ユーザー行動分析(UBA)とは?主な手法や活用例、ツールなど解説

現在、世界中で「ユーザーの行動データ」を活かすことが重要だと言われています。なぜなら、どこをクリックしたか、どこで迷ったか、どこでページを閉じたかといった行動を見ることで、ユーザーが本当に求めているものが分かるからです。
実際、海外の調査会社Reliable Business Insightsによると、ユーザー行動分析(User Behavior Analytics)の市場は、2032年に向けて年平均約11.8%のペースで成長すると予測されており、多くの企業がこの技術に力を入れ始めています。そこで、ユーザー行動分析とは何かを分かりやすく解説します。
ユーザー行動分析(UBA)とは?
ユーザー行動分析とは、WEBサイトやアプリを使う人たちが「いつ・どこで・どのように」操作したかという行動データを調べて、その人の行動パターンを把握する仕組みのことです。例えば、画面のどこをよくクリックしているか、どのページで迷っているか、あるいは普段とは違う怪しい動きをしていないかなどをAIが学習して基準を作ります。
この技術を使うと、アプリの使いにくい部分を見つけて改善したり、「いつもと違う動き」を察知して、サイバー攻撃を防いだりすることができます。ユーザーの行動を分析することで、より便利なサービスを作ったり、セキュリティを守ったりする役割を果たしています。このように、ユーザー行動分析はもともとはセキュリティ分野で発展しましたが、現在はマーケティング・UX改善・プロダクト改善・AI最適化など幅広い分野で使われています。
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WEBマーケティングにユーザー行動分析を取り入れる
マーケティングの一種に、WEBマーケティングという手法があります。WEBマーケティングとは、WEB上で集客してマネタイズするまでの仕組みを構築することを指します。
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WEBマーケティングを進めるうえでは、ターゲットやペルソナを設定が必須です。そして、このときに、ユーザー行動分析を用いるケースがあります。
具体的には、サイト訪問者の端末やログイン情報、WEB内での活動からユーザーの特徴を推定します。通常は、解析や計測ツールなどを利用して、サイト訪問者の行動パターンを調べていきます。すると、ターゲットのユーザーが「どのような記事が読みたがっているか」を突き止めるきっかけになりえます。
ユーザー行動分析の主な手法
ユーザー行動分析には、大きく分けて「WEBサイトやアプリの使い勝手を改善するための手法」と「セキュリティリスクを検知するための手法」の2種類があります。そこで、それぞれの目的に応じてよく使われる代表的なものを解説します。
セッションリプレイ
セッションリプレイとは、WEBサイトやアプリを使っているユーザーの画面上の動きを、リプレイ動画としてそのまま記録・再生して確認できる機能のことです。
この機能を使うと、アクセス数などの数字データだけでは分からない、ユーザーが「どこでマウスを動かして迷っているか」「どのボタンを押せずに困っているか」といった具体的な行動を確認することができます。アプリの開発者やWEB担当者は、この手法を使ってユーザーが離脱した原因や不具合を発見し、より使いやすいサービスやWEBサイトへと改善できます。
ヒートマップ
ヒートマップは、WEBサイトの中でユーザーが「どこをよく見ているか」や「どこをクリックしているか」といった行動を、色で塗り分けて可視化する手法です。例えば、たくさんの人がクリックし注目している人気のエリアは赤く表示され、逆に見られていないエリアは青く表示されるため、数字のデータを見るよりも直感的に状況を把握できます。
これを使うと、クリックされた場所だけでなく、どこまで画面がスクロールされたかやマウスがどう動いたかも分かるため、「見てほしい大事な箇所が無視されている」といった問題点を発見できます。
関連記事:ヒートマップとは?導入すべきケースやWEBページの改善方法など解説
ファネル分析
ファネル分析とは、ユーザーが「商品購入」や「会員登録」といったゴールにたどり着くまでのステップを順番に並べ、どの段階で何人のユーザーが離脱したかをビジュアル化する手法です。たくさんの人が訪れても、ステップが進むごとに人数が減っていき、そのグラフの形が液体を注ぐ道具の漏斗(ファネル)のように先細りになることから、この名前がつきました。
例えば、ECサイトで「商品をカートに入れた人」は多いのに「購入完了した人」が極端に少ない場合、「住所入力の画面が使いにくいのではないか」といった具体的な問題点を特定できます。
