難しいインハウスSEO【採用失敗?】SEOできないSEO担当者
SEOと一言で言いますが、その業務領域は年々増えています。単純に内部対策とコンテンツを作成するだけではなかなか厳しいというのが実感です。
SEO対策は年々シンプルになっていますが、難易度は増している。SEO会社に依頼する企業もありますが、社内に担当者を置いて対応するという企業もかなりあります。しかし、SEO担当者なのにSEOができないという話をよく伺います。

SEOとは
そもそもの話ですが、SEOとはSearch Engine Optimizationの略です。日本語に訳すと検索エンジン最適化です。言葉の意味通り受け取れば検索順位を上げることがSEOとなります。
しかし、SEO担当者の目的は検索順位を上げることが目的ではありません。企業には検索順位を上げた後の目的がありますので、それを解決しない限りSEOの成功とはいえないからです。多くの場合は問い合わせや購入が目標になりますが、認知やブランディングを目標にすることもあります。
どちらにしても検索順位の改善やアクセス数を増やすことは問い合わせ数や購入数を増やすための手段でしかありません。
SEO担当者の業務範囲
以前ならいざ知らず、現在ではSEOの業務担当範囲は非常に広いことが多いです。これは内部チューニングやSEOコンテンツの投下だけでは効果が出づらくなってきているためです。
どこまで関われるかはインハウスなのかコンサルなのかで変わってきますが、最初の段階は組織の最重要課題を明確にして、その最重要課題に対してSEOがどの部分で貢献できるのかを考えることです。
- 組織の最重要課題を明確にする
- SEOが貢献できる領域を検討
- プロジェクトの戦術を検討
- 優先度をつけて実装する
話が少し大きくなりますが、本当にSEOで成功したいと思った場合には、上から降りてきたキーワードで上位表示することをだけを考えるのではなく、組織の最重要課題が何かを把握した上でSEOがどこに関われるかを考えることが必要です。
そのためには内部チューニングとコンテンツ作成だけではなく、SNS、広報活動、広告対応、UI/UX、外部リンク獲得施策などさまざまなことを考慮しなければなりません。正直なところ、これってSEO担当者の仕事じゃないよね?というようなところがSEOの肝になることもあり侮れません。
SEOできないSEO担当者
SEO担当者としてアサインしたのにSEOができないなんておかしいと思われる方もいますが、SEOというのは奥が深く複雑です。
ダニング・クルーガー効果(能力の低い人は自分の能力を過大評価するという仮説)という言葉もありますが、過去の経験で成功したことがSEOの一部にすぎなかったということによることもあります。
コンテンツSEOしかやらない
SEOにおいてコンテンツは極めて重要なエッセンスです。コンテンツがなければインデックスされませんし、最終的にはコンテンツさえよければSEOはなんとかなります。
しかし、ここで誤解してほしくないのですが、コンテンツは必要条件ではありますが十分条件ではありません。コンテンツのクオリティだけを高くしてもジャンルによっては効果が薄くなかなか上位表示できないことがあります。
SEOあるあるですが、コンテンツSEOしかやったことがない担当者もいます。この手の担当者はサーバー、コーディング、プログラミング、サイト構築などの経験がなかったり、知識が浅かったりするため自身でチューニングができません。コーダーやプログラマーにも具体的な指示ができないことも多く困りものです。
SEO会社は探せばいくらでも出てきます。特に困りものがコンテンツ偏重型のSEOコンサルです。コンテンツが重要なのは間違いないのですが、現状のサイトの問題点は棚上げしてコンテンツの量産だけをする会社のことです。この手のサイトはツールを使ってキーワードを一覧を出して、このキーワードを全部対策してください。自社でコンテンツが作れなければ記事作成は請け負いますと言って記事作成代行費用で稼いでいます。
やり方として間違っているとはいいませんが、現状のサイトの問題点をあぶりだして改善しない限り順位上昇は厳しいです。とはいえ、コンテンツさえ良ければ本当に順位がつくことは多々あります。
テクニカルSEOしかやらない
テクニカルSEOしかやらない担当者はあまりいませんが、いるかいないかでは確かに存在します。特に格安のSEOコンサルに依頼すると依頼した初月に簡単なテクニカルSEOを施して静観するなんていうひどいところもあります。
