完全成果報酬型のSEO会社は怖い?体験談から解説

完全成果報酬型のSEO会社は怖い?

今回は、東京SEOメーカーにアサインする前に働いていた私が経験した[本当に怖い]完全成果報酬型のSEO対策をおこなっているSEO会社が今回のテーマです。

 

SEO上級コンサルタントあくまで私がこういう経験をしたという体験談であり、特定のSEO会社を非難したり、全ての完全成果報酬型SEO会社を悪だという意図では書いておりませんのであらかじめご了承ください。

 

SEO相談

SEO完全成果報酬の体験談

不思議なもので大学を卒業後に営業担当として一般企業に内定をもらったのですが、今から15年ほど前からWEB制作やSEOなど含めWEBマーケティングをやるようになりました。

元々WEBマーケティングが得意なわけでも知見があるわけでもありませんが、会社の体制変更があった理由は単純にパソコンが詳しいから。

当時の上司は「KPIって何?」って言うくらいマーケティングのことがわかっていなかったことをよく覚えています。そんな会社でしたからパソコンに詳しい=WEBマーケティングもできると思ったようです。

今でこそ、上級WEB解析士の資格を取得しSEO全般を単独でできるようになりましたが、ECサイトの分析などは最初は外部のSEOコンサルを入れていました。

SEOコンサルにも様々な種類があります。2021年の現在では月いくらの固定型が主流になっていますが、2010年頃は完全成果報酬型のSEO会社も頻繁に見かけたように記憶しています。

 

余談ですが、検索順位を上げることで売上を伸ばす支援をするWEBマーケティング会社のことをSEO会社と表現しております。

SEO対策会社と呼ぶこともありますが、SEOはSearch Engine Opitimization(検索エンジン最適化)の略ですので、日本語にするとSEO対策会社とすると検索エンジン最適化対策会社となってしまい、違和感満載です。ここでいう最適化は対策という趣旨であり意味が重複しているからです。そのため、私はSEO対策会社ではなくSEO会社とよんでいます。

 

完全成果報酬型のSEO会社とは

冒頭にも少し触れましたが、SEO会社には大きく2つのパターンがあります。

 

  • 固定報酬型
  • 完全成果報酬型

固定報酬型というのは言葉の通りで、月30万円で契約したら契約期間中は毎月30万円支払うという契約です。多くのSEO会社では6か月契約の縛りがあり、報酬のレンジも月30万円~月100万円くらいで、中央値では50万円くらいだと思います。現在では固定報酬型のSEO会社が主流です。

 

それに対して、完全成果報酬型というのは成果が出た時に報酬が発生するというSEO会社です。あるキーワードで契約して、10位以内に入った月に報酬が発生するというものです。

 

例としては次のような報酬体系です。

順位 報酬(1キーワードごと)
1位 100,000円
2位 90,000円
3位 80,000円
4位 70,000円
5位 60,000円
6位 50,000円
7位 40,000円
8位 30,000円
9位 20,000円
10位 10,000円

SEO会社が計測したタイミングでの順位に応じて成果報酬が発生します。

 

通常、依頼した1キーワードごとに報酬が発生するので5キーワードを依頼してすべてが1ページ目にランクインした場合には意外に高くつくことがあります。

 

どうやって利益を出しているのか

 

一見するとビッグワードを1つだけ依頼して1位を取っても月10万円ということですから、固定報酬で月50万円前後が掛かることを考えれば安いとお思いかもしれませんが、実際には少し事情が異なります。

 

SEOで順位を上げるのは売上を伸ばしたり、会社のブランディングをしたりするためです。検索順位を上げることは目的のための手法の1つに過ぎず、順位だけを上げたところで意味がありません。

 

固定報酬型のSEO会社は検索順位を上げることはもちろんですが、クライアントの要望に答えることにコミットすることが多いです。そのため、依頼されたキーワードの順位を上げつつも売上を上げるためにどうするか、ブランディングはどうするかというトータルで見た時にプラスになるように施策を打ちます。

 

そのため、結果的には依頼したキーワード以外の関連ワードでも総じて順位が大きく上がることが多いですし、SEO会社もこれを狙っています。

 

対して完全成果報酬型SEO会社は依頼したキーワード以外が上がっても一切売上にならないため、特定のキーワードだけに注力します。売上やブランディングではなく、検索順位を上げることを目的にしているからです。

 

ただし、擁護するならば検索順位を上げることで売上が伸びることは普通のことですし、クライアント側にWEBマーケティングの知識がなければビッグワード単体の順位を成果としてみることも多くありますので戦略としては間違っていません。

 

固定報酬型SEO会社は毎月の固定報酬がありますのである意味では安定して売上が立ちますが、完全成果報酬型SEO会社は順位を上げなければ売上がありません。しかし、反対を言えば一度順位さえつけば放っておいても売上が立つということで利益を出しています。

 

完全成果報酬型の何が悪いのか

 

ここまででお気づきの方もいるかと思いますが、ここからが完全成果報酬型SEO会社のです。

 

※改めて念を押しますが、ここからの話は経験上、このような会社もあるというだけですので完全成果報酬型というビジネスモデルを否定しているわけではありません。

 

結論、完全成果報酬型というビジネスモデルが悪いわけではありません。順位がつけば契約通りの料金を支払いますし、順位がつかなければ無駄なお金を支払わずに済みますのでSEO会社とクライアントでWin-Winの関係が成り立ちます。

 