コホート分析
コホート分析とは、ユーザーを「同じ時期に登録した」や「同じキャンペーン経由で入会した」といった共通点を持つグループ(コホート)に分けて、その後の行動が時間の経過とともにどう変化するかを比較する手法です。
例えば、「メールマガジンを5月に登録した」グループを抽出し、4月に登録した人たちとではどちらが長くエンゲージメントしているかなどを調査します。これをおこなうことで、グループごとの効果を比較できます。
関連記事:コホート分析とは?Googleアナリティクスの見方や活用例を解説
リスクスコアリング
リスクスコアリングとは、ユーザーの「いつもと違う行動」に対して、その危険度に応じたスコアをつけて管理する仕組みです。例えば、「パスワードを1回間違える」といった小さなミスには低い点数を、「深夜に大量のデータを持ち出す」といった怪しい動きには高い点数をつけ、その合計点が決められた基準を超えたときに初めてアラートを鳴らします。この方法を使うことで、少し操作を間違えただけのときには警報が鳴るのを防ぎ、逆に危険度の高いサインには適切に警告することができます。
異常検知
異常検知とは、AIが過去のデータから行動パターンを学習し、そこから大きく外れた不自然な動きを即座に見つける仕組みのことです。例えば、普段は日本のオフィスで昼間に仕事をしている人が突然、深夜に海外からログインしたり、これまで一度も触ったことのない機密ファイルを大量にダウンロードしたりすると、システムが異常と判断して警告を出します。
これにより、たとえパスワードが盗まれて犯人が本人のふりをしてログインしたとしても、その行動の違和感を察知し、被害が出る前に攻撃を食い止められます。
ユーザー行動分析のメリット
ユーザー行動分析することで、次のようなメリットがあります。
- サイト構成を組むうえで参考になる
- 作るべきコンテンツが判明する
サイト構成を組むうえで参考になる
ユーザー行動分析でえたデータは、サイト構成を組む際の足がかりになります。
WEBサイトを運用するなかでは、サイトのディレクトリ構成や内部リンクの貼り方といったことを考える必要があります。そして、ユーザー行動分析を進めると、下記のようなことがわかります。
- どのような流入経路が多いか(Google検索エンジン経由が多いなど)
- どのページに対する流入が多いか
- サイト内でどのように回遊しているか
こうしたことから、「どのようなカテゴリを追加すると効果的か」、または「どこに内部リンクを貼ると効果的か」といった、具体的に取り組むべき施策がみえてきます。
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作るべきコンテンツが判明する
ユーザー行動分析すると、どのようなページにアクセスが集まるのかがわかります。よって、次に用意するべきコンテンツが判明します。さらに、ユーザー行動分析でえたデータは、ユーザーの検索意図を推察するきっかけにもなります。そのため、ページ作成時の参考として役立ちます。
関連記事:検索意図とは
たとえば、「しょうゆ味のカップラーメンの実食レビュー記事」と「塩味のカップラーメンの実食レビュー記事」を用意したとします。このとき、2つのページのリード部に目立つように相互リンクを貼りました。そして、アクセスデータをチェックすると、この2つのページにおいては、ページ/セッション(ページパーセッション)が1.5ページであることがわかりました。つまり、ページ訪問者の2人に1人は、この2ページを行き来しているということになります。
このことから、「カップラーメンの実食レビュー記事」を見た人は、ほかの味のレビューも気になっているという仮説が立てられます。すると、「味噌味のカップラーメンの実食レビュー記事」を作成することで、さらにサイト内の回遊率を高められることがわかります。
ユーザー行動分析の注意点
ユーザー行動分析するうえでは、下記のような点に注意してください。
- ペルソナやターゲットの行動パターンに焦点を当てるべき
- ユーザー数の分母が少ないとデータとして役立たない
- 現場を知らない状態でのデータ分析は危険
ペルソナやターゲットの行動パターンに焦点を当てるべき
ユーザー行動分析は、あくまで行動パターンを分析することです。そのため、属性設定と混同しないように注意してください。
通常、マーケティングを展開する際にターゲットやペルソナを定めていきます。そして、名前や年齢、性別といった属性を設定していきます。
関連記事:ペルソナとは
一方、ユーザー行動分析は、ペルソナの具体的なアクションに焦点を当てて考えやニーズを引き出す施策です。
