UI・UXの改善について解説!失敗例や成功ポイントなども紹介
WEBサイトやアプリの使いやすさは、想像以上にビジネスの影響します。Googleが紹介しているDeloitteの調査では、WEBサイトの表示速度をわずか0.1秒改善しただけで、小売サイトではコンバージョン率が8.4%、旅行サイトでは10.1%向上したと報告されています。
このように、表示速度や操作のしやすさ、情報の分かりやすさといったユーザー体験は、離脱や売上にも関わる重要な要素です。そこで重要になるのが、UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)の改善です。そこで、これらを改善するメリットから、実際に起こった失敗例、さらに改善を成功させるためのポイントまで、例を交えながら分かりやすく解説します。
UIとUXの改善とは?
UIとUXの改善とは、WEBサイトやアプリを誰もが簡単・快適に使えるよう、見た目と使い心地の両面をより良くすることです。UIの改善とは、ボタンの色や配置、文字の大きさ、画面のレイアウトといった、ユーザーの目に触れる視覚的な箇所を整理し、直感的に操作できるよう整えることです。
一方でUXの改善は、サービスを利用する際の一連のプロセスにおいて、ユーザーがストレスなく、目的を達成できるよう流れを設計することです。これら2つを同時に高めることで、ユーザーは迷うことなくサービスを利用でき、製品やサービスの満足度が向上します。
UI・UXを改善するメリット
UIとUXの改善は、ただWEBサイトを見やすく・使いやすくするだけではありません。ユーザーが迷わず目的を達成できる環境を整え、CVRの向上や問い合わせ対応などのサポートコスト削減などにもつながります。ここでは、UIとUXを改善することで企業がえられる主なメリットを3つの観点から解説します。

CVRの改善
使い心地の悪いデザインは、ユーザーに余計な手間をかけ、途中で離脱する原因になります。ユーザーの心理に寄り添ったスムーズな誘導、そして直感的に操作しやすいボタン・画面を整えることで、ユーザーはストレスなく目的のページへと進めます。このように煩わしさを取り除き、ユーザーに気持ちよく利用してもらうことが、結果としてコンバージョン率を向上させ、ビジネスの売上に直結します。
関連記事:CVR(コンバージョン率)とは?改善に役立つ具体的な施策など解説
サポートコストの削減
UI・UXを改善することで、ユーザーが使い方に迷わなくなり、企業側のサポートコスト(問い合わせ対応にかかる費用や時間)を削減できます。直感的に操作できる分かりやすい画面や、簡単に目的を達成できる流れが整っていれば、ユーザーは窓口へ連絡することなく快適にサービスを利用できます。このよにう、UI・UXの改善は、カスタマーサポートの負担を大幅に減らすことが可能です。
ブランド力向上
企業のブランド力を高め、ユーザーからの信頼を高めるメリットもあります。WEBサイトやアプリはユーザーが企業と関わる最初の接点であり、ここでブランドに合わせた一貫した色使いやレイアウトを提供することで、企業のイメージをよりプロフェッショナルなものとして印象づけられます。このように、ユーザーが利用するたびにポジティブな感情を抱いてもらうことこそが、競合他社に差をつける強力なブランドとなります。
関連記事:ブランド戦略とは?取り組むべきタイミングや立案手順などを徹底解説
UI・UXに関する失敗例
UI・UXを改善するためには「なぜ使いにくくなってしまったのか」という失敗事例から学ぶことも重要です。実際、複雑な操作や情報の詰め込みすぎ、分かりにくいエラー表示などは、信頼低下につながります。 ここでは、実際に過去にあったUI・UXの失敗例を取りあげます。自社のWEBサイト制作の際に参考にしてください。
1. 無料だと思わせてお金を要求する設計(例:Amazon Prime Video)
Amazon Prime Videoの一覧画面では、追加料金なしで観られる「プライム特典対象」のコンテンツと、別料金が必要なレンタル作品や他社チャンネルのコンテンツが同じフィードに混在して表示されていました。有料であることを示す「買い物袋」のマークが非常に小さくて見落としやすいため、ユーザーは無料だと思って作品をクリックしたあとに初めて課金を求められ、期待を裏切る結果を招きました。