しかし、この制度を悪用するSEO会社も存在する(存在した?)のも事実です。

 

問題点は大きく4つです。

 

  1. 優先順位を低くされたことによる機会損失
  2. 順位さえつけば放置される機会損失
  3. 特定のキーワードだけを対策するリスク
  4. 特定のキーワードだけを対策する手法

 

優先順位を低くされたことによる機会損失

 

成果報酬ということはSEO会社は対策を頑張らなければ順位が上がらず売上がありません。そのため、依頼を引き受けたからには必死に頑張る、普通の人はそう考えます。

しかし、逆をいえば順位が上がらなければ報酬がもらえないだけ、ともいえます。

これはつまり、SEO会社としては営業力で案件を大量に受注し、その中で順位が上がりそうな案件(難易度の低い案件)を優先的に対処するということを意味します。

ビジネスとしてやっている以上、業務に優先順位がつくのは当然です。問題なのはお金になりそうもない高難易度案件は引き受けたものの一切何もせずに放置するということがあることです。

クライアントからすればSEO対策のための予算は確保しているわけですから、何もしないのであれば最初から別の会社に依頼することでSEOができた可能性があります。しかし、依頼した以上はやってくれるだろうと考えている期間は一切何もできずに機会損失している可能性があります。

 

順位さえつけば放置される機会損失

 

次に問題なのは順位さえつけば放置される機会損失です。

完全成果報酬型SEO会社は順位さえつけば10位であっても報酬が発生します。SEOをやっている人はわかると思いますが現在の順位が50位のものを20位に上げることは比較的易しいですが、10位のものを9位にすることはとても難しいです(ジャンルや時期、キーワードの難易度などに非常に大きく依存します)。

そのため、一度順位がつき報酬さえ入るようになったら後は放置するということが散見されます。

しかも悪質なのは現在10位でこれ以上自社では上がらないので完全成果報酬型SEO会社に依頼するというような場合です。このような時にはSEO会社は何もしなくても最初から報酬が入ります。クライアントは現在よりも改善したいので依頼しているのですがSEO会社が何もせずに(本当に何もせずに完全放置)報酬が入るという構造が出来上がります。

また、適当に外部リンクを付けて順位が上がったら”ラッキーという程度でサービスを展開している会社もあるようです。

 

特定のキーワードだけを対策するリスク

 

WEBサイトを長く運営しているとある時を境に突然アクセスが伸びたり、反対にアクセスが大きく下がったりすることがあります。いわゆるGoogleコアアップデートです。

Googleコアアップデートが起きる時期はある程度の予想はつきますが、事前情報が入るとは限らず(多くの場合、突然来ます)、アップデート後に対応を迫られるということは普通です。

>>Googleコアアップデートはこちら

もし特定のキーワードだけで対応していた場合、アップデートで対策ワードが撃沈した場合には完全にアクセスが途絶え、売上に直接影響するということがあります。

しかし、特定のキーワードだけではなく自社のサイトで拾えるワードを可能な限り網羅し、様々な手法で対策をすることでメインで対策しているキーワードがアップデートによりやられたとしても売上がそこまで大きく下がらないという対策は事前に可能です。

一部の特定キーワードだけを対策することが悪いとは言いませんし、優先順位や業務範囲、人的リソースなど様々な問題があることは百も承知ですが、広い範囲で物事を考えておくことでリスクヘッジが可能です。

特定のキーワードだけを対策する手法

 

そして、一番問題だったのは「特定のキーワードだけ」を対策する手法です。

今ではブラックハットとして通常はやっていないことですが、2010年頃までは大手SEO会社でも自信満々に外部リンクを売っていました。当時はまだSEOが今ほど成熟していなかったこともあり、外部リンクの強さと数が検索順位に比例する時代でした。

つまり、中古ドメインでサテライトサイトを大量に作り、ターゲットとなるサイトに対策キーワードで被リンクを付けまくっていたのです。

今では信じられないようなことが当時は平然と行われていました。これについては現在SEO業界で重鎮と呼ばれる方や超大手SEO会社であっても当時やっていたことを認めているくらい普通のことでした。

しかし、Googleの精度が向上するにつれ、このような被リンクを付けているサイトはペナルティを受けてしまい、検索順位が大きく悪化したり、検索順位に出てこないということが起きます。

自然なリンクであればペナルティを受けることはありませんが、対策キーワードをアンカーテキストにして大量の被リンクが集まれば明らかに異常であることはわかります。当時はこれくらいSEO対策が雑でした。

 

まとめ

SEO上級コンサルタントこのように完全成果報酬型SEO会社にはがあります。現在でも完全成果報酬型SEO会社は存在しますし、それが悪いとは全く思いません。むしろこのビジネスモデルでよくやれているなと感心してくるくらいです。それくらい大変なモデルです。少なくとも2010年頃まではこのようなSEO会社があったという私の体験談として考えていただければと思います。今後もこのようなSEO裏話を公開していきたいと思います。

 

 

この記事の監修者

上級SEOコンサルタント

上級SEOコンサルタント 坂口 直樹

新潟大学大学院を卒業後、事業会社で10年働く間にSEOに出会う。自身でサイトを多数立ち上げ、実験と検証を繰り返しながらSEOを研究。お金に変えることを目的とはせず、ユーザーに何が有益かを問い続け改良を繰り返すうち、「インターネット上の真実ではない情報を正してユーザーのためになる情報を発信する」という天啓を得る。現在は東京SEOメーカーの上級SEOアドバイザーとしてアサイン。

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