ユーザー数の分母が少ないとデータとして役立たない
ユーザー行動分析は、ユーザーのログを基に解析されます。通常、サンプル数が一定に満たないと、データとして役に立ちません。そして、このことを統計学で確率の収束といいます。
たとえば、サイコロを振ったときに6の目が出る確率は6分の1です。ただし、1回だけサイコロを振って5の目が出たとします。このときのデータに基づくと、「5が出る確率は100%」で、「6が出る確率は0%」になります。しかし、サイコロを振る回数を増やすと、「6が出る確率は6分の1」という正しい平均確率に近づいていきます。
こうした統計学上の理屈により、ユーザーのサンプルが少ないと、正確な解析ができませんので注意してください。
現場を知らない状態でのデータ分析は危険
現場の状況やユーザーの検索意図などに対する深い理解がないと、誤ったデータ分析を進めてしまう危険があります。
たとえば、WEBサイトでアクセス数が多い記事があるとします。「ページの価値」や「どのような点がユーザーの心に刺さっているのか」といった情報が抜けたままで、この記事を解析することは困難です。そのため、必ず、コンテンツディレクターやライターを担当した人間に相談してみてください。
ユーザー行動分析のフレームワーク
ユーザー行動分析を進めるうえで、基本的な考え方のテンプレートというものがあります。このテンプレートをフレームワークといいます。
ユーザー行動分析におけるフレームワークとしては、次のようなものが挙げられます。
- RFM分析
- デシル分析
- ビヘイビアル
RFM分析
RFM分析とは、ユーザーをランク分けして、それぞれに適切な施策を展開するために用いられる分析方法のことです。RFM分析は、次の3つの頭文字から名づけられています。
- Recently(購入日)
- Frequency(購入頻度)
- Monetary(購入金額)
このように、RFM分析では、ユーザーの行動パターンを購入に絞って分析していきます。そして、次のようなルールを設定したうえで、ユーザーをランク分けしていきます。
| ランク別 | 購入日 | 購入頻度 | 購入金額 |
|---|---|---|---|
| ランク1 | 1週間以内 | 20回以上 | 20万円以上 |
| ランク2 | 1ヶ月以内 | 10回以上 | 10万円以上 |
| ランク3 | 6ヶ月以内 | 10回未満 | 10万円未満 |
さらに、それぞれ適したアプローチ施策を展開していきます。
デシル分析
デシル分析とは、購入金額を基にユーザーをグループ分けする分析方法を指します。デシル分析では、行動パターンを購入に費やした額に絞って分析していきます。
具体的には、過去の購入履歴から購入金額が高い順番に並べて10等分します。そして、それぞれ購入層の購入金額比率や1人あたりの購入金額といった詳細データを割り出していきます。たとえば、合計100万円の購入金額に対して、100人のユーザーがいたとします。その場合は、まずは、次のとおり10等分にグループ分けします。
| デシル別 | ユーザー数 | 購入金額合計 |
|---|---|---|
| デシル1 | 10人 | 500,000円 |
| デシル2 | 10人 | 300,000円 |
| デシル3 | 10人 | 100,000円 |
| デシル4 | 10人 | 50,000円 |
| デシル5 | 10人 | 30,000円 |
| デシル6 | 10人 | 10,000円 |
| デシル7 | 10人 | 5,000円 |
| デシル8 | 10人 | 3,000円 |
| デシル9 | 10人 | 1,000円 |
| デシル10 | 10人 | 500円 |
さらに、デシル分析では、次のような指標が用いられます。
- 購入金額比率
- 累計購入金額比率
- 1人あたりの購入金額
このうち、累計購入金額比率とは、上から順に該当デシルまでの合計値が全体に占める割合のことです。上記の表のケースを当てはめると、それぞれ指標は次のようになります。
| デシル別 | 購入金額比率 | 累計購入金額比率 | 1人あたりの購入金額 |
|---|---|---|---|
| デシル1 | 50% | 50% | 50,000円 |
| デシル2 | 30% | 80% | 30,000円 |
| デシル3 | 10% | 90% | 10,000円 |
| デシル4 | 5% | 95% | 5,000円 |
| デシル5 | 3% | 98% | 3,000円 |
| デシル6 | 1% | 99% | 1,000円 |
| デシル7 | 0.5% | 99.5% | 500円 |
