コンバージョン率最適化(CRO)とは?重要な理由や実践手順など詳しく解説

Unbounce の『Conversion Benchmark Report』によれば、コンバージョン率を 1% 改善するだけで、業界平均で年間売上が 10〜20% 向上 する可能性があると報告されています。また、WordStream の調査では、Google 広告の 平均 CPC は過去5年間で約 25〜45% 上昇 していることが示されており、単にトラフィックを増やす戦略だけでは、顧客獲得コストが増大し、利益率が圧迫されやすい市場環境になっていることが分かります。
こういった背景からも、既存トラフィックからの成果を最大化する「コンバージョン率最適化(CRO)」は、収益性を守りながら売上を伸ばすための必須戦略といえます。そこで、CROの基本概念から実践手順、役立つツールなど解説します。WEB担当者は、この記事を参考にデータに基づいて成果を伸ばす方法を導入してください。
コンバージョン率最適化(CRO)とは?
コンバージョン率最適化(CRO)とは、購入やメールマガジンへの登録など、企業が望む特定のアクションをユーザーに完了してもらう割合を高める施策のことです。CROの主な目標は、既存のトラフィックからより多くの収益をえることにあります。トラフィック獲得に追加の費用をかけず、顧客獲得コストを削減できることが魅力です。
コンバージョン率最適化が重要な理由
広告費や顧客獲得コストが上昇し続ける中、ただトラフィックを集めることに集中していたのでは利益率は下がる一方です。しかし、CROに取り組むことで、トラフィックが一切増えなくても、より多くの購入・問い合わせを生み出すことができます。そこで、CROに取り組む具体的な理由をわかりやすく解説します。
マーケティングの費用対効果が向上
CROが重要な理由としてマーケティングの費用対効果向上が挙げられます。既存のトラフィック量が増えなくても、より多くの収益をえることができるからです。通常、トラフィックを増やすためには、広告費用やコンテンツ費用をさらに投じる必要がありますが、CROはユーザーをコンバージョンさせる割合を高めるため、そのまま利益率が向上します。例えば、WEBサイトのコンバージョン率が2%から3%に向上しただけでも、最終的な収益は大きく異なるはずです。
ユーザーエクスペリエンスの向上
CROが重要である2つ目の理由は、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上に役立つからです。なぜなら、CROは、ユーザーがコンバージョンを達成するのに妨げになっている要素を取り除くことにも焦点をあてているためです。それはつまり、UXが向上するということです。例えば、CROに取り組めば、使いにくいナビゲーションが改善されたり、ページの読み込み速度が改善されるなどのことがあります。
SEOとの相乗効果
SEOとの相乗効果が見込める点も、CROが重要な理由の1つです。SEOの役割は、WEBサイトの検索結果で自社WEBサイトを上位表示させ、トラフィックを増やすことです。一方、CROは流入したトラフィックに対して、次のステップ(購入、メール登録などのアクション)を踏ませることに焦点をあてています。このように、SEOにはユーザーを呼び込み、CROが訪問者を顧客に変えることで、WEBマーケティング全体の効果が高まります。
コンバージョン率を向上させる要因
コンバージョン率を向上させるには、やみくもに改善するのではなく、成果に直結するポイントを正しく押さえることが重要です。例えば、キャッチコピーやオファー、CTA、ナビゲーションなどが該当します。これらの要素を適切に改善することはWEB担当者として重要な仕事の1つなので、ここで詳しく解説します。
キャッチコピー
CROにおいて、キャッチコピーは結果に直結する極めて重要な要素です。効果的なキャッチコピーは、ユーザーの注意を引きつけ、抱える問題点に対してのメリットを具体的に提示します。キャッチコピーには必ずメリットを加え、全体として意味が理解しやすいというシンプルさも必要です。また、感情に訴えかけるように工夫することで、より多くのユーザーの注意を引きつけられます。例えば、自社がコーヒー豆を販売していると仮定します。この場合、キャッチコピーを下記のように改善します。
- Before:新鮮なコーヒー豆を販売中!