テクニカルSEOには何を含むかといえば細かいところが非常に多いのですが、タイトル、meta description、見出しなどコンテンツ周りをはじめ、canonical、正規化、内部リンクの最適化、サイトの軽量化、サーバーの設定、キャッシュ見直しなどサイトでできることを順次見直していく必要があります。
テクニカルSEOは知識としても実施内容としても必要なことですが、チューニングを施すだけで改善するのは今まである程度のコンテンツはあったものの検索エンジン対策という視点で出来ていなかったという場合に限ります。
SEO担当者とコンテンツディレクターを別においているところもあり、専門性で分業するのはよいことですが、協業ができないようでは困りものです。
テクニカル偏重型SEOコンサルは普通といえば普通です。コンテンツまで作ると毎月のコンサル料金ではまったく足りないのでサイトの改善点と修正案を具体的に提案して実装してもらい、足りないコンテンツのキーワードや方向性を打診してくれるSEO会社です。
問題なのはコンテンツについて一切触れてくれないSEOコンサルです。サイトの内部診断と称してツールを使ってスコアリング、問題点がここなので修正してくださいと指摘内容と改善内容は多いのですが、そのすべてが技術面では対応内容に不足があります。結局、コンテンツがないと順位はつきませんし、順位がつくためにはある程度の記事数は必要です。
自分のサイトを持っていない
意外に多いのが自分のサイトを持っていないSEO担当者です。SEOは分野によってまったく違う動きを見せることも多く、あるサイトで成功したやり方が別のサイトではまったく効果がなかったということはよくあります。
最低限の共通事項さえ揃えれば、あとはそのサイトの独自性を伸ばす必要がありますが、画一的な対応しかしてこなかった方にはなかなかできません。
そのためにもSEO担当者は日ごろ情報収集をしておくべきですし、自分のサイトを持っておくべきです。自身のサイトを複数のジャンルで作っておくことでGoogleの変動やジャンルの見極めをすることができるようになります。
アフィリエイトと企業サイトのSEOでは対応内容が変わってきますが、アフィリエイターがWEBコンサル会社に転職しやすいのは自身でサイトを持っていて日々数値と情報を追っているという事実も大きいはずです。
上司がSEOのことをわかっていない
これは最悪なパターンですが、非常によくあることです。上司は部下の業務の専門性を把握してほしいものですが、SEOのことをまったくわかっていないWEB会社の人はかなりの数がいると思います。
- 曰く、meta keywordsの設定がSEOにとって重要
- 曰く、ページ数の多さがサイトパワーの強さ
- 曰く、中古ドメインを使えばすぐに成果が出る
上記は一例ですが、実際に私が聞いてきた呆れる発言です。会社の方針としてやれと言われればやるのが会社員ですが、やったところで効果は出ません。担当者の提案を跳ね除けますが効果が出なかったことを担当者の能力のせいにするということは何度も経験しています。
一般的にSEOで有効ではないということでも施策後に順位変動が起きることがあります。SEOに詳しくない人はやったことの効果があったといいますが、SEOに少しでも詳しい人であれば別の基準で変動があったのかもしれないと疑うはずです。
このあたりの話のずれは非常に大きく、上司に振り回されて失敗するということは潜在的にはかなり多いと思います。
誰がやっても成功しないこともある
最後に少し悲しいお知らせです。SEOは知恵と経験を絞りだすことで大きく成果を出すことができますが、誰がどうやっても成功しないこともあるのがSEOです。
正確には、誰がやっても成功するまでに相応の期間がかかるので成功するまで企業側が待てないと判断することがある、というのがSEOです。
キーワード難易度やサイト規模に大きく依存するのでSEOの成功率を出すのは極めて難しいのですが、正しい対策と優れたコンテンツを配信していても対策から半年以上かかるのは普通です。キーワードによっては対策後、2年~3年経ってようやくアクセスが大きく伸びるということもあります。
この期間を短くすることがSEO担当者の腕の見せ所ですが、シミュレーションは往々にして外れてしまうため、優秀なSEO担当者であってもSEOができない担当者と判断されてしまうことがあります。