| デシル8 | 0.3% | 99.8% | 300円 |
| デシル9 | 0.15% | 99.95% | 150円 |
| デシル10 | 0.05% | 100% | 50円 |
この表をみればわかるとおり、ユーザーに対する施策は、上のグループほど重点的に進めるべきです。たとえば、スマートフォン向けのアプリ業界では、上のグループには、アップセルやクロスセル施策を展開します。そして、下のグループに対しては、顧客育成に重点を置く傾向にあります。
関連記事:アップセルやクロスセルとは
ビヘイビアル
ビヘイビアル(行動学的属性)とは、マーケティングで用いられるセグメンテーション分析におけるセグメント(特定のルールに基づいてグループ化された集団)の1つのことです。たとえば、ビヘイビアルでは、顧客が商品やサービスに対して起こしたアクションを基にグループ化して集団を作ります。
そもそも、セグメンテーション分析とは、ユーザーを4つの項目でグループ分けして分析する方法のことです。その4つの項目は、次のとおりです。
- デモグラフィック(人口統計学的属性)
- ジオグラフィック(心理学的属性)
- サイコグラフィック(地理学的属性)
- ビヘイビアル(行動学的属性)
このうち、前者の3つに関しては、年齢や性別、ライフスタイル、地域性といったユーザー属性を基準にしてグループ分けします。一方、後者のビヘイビアルの場合は、ユーザーの行動がグルーピングの判断基準となります。そのため、ユーザー行動分析においては、ビヘイビアルの観点で分析することになります。
ビヘイビアルで分類する項目としては、次のようなものが挙げられます。
- 購入商品
- 直前の購入日
- 購入回数
- 購入金額
- 購入場所や手段
- WEBサイトに対する流入経路
- WEBサイトの滞在時間
- WEBサイトのページパーセッション
- WEBサイト上のアクション(資料請求など)
ユーザー行動分析をチェックする手法とツール
ユーザー行動分析を進めるうえでは、主にオンライン上のツールが利用されます。代表的な手法としては、次のようなツールが利用されます。
- Googleアナリティクス
- ヒートマップ分析
Googleアナリティクスを利用する
Googleアナリティクスを利用すると、ユーザー行動分析に役立ちます。Googleアナリティクスとは、運営しているWEBサイトのデータを計測したり解析できるツールのことで、SEO(Search Engine Optimization)対策でも重宝されています。
ただし、2023年7月に従来のGoogleアナリティクスにあたるユニバーサルアナリティクス(UA)はサービスを終了しています。そして、あらたにGoogleアナリティクス4(GA4)として生まれ変わりました。
関連記事:Googleアナリティクス4とは?導入方法や初期設定、基本的な機能の使い方を解説
ユーザー行動分析で役立つものとしては、下記のようなデータをチェックできます。
- 新規ユーザーとリピーター数
- 利用端末やブラウザ
- ユーザーあたりのビュー数(ページパーセッション)
- エンジゲージメント時間(滞在時間)
- コンバージョン数
新規ユーザーとリピーター数
GA4では、WEBサイトに対してはじめて訪問した新規ユーザーやリピーターを計測できます。新規ユーザー数とリピーター数は、下記メニュー操作で確認できます。
- メニュー「維持率」

※画像は東京SEOメーカー(本サイト)のデータではありません
さらに、次の操作で新規ユーザーの詳細な行動をチェックできます。
- メニュー「ライフサイクル」→「集客」→「ユーザー獲得」

※画像は東京SEOメーカー(本サイト)のデータではありません
ここでは、新規ユーザーの流入経路をチェックできます。チェックできるものは、主に次のような項目です。
| 項目 | 解説 |
|---|---|
| Organic Search | 検索エンジンを経由して流入したユーザー数。 |
| Direct | ブックマークやページ再読み込みなど、直接的に流入したユーザー数。 |
| Referral | 外部リンクなどを経由して流入したユーザー数。 |
さらに、「エンゲージメントのあったセッション数」を確認できます。WEBサイトを10秒以上閲覧したり、2ページ以上を表示した場合などに、「エンゲージメントのあったセッション数」としてデータがカウントされます。わかりやすくいうと、ユーザーがなにかしらのアクションをした場合にカウントされます。この数値が極端に低いときは、ユーザーにとってWEBサイトが使いにくくなっている可能性がありますので注意してください。
利用端末やブラウザ
