイトB」では「自社ページB」にリンクを貼ってくれました。このとき、自社サイトとしては、2つのドメインから被リンクをもらったことになります。しかし、被リンクが分散しているため、「自社ページA」と「自社ページB」は適正な評価をえられなくなります。
検索ユーザーのCTRや離脱率が高まる
カニバリを起こし、かつ不適切な重複ページがランクインすると、検索ユーザーのCTR(クリック率)とページ滞在時間が低下する恐れがあります。
一般的に、サイト運用者や記事作成者は、「どのような検索ユーザーに読ませるか」や「どのようなことを知りたいか」を検討のうえでコンテンツを用意します。そのため、それぞれの記事には明確な目的があります。こうした状況下で、サイト運用者の意図と異なる、検索ニーズを満たせないページが検索結果に掲載されると、検索結果上で自社ページが選択されにくく、かつ離脱率が高くなりがちです。その結果として、検索エンジンに「品質が低い記事を作っているサイト」と判断される危険があります。
キーワードカニバリゼーションの調査方法
自社サイト内の重複ページを見つけるためには、次のような手法が挙げられます。
- 検索結果をチェックする
- Google Search Consoleを利用する
検索結果をチェックする
実際に検索結果をチェックすることで、カニバリを起こしているかを調査できます。このとき、下記の流れで調べていきます。
- WEBブラウザのシークレットウインドウを立ち上げて、Google検索エンジンにアクセスする
- 検索フォームに「site:※ドメイン」とクエリをセットで入力する
まず、WEBブラウザを立ち上げてGoogle検索エンジンにアクセスします。このとき、ブラウザのシークレットウインドウを用いることで、ブラウザキャッシュ(ユーザーのページ閲覧履歴など)を無視した客観的で正確な検索結果の情報をえられます。
そして、検索コマンド「site:」と自社サイトのドメインを入力し、さらにカニバリの疑いがある検索クエリを追加します。たとえば、東京SEOメーカー(本サイト)のドメインと「一次情報」のクエリを指定する場合、次のような文字列を検索フォームに入力します。
▲「2」の画面
すると、東京SEOメーカーの記事で、かつ「一次情報」のクエリで検索結果に表示されるページの一覧を閲覧できます。このとき、下記画像で印をつけた記事でカニバリを起こしている可能性があるとわかります。
このほか、上位表示を目指している記事が検索結果に表れない場合は、カニバリが原因で不適切な記事が優先して検索結果に載っている状況と判断できます。
Google Search Consoleを利用する
Google Search Console(グーグル サーチコンソール)を利用すると、重複ページを発見できます。具体的な手順は、下記のとおりです。
- Google Search Consoleにアクセスし、ログインする
- サイドメニュー「検索パフォーマンス」を選択する
- 「フィルタを追加」から「検索キーワード」を選択する
- フォームにクエリを入力して、「適応」をクリックする
- タブ「ページ」を選択する
Google Search Consoleにログインしたら、左サイドメニューから「検索パフォーマンス」をクリックします。
▲「2」の画面
次の画面で、「フィルタを追加」を選択したうえで、リストのなかから「検索キーワード」をクリックします。
▲「3」の画面
そこで、カニバリの発生が疑われる検索クエリを入力して、「適応」をクリックします。
▲「4」の画面
最後に、タブの「ページ」をクリックします。
▲「5」の画面
そのまま画面を下にスクロールしていくと、指定した検索クエリでヒットするページURLの情報が表示されます。また、指定期間内にクリックされた回数や表示された回数をあわせて閲覧できます。
このとき、下記画面のように、指定の検索クエリで複数のURLが出現したとき、カニバリを起こしている可能性があります。
さらに、上位の「表示回数」が拮抗している場合、キーワード検索のタイミングによって表示するページが異なっている(つまり、カニバリを起こしている)疑いが高いと判断できます。
キーワードカニバリゼーションの解決方法
キーワードカニバリゼーションの発生を確認できたら、該当ページや内部設定を見直す必要があります。そのための手法としては、次のようなテクニックがあります。