- After:朝の1杯で今日の集中力が変わる。焙煎3日以内の新鮮コーヒーをお届け
Beforeのキャッチコピーではメリットが不明瞭ですが、Afterでは集中力が変わるという訴求がされています。このようにキャッチコピーにメリットを含めることは、CVRを高めることに役立ちます。
オファー
コンバージョン率向上に影響を与える要因の1つとしてオファー(提案)が挙げられます。これは魅力的な商品購入理由を伝えることで、コンバージョンの増加に役立ちます。どういったオファーを加えるのかによってCVRは大きく変わるため、ABテストなどを繰り返し、顧客にとってもっとも魅力的なものを見つけるようにしてください。例えば、自社がブランド物買取り専門店であるとすれば、下記のように修正することがCVRの向上に役立ちます。
- Bfore:買取やってます
- After:LINE査定だけで500円ギフト券プレゼント
Beforeのオファーはただの事実を伝えているだけですが、Afterでは行動を喚起する具体的な提案がされています。通常このような行動喚起に結びつくオファーはCVR向上に役立ちます。
CTA(コール・トゥ・アクション)
CTAは、購入ボタンや資料請求のリンクなどのことです。WEBページでコンバージョンが発生する決定的なポイントであり、ユーザーに対して次にとってほしい行動を具体的に示します。CTAをより効果的にするには、ボタンを視覚的に目立たせ、背景と対照的な色を使用し、モバイルでもタップしやすいよう十分な大きさを確保することが重要です。
さらに、CTAのコピーは、「購入」のような一般的な言葉ではなく、「無料でお試しする」や「今すぐ登録してください」といったユーザーに行動を促すセールスメッセージである必要があります。CTAの配置も重要で、基本的にはファーストビューやページの最下部におくのが一般的です。例えば、自社がチョコレート専門店であれば、下記のような修正をおこないます。
- Before:購入
- After:期間限定セットを今すぐ注文
Afterの方が限定性が強調されているため通常、CVRが向上します。
ナビゲーション
ナビゲーションはヘッダーやフッターにあるメニューのことで、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、WEBサイトへの滞在時間を増やす役割があります。特にECサイトなどにおいては、ナビゲーションの操作がしやすいことは、コンバージョンに直結します。
逆にナビゲーションが煩雑であったり、分かりにくいラベル(表示名)が使われていたりすると、ユーザーは混乱し、離脱につながる可能性が高まります。具体的な施策としては、ナビゲーションを簡素化し、論理的な階層構造にすることです。論理的な階層構造というのは、例えば関連したページをグループ化するなどのことが挙げられます。
ページの表示速度
ページの表示速度は、直接的にCVRに影響を与えます。読み込み速度が遅いページは、ユーザーにとってフラストレーションとなり、離脱の主な原因となります。特にモバイルユーザーにおいては、この傾向が顕著で、読み込みに3秒以上かかると多くのユーザーが離脱します。
逆に、表示速度が向上すれば、ユーザーエクスペリエンスが改善され、スムーズにコンバージョンに結びつきます。具体的な施策としては、画像の圧縮やモバイル最適化、キャッシュの利用、コードの最適化などが挙げられます。
関連記事:サイトスピード(ページ表示速度)とは? チェックツールや改善方法を解説
コンバージョン率最適化の手順
CROは「何を」「どの順番で」おこなうかも大切です。そこで、具体的な手順をお伝えします。この手順を参考にしながら、業務を進めてください。
CVを定義する
最初に、CVを特定します。例えば「購入すればCVとする」と決めたり、「リードフォームでメールアドレスを送信すればCV」のように決めます。その他、サインアップやデモの予約、ニュースレターの購読、アプリのインストールなどがCVとして考えられます。
何をCVとするかは、自社のビジネスモデルによって異なります。ただ、どのビジネスであっても、まずはCVの定義を明確化してください。特にチームで仕事をする場合、この認識がずれているとCROの施策がうまく進みません。
現状のCVRを測定
CVを定義したら、現状を把握します。ベースライン(基準値)を知っておくことで、施策が良い影響を与えているか、それとも効果がないかといったことを判断できるからです。このベースラインは、GA4のデータや注文フォームなどから確認することができます。また、具体的な計算方法としては「(コンバージョン数 / 総訪問者数)× 100%」という式を用いて算出してください。これが、改善効果を評価するためのベンチマークとなります。
目標の設定
現状を把握できたら次は、目標を設定します。期限や向上させたいパーセンテージを決めてください。必要に応じて最終的なCVだけでなく、複数のマイクロコンバージョンも設定しておきます。マイクロコンバージョンとは、最終的なゴールに到達する前に達成すべき目標のことです。例えば、最終的なCVが購入とした場合、マイクロコンバージョンとして「商品ページの閲覧」などが挙げられます。このように、複数のコンバージョン目標をクリアしていくことで、最終的な目的を達成しやすくなります。