GA4では、ユーザーが利用している端末やブラウザを計測できます。要するに、「どのような端末」で、「どのようなブラウザ」を使って、自サイトに訪問しているかを把握できるということです。ユーザー環境は、下記からチェックできます。
- メニュー「ユーザー」→「テクノロジー」→「概要」

※画像は東京SEOメーカー(本サイト)のデータではありません
この画像の例では、アクセス数の大半をスマートフォンに依存していることがわかります。さらにいうと、iOSの利用者が割合としてもっとも大きくなっています。このことから、たとえばWEB記事を作成時には、iPhone端末で記事チェックすべきと判断できます。
ユーザーあたりのビュー数やエンジゲージメント時間
GA4では、WEBページのページビュー(PV)をチェックできます。
関連記事:PV(ページビュー)とは? セッションとの違いやPV増加の施策について解説
ここでは、「ユーザーは何秒間ページを読んでいるのか」、さらに「1ユーザーが何ページ読んでいるのか」といったユーザーの行動を把握できます。こうしたデータは、次の操作でチェックできます。
- メニュー「ライフサイクル」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」

※画像は東京SEOメーカー(本サイト)のデータではありません
本項目では、具体的に次のような要素が表示されます。
- ページビュー
- ユーザー数
- ユーザーあたりのビュー数
- 平均エンジゲージメント時間(滞在時間)
- コンバージョン
それぞれ重要な指標なのですが、このうち、平均エンゲージゲージメント時間(滞在時間)に対する考え方を説明します。画像の例では、この数値が「1分01秒」となっているため、ユーザーが滞在していることがわかります。ただし、この数値が「10秒未満」になっているなど極端に低い場合は、ユーザーが記事を読んでいない可能性があります。つまり、訪問ユーザーが読みたくなるように、記事品質を高めることがWEBサイトの大きな課題になっているということです。
コンバージョン数
GA4では、コンバージョン(CV)数を確認できます。ここでいうコンバージョンとは、WEBサイトに設定している目標のことで、成果地点とも呼ばれます。
関連記事:コンバージョン(CV)とは?マーケティングにおける定義や種類など詳しく解説
コンバージョンに関しては、下記の操作で確認できます。
- メニュー「収益化」
WEBサイトがコンバージョンに設定するものは、主に収益に直結する要素が挙げられます。そして、これはWEBの運営目的により異なってきます。たとえば、ECサイトや物販が目的のサイトの場合は、商品購入や決済がコンバージョンになります。このほか、コンバージョンには下記のようなものがあります。
- 商品購入
- アプリ内の課金
- 広告クリック
このほかにも、イベントトラッキングという仕組みを利用することで、コンバージョンを設定することが可能です。イベントトラッキングとは、ユーザーがWEBサイト内で指定のアクションを実行すると、その回数を計測するシステムのことです。イベントトラッキングは、各自でWEBサイトの目的に応じて設定する必要があります。計測される要素としては、次のようなものが挙げられます。
- 特定リンクのクリック数
- 特定ファイルのダウンロード数
- 特定URLやQRコードの読み込みによる流入数
ヒートマップ分析を利用する
ヒートマップ分析とは、WEBサイト上でとったユーザーの行動を表示して分析することです。具体的には、サーモグラフィや図形を用いることで、視覚的にユーザーの行動を追える利点があります。
ヒートマップ分析では、主に次の4つの行動からユーザーのニーズを分析します。
| 項目 | 解説 |
|---|---|
| スクロール | ユーザーがスクロールしたエリアをカラーで表現します。 |
| クリック | ユーザーがクリックやタップした箇所をカラーで表現します。 |
| 滞在 | ユーザーが滞在して熟読していたエリアをカラーで表現します。 |
| 離脱 | ユーザーが離脱したエリアをカラーで表現します。 |
ヒートマップ分析できるツールは、下記リンク先の記事で紹介していますので参考にしてください。
関連記事:ヒートマップとは?アクセス解析との違いと分析できること
ユーザー行動分析の活用例
ユーザー行動分析は、ただデータを集めるためのものではなく、売上アップ・離脱防止・不満解消・安全対策など、実際の成果につながるポイントを見つけるための手法です。しかし、具体的にどう役立つのかが分からないと、導入のイメージが湧きにくいものです。そこで、ユーザー行動分析の活用例を紹介します。
コンバージョン改善