- 不要なページを削除する
- 重複ページを統合する(リライトとリダイレクト)
- 重複ページを内部リンクで関連付ける
不要なページを削除する
重複ページのうち、不要なページが存在する場合は、ページ自体を削除する、または非公開に設定を変更してください。
そののちに、一定の期間が経過すると、検索エンジンが削除したページをインデックスから外します。すると、サイト運用者が上位表示したいページが優先して検索結果に載りやすくなります。
重複ページを統合する(リライトとリダイレクト)
重複する2つのページがあったとき、2つのページの内容を統合してください。
このとき、母体として残すページに含まれておらず、重複ページに含まれる要素を付け足すイメージでリライトします。リライトと更新を終えたら、不要なページURLから残すページURLに対してリダイレクト(転送)設定します。
すると、不要なページURLにアクセスしたユーザーが残したいページへ自動的に転送されるようになります。検索エンジンのGoogleクローラーにおいても、残したいページのみを認知しますので、サイト運営者の狙い通りの検索結果となるように働きかけます。
重複ページを内部リンクで関連付ける
完全に重複しているとはいえず、テーマが似通うページが複数ある場合は、相互リンク(内部リンク)してください。
すると、ページ間で関連性が生まれ、検索エンジンに「2つの記事で1つの情報」であることが伝わりやすくなります。その結果として、検索エンジンが適切なページを検索結果に載せやすくなります。
キーワードカニバリゼーションを事前に回避する方法
キーワードカニバリゼーションを回避するためには、次のようなテクニックが挙げられます。
- テーマ(キーワード設定)の重複を避ける
- サイト内の公開記事を徹底管理する
- カノニカル設定で重要ページを指定する
テーマ(キーワード設定)の重複を避ける
重複ページが存在することでカニバリが発生します。そのため、大前提として、重複ページの作成を避けることが大切です。
ただし、その一方で、SEO対策では、キーワードに対する網羅性を高めることが重要視されている事実があります。そこで、サイト運用者としては、軸となるSEOキーワードの強化を目的に、類似ページを作りがちです。
このとき、既存ページに対する類似ページを作成することなったとしても、記事の切り口を変更する、または企画記事にするなど、工夫して記事を作成ください。
サイト内の公開記事を徹底管理する
重複記事の公開を避けるためには、サイト管理を徹底的にすることがもっとも大切です。一般的には、社内のコンテンツディレクターがサイト管理を担当することになります。
サイトを運用していくうえでは、新規記事の作成や公開記事の更新作業が不可欠です。
そして、サイト管理を徹底し全体像を掴んでおくことで、新規記事や企画の立案時に、重複テーマの選択を回避できます。サイトを管理するためには、さまざまな手法があります。たとえば、下記画像のように、Googleスプレッドシートやエクセルファイルを用いた管理方法が存在します。
事例の管理方法では、スプレッドシートの「列」で項目を設けて、「行」で記事単位の進捗状況をライターメンバー間で共有しています。
列の項目 | |
ID | 初期ソート用の項目。たとえば、「公開日」ごとにソートしたのちに、初期状態のソートに戻す際などに利用している |
チェック | WEBページの進捗状況用の項目。事例では「未作成」「作成中」「校正済」「作成済」「公開済」の5段階の進捗に分けて、それぞれのページの状況をメンバー間で共有している |
公開予定日 | スケジュール用の項目。公開予定日を管理し、または公開日を記録している |
最終更新日 | スケジュール用の項目。最後に更新した日付を記録している。古くなった記事をリライト対象としてタスクに追加するーーといった要領で利用している |
titleタグ | ページタイトルの項目。ページテーマや設定するキーワードの情報をまとめている |
カテゴリ | カテゴリ管理用の項目。サイト全体のうち、該当記事がどのような位置付けになるのかをメンバー間で共有している |
URL | ページURL用の項目。ページ内容をチェックや校正作業時に利用している |