施策の決定
次に、改善のための具体的な仮説を策定し、優先順位をつけて取り組みます。GA4やヒートマップツール、SearchConsoleなどの定量的なデータ分析や、ユーザーの声などの定性的なデータを踏まえ、論理とデータに基づいて、「Xを実行すれば、Yが改善する」という形式の仮説を立てます。こういった施策は通常、複数出てきますが、最終的なCVにもっとも大きな影響を与える可能性が高いことから実行に移してください。
ABテストの実施
施策を実施する際には、A/Bテストをおこないます。これは、前のステップで策定した仮説を検証するためにおこなわれます。類似した2つのパターンのページを用意し、仮説が正しいかどうかを客観的な数値で評価します。例えば、CTA(コール・トゥ・アクション)の文言を変更したバージョンを2つ用意し一定期間、CVを計測します。そして、最終的なCVが高い方のバージョンを残すという要領で進めます。これを繰り返すことで、WEBサイトのあらゆる箇所が改善され、数値的な根拠を持ってCROを進めることができます。
関連記事:ABテストとは?ABテストを実施するメリットやツールについて解説
コンバージョン率最適化に役立つツール
ここでは、CROを効果的に進めるのに役立つツールを紹介します。CROは勘や主観的な意見に基づいておこなうのではなく、数字で判断する必要があるため、ツールを適切に活用することが大切です。
MicrosoftClarity
Microsoft Clarityは、ユーザー行動分析ツールと呼ばれ、WEBサイトに訪問したユーザー行動を客観的に知ることができます。具体的には、ヒートマップやセッション録画を確認することで、ユーザーがどこをクリックしたか、どこまでスクロールしたかといったエンゲージメントの状態を把握できます。無料で利用できるため早速、WEBサイトに導入してください。
関連記事:Microsoft Clarity導入ガイド!機能やWEBサイト改善法など紹介
GA4
Googleが提供するGA4は、ユーザーを追跡し、WEBサイト内での行動を詳細に把握できます。特に、コンバージョンファネル分析をおこなえば、ユーザーがサイトのどの段階で離脱しているのか、ボトルネックを特定しやすいです。その他、トラフィックソースやユーザーフローなどの定量的な追跡にも大いに役立ちます。
関連記事:GA4コンバージョン設定の基礎を解説!詳しい設定方法や確認の仕方もご紹介
コンバージョン率最適化のよくある質問
ここでは、CROを進める際のよくある質問や注意点やを挙げておきます。誤った進め方をすると、時間と労力を消耗してしまうので気をつけてください。
Q.すべての改善をABテストする必要はありますか?
Answer)すべての改善をA/Bテストする必要はありません。ABテストは、時間、トラフィック、および労力を要します。そのため、わざわざテストしなくても効果が明確なものはテストの必要がありません。例えば、表示速度を高める、明確なオファーを設定するなどの特定の改善策は、どのWEBサイトにも導入すべきことです。そのため「オファーを入れた方が良いか、入れない方が良いか」というところからテストをするのではなく、「どのようなオファーが反応率が高いか」をテストします。
Q.実店舗のCVもカウントしますか?
Answer)業種・業態によりますが、オンラインを確認して実店舗への誘導に結びついているのであれば、カウントした方が適切です。例えば、オンラインでキャンペーンをおこなって、その情報を見て実店舗に訪問しているのであれば、それはオンラインでのキャンペーンが有効であることを示しているからです。オンラインを確認して、ユーザーが実店舗に訪問したということを確認するためには、キャンペーンにクーポンなどを付けておくことで、対応することができます。
Q.ABテストには、どれくらいのデータが必要ですか?
Answer)どの箇所を検索するかにもよりますが、少なくとも500以上のトラフィックは必要です。それ以下のトラフィックであれば精度が低いため、ABテストの判断ができません。また、ABテストの結果が僅差の場合、さらに多くのトラフィックが必要です。
Q.表示速度を改善することは、CVR向上に役立ちますか?
Answer)今はモバイルからのトラフィックが多いため、表示速度を向上させることはCVR向上に直結します。ただし、ある程度改善したら、CVRに変化を及ぼすほどのインパクトはなくなるため、数値を見ながら変化がなくなったら、別の箇所の改善に時間と労力をかけるようにしてください。
まとめ
CROでもっとも重要なのは、ユーザーの行動データを正確に把握することと、どの改善ポイントが結果に大きな影響を与えるかを知っておくことです。この2つを的確に理解しておくことで、CROの施策はPDCAサイクルで回り始め、目標達成に結びつきます。そのため、GA4やMicrosoftClarityは早期に導入し、データ確認を怠らないようにしてください。そして、ABテストで小さな勝ちパターンを積み上げていけば、持続的な成長が可能になります。