ユーザー行動分析を使うと、コンバージョンを改善できます。例えば「買い物カゴには入れたのに、住所入力の画面で操作が複雑なため離脱した」といった具体的な課題を突き止めることができます。特に、コンバージョンの改善にはヒートマップや録画機能が役立ちます。これらの分析データがあれば「クリックできない場所を勘違いして押している」といった課題を見つけ出し、それを改善をすることでコンバージョンの増加に結びつきます。
関連記事:コンバージョン率最適化(CRO)とは?CRO施策について詳しく解説
顧客維持
ユーザー行動分析を活用すると「最近ログイン回数が減った」や「今まで使っていた機能を使わなくなった」といった、ユーザーがサービスから離れてしまうサインをいち早く見つけることができます。このように、データからユーザーの離脱する兆候を読み取り、手遅れになる前にサポートや改善をおこなうことで、顧客維持に役立ちます。
不満点の発見
WEBサイトやアプリを使っている人が「使いにくい」と感じている箇所を突き止めることができます。例えば、ボタンを押しても反応しないために何度も連打するレイジクリックや、ページを開いた瞬間に「求めていた情報がない」と判断して前の画面に戻る動きなどがそのサインになります。こうした数字のデータだけでは分からないストレスの原因や不具合を見つけ出し、誰もがスムーズに使えるように改善することができます。
新機能の定着
アプリやサイトに追加された新しい機能が、実際にユーザーに使われているかを分析し、利用を促すことができます。ユーザー行動分析をおこなうと、どの機能が人気で、逆にどの機能が使われていないかが明らかになります。もし便利な機能が使われていないと分かれば、その機能を使ったことがない人だけに画面上でガイドを記載したポップアップを表示するなどして、利用促進につなげます。
アカウントの不正利用防止
もしパスワードが盗まれ、他人が本人になりすましてログインしたとしても、その行動の不自然さを見抜いて被害を食い止めることができます。ユーザー行動分析は普段、特定の人がどういった行動をとっているかのパターンを学習しています。そのため、例えば物理的に遠い距離からアクセスがあるなど不自然な動きがあると、システムが即座に警告します。この機能により、正しいパスワードを使って侵入されたとしても、大切なデータが盗まれるのを防げます。
ユーザー行動分析を計測する主なツール
ユーザー行動分析は、正しいツールを選ぶことで初めて効果を発揮します。特定の分析をしたいと思っても、ツールが目的に合っていなければ改善につながりません。そこで、ユーザーの動きを見える化し、問題点を直感的に把握できる代表的なツールを紹介します。
MicrosoftClarity
Microsoft Clarityは無料分析ツールで、WEBサイトを訪れた人が「どこをよく見ているか」や「どこで操作に迷っているか」を視覚的に調べるのに適しています。このツールは、画面上のクリックが多い場所を色で示す「ヒートマップ」や、ユーザーの実際の動きを動画のように再生する「セッションリプレイ」といった機能を備えており、専門的な知識がなくても直感的にWEBサイトの改善点を見つけることができます。
UXCam
UXCamは、スマートフォンのアプリを使っている人の動きを分析することに特化したツールです。ユーザーがアプリ内でどのボタンをタップしたか、どこで操作に迷っているかといった実際の動きを動画として確認できます。その他、よく使用される箇所を色で示すヒートマップ機能も持っています。UXCamを使用すれば、アプリが突然動かなくなったり、ユーザーが使い方が分からず離脱してしまったりする原因を視覚的に突き止めることができます。
Exabeam
Exabeamは、パソコンの使われ方を見て「いつもと違う怪しい行動」を見つけるセキュリティ用のツールです。例えば、深夜に急に大量のデータをコピーしたり、普段アクセスしない場所にログインしたりすると、不自然と判断し、警告してくれます。人の行動パターンを学習して判断するので、ウイルスだけでなく内部の不正やアカウントの乗っ取りも防げます。
ユーザー行動分析の未来
将来、AI(人工知能)の進化によって、UBAは過去の記録を調べるだけでなく、次にユーザーが何をするかを予測できる分析が可能になります。
例えば、AIが膨大なデータから1人ひとりの行動パターンを深く学習し続けることで、「この人はもうすぐサービスを辞めてしまう」といった兆候を人間が気づくよりも早く、正確に見抜けるようになります。こういったAIを実装したユーザー行動分析が可能になることで、マーケティングにも大いに役立つよう進化していくはずです。
ユーザー行動分析のよくある質問
Q.ユーザー行動分析はアクセス解析とは異なるものですか?