ライター | ページ担当のライター名を記す項目。記事を作るときに、誰が担当している(した)のかをメンバー間で共有している |
備考 | メモ用の項目。ページ作成時の注意点やページ構成の覚え書きをまとめている |
上記表の項目は、あくまでも一般的に管理すべき情報をまとめた事例です。そのため、WEBサイトの特徴や運用スタイルに合わせて、自社で使いやすいように項目を変更して、管理することになります。また、記事の総数が増えてくると、管理の負担が増えます。そこで、カテゴリごとにタブをわける、他ツールと合わせて用いるなど、工夫してシートを運用してください。
カノニカル設定で重要ページを指定する
SEO内部対策の一環として、カノニカル設定で重要ページを指定してください。
そもそも、カノニカル設定とは、HTML言語のcanonical属性を用いて、検索エンジンに対して重要ページの情報を伝える施策のことです。たとえば、東京SEOメーカー内のコラム記事「SEOとは」を例を出すと、HTMLファイルのヘッダー内で下記のように記述します。
<head>
<link rel=”canonical” href=”https://www.switchitmaker2.com/seo/search-engine-optimization/”>
</head>
すると、検索エンジンは、「東京SEOメーカーでは、指定URLのページの重要度が高い」ことを認識します。そのため、重複ページが存在しているなかでも、「SEOとは」のコラム記事が優先して上位に表示されやすくなります。そして、こうした取り組みのことをSEO業界では、URL正規化と呼んでいます。
キーワードカニバリゼーションのよくある質問
キーワードカニバリゼーションに関する、よくある質問をまとめています。
Q:SEO対策のカニバリとはなんのことですか?
Answer)SEO対策のカニバリゼーションとは、キーワードカニバリゼーションを指します。そして、1つのWEBサイト内で、複数ページで同じテーマ(キーワード設定)を扱っていることから、検索エンジン上で競合している状況のことです。
なお、カニバリゼーションの語源は、英単語のcannibalizationで、「共食い」と訳されます。さらに、マーケティング用語としても用いられています。このケースでは、自社商品やサービス間で顧客を奪い合っている状況を意味します。
Q:上位表示を狙っている記事が検索結果に表示されない原因とは?
Answer)自社サイトのページが検索結果に表示されない原因は、さまざまあります。ただし、共通していることは、自社サイトやページがGoogle検索エンジンに評価されていないという点です。さらに、検索エンジンに評価されていない理由の1つとして、キーワードカニバリゼーションの発生が挙げられます。
Q:重複するWEBページ作成を防ぐコツは?
Answer)コンテンツディレクターなどが自社サイトの管理を徹底することで、重複記事の生成を防げます。重複ページが発生する経緯として、新規に作成する記事の企画を検討する際に、既存の記事と似通ったものを立案してしまうケースが散見されます。自社サイトの全体像をしっかり把握しておくことで、こうした事故の発生を未然に阻止できます。
Q:カニバリを修正する最適な手法は?
Answer)すでにカニバリが発生しているケースでは、記事を統合することで、コンテンツ品質が高まるとともに重複ページを解消できます。
具体的には、まずはじめに、重複する2つのページのうち、残したいページのURLを決めます。そのうえで、2つのページの内容を合体させた記事にリライトします。記事ができたら、不要なページのURLから残したいページのURLにリダイレクトを設定します。このほか、残したいページに対して、URL正規化を指定することで、Google検索エンジンが「優先度を高めるべきページ」と認識しやすくなります。
Google検索セントラルでは、リダイレクトやURL正規化などの施策を組み合わせることを推奨しています。
Q:カニバリを改善できない場合は?
Answer)SEO対策の専門会社に相談してください。
東京SEOメーカー(本サイト)では、これまでに2,000社以上の企業にWEB施策の支援を提供してきました。そして、SEOコンサルティングのサービス提供を軸に活動しています。カニバリを解消できずに悩んでいる方は、下記フォームより、お気軽にご相談してください。
まとめ