Answer)アクス解析とは異なります。アクセス解析は、訪問者数や閲覧ページといった、おこったことの結果を数字で知るための分析です。一方、ユーザー行動分析は「どこで迷ったか・なぜやめたか・どう操作したか」という行動の流れや理由を知るための分析です。
Q.AI検索(LLMO)時代にユーザー行動分析は、どう役立ちますか?
Answer)AI検索の時代になると、これまでのように「検索キーワードに合わせる」だけのSEOではなく、「その人が何を知りたくて、なぜ調べているのか」という意味や理由に合わせることが大切になります。ユーザー行動分析を使うと、どこで迷ったか、何度も調べ直したか、どんな順番で情報を見たかといった行動から、「この人は本当は何を知りたかったのか」を逆算できます。こうして作られた記事やページは、人にもAIにも分かりやすいコンテンツになります。
Q.規模の小さなサイトでも分析する意味はありますか?
Answer)規模の小さなサイトでもUBAを使う意味は大いにあります。むしろ、小さなサイトほど効果が分かりやすいです。例えば、ボタンが分かりにくい、説明が足りない、スマホで操作しづらいなどの問題は、少ないデータでもすぐ発見できます。このように改善を重ねることで成果を出せるWEBサイトに育てられます。
Q.行動を測定する粒度は細かいほど良いですか?
Answer)行動を測定する粒度は、細かいほど良いとは限りません。例えば、マウスの動きを1秒ごとに全部記録しても、情報が多すぎて何が大事かが分からなくなります。大切なのは、ユーザーの判断が変わる瞬間を測ることです。具体的には、クリックした、戻った、入力した、やめた、といった行動です。必要な行動だけを記録することで、役立つ分析ができます。
Q:ユーザー行動分析は英語でなんといいますか?
Answer)英語では、ユーザー行動分析のことをUser Behavior Analyticsと言います。
さらに、User Behavior Analyticsの頭文字をとって、略称としてUBAとも呼ばれます。わかりやすいように、それぞれの英単語の直訳をご紹介します。
- User:利用者
- Behavior:行動
- Analytics:分析
Q:UBAとUEBAの違いは?
Answer)UEBAは、UBAに「Entity(エンティティ)」を追加したもので、ユーザーとエンティティの行動分析を指します。
UBAは、あくまで個人のユーザーやグループ集団の行動に注目した分析方法です。しかし、UEBAでは、ユーザー以外の機能やモノの作動を含めて分析します。
まとめ
ユーザー行動分析は、単なるアクセス解析ではなく、ユーザーの「迷い・不満・期待・変化の兆し」といった変化を読み取るための強力な手法です。UX改善や売上向上だけでなく、不正利用の防止や離脱予測など、ビジネスとセキュリティの両面で役立ちます。今後はAIの進化によって、行動の分析だけでなく、未来の行動予測まで可能になり、マーケティングにとっても重要度が増していくはずです。早速、ツールの選定や社内での活用方法について検討してください。