2. 情報量が多すぎて混乱する(例:Microsoft Teams)
Microsoft Teamsでは、画面の左側にメインとサブの2つのナビゲーションバーがあり、上部にもメニューがあり、さらにチャット領域も細分化されているなど、一画面にあまりにも多くの要素を詰め込んでいました。また、「チーム」と「チャット」という似たコミュニケーション機能がそれぞれ別の場所にあり、初心者にとって何が違うのかが直感的に理解しにくい設計になっています。
3. 解決策がわからないエラー表示(例:Apple)
古いiPhoneでストレージがいっぱいになったとき、システムから警告が出ますが、「その他(Other)」という謎のカテゴリが何GBも消費していることだけが表示され、それが具体的に何を指し、どうすれば空き容量を増やせるのかという具体的な解決策が提示されていませんでした。また、警告画面で「後で(Not Now)」を選択しても通知は完全に消えず、問題を解決するまで何度も表示され、ユーザーに解決できないストレスを与えています。
4.逃げ道のない通知攻め(例.LinkedIn)
LinkedInでは、デフォルトで多くのカテゴリの通知が有効になっており、アプリ内通知やメール、スマートフォンのプッシュ通知など、複数の経路から重要性の低い情報まで頻繁に届くことがあります。
さらに、不要な通知を止めようとしても設定項目が細かく分かれているため、目的の設定を見つけて変更するまでに操作が複雑で、ユーザーにストレスを感じさせていました。このように、利用を促すための通知も、数が多すぎたり設定変更が複雑だったりすると、かえってユーザー体験を損ない、サービスへの印象を悪化させる可能性があります。
5. 二度手間を強いる複雑なフォーム(例:米国の医療保険「Healthcare.gov」)
2013年に開設されたこのWEBサイトでは、ユーザーがただ「どんな保険プランがあるか比較・閲覧したいだけ」であるにもかかわらず、その前に「アカウントの作成」と「詳細な本人確認」の項目を手入力で完了させることを要求しました 。 ユーザーがサイトの価値(保険プランの情報)を体験する前に、複雑な入力フォームを設置してしまったため、手間の多さに耐えかねた多くのユーザーがプランを見る前に離脱しました。
UI・UX改善の成功ポイント
UI・UX改善は、思いついた箇所をやみくもに変更するだけでは、十分な成果につながりません。ユーザーが迷わず目的を達成できる体験をつくるには、押さえておくべき基本的なポイントがあります。ここでは、UI・UX改善を成功させるために「全体の一貫性」「シンプルさ」「表示速度の快適さ」「情緒的デザイン」という4つのポイントを解説します。

全体の一貫性
WEBサイトやアプリ全体で、ボタンやフォームなどの見た目、操作ルール、ボタンの挙動、そして言葉遣いにいたるまで、共通のルールを統一して一貫性を保てるようにしてください。画面ごとに色使いや操作方法が不規則に変わったり、「削除」「消去」「アーカイブ」といった同じ意味を指す言葉がそれぞれの画面で混在すると、ユーザーはその都度混乱し、ストレスの原因になります。
逆に、一貫したルールが保たれていれば、ユーザーは一度覚えた操作感覚を他のページでもそのまま応用でき、操作に迷う心配がなくなります。
シンプルさ
画面上の無駄な情報や不必要な機能を削ぎ落とし、ユーザーが迷うことなく直感的に目的を達成できるように設計することが大切です。人間の脳が一度に処理できる情報量には限界があるため、画面に多くの要素を詰め込んだり、大量の選択肢を提示すると、ユーザーは混乱し離脱の原因となります。
これを防ぐためには、一画面に表示するボタンやテキスト項目を最小限に抑え、必要に応じて情報を少しずつ開示していく「段階的開示」などの手法を組み合わせることが有効です。
表示速度の快適さ
ユーザーがストレスを感じずに快適にサービスを使うために、表示速度の快適さが挙げられます。私たちの思考スピードに対して、画面の切り替えやボタンの反応が遅いと、ユーザーにストレスを与え、離脱される原因になります。速度は売上に直結する重要な問題です。
どうしても技術的に処理が遅くなる場合でも、ローディング(進行状況のフィードバック)を用意するなどして、システムが稼働していることを伝えるようにしてください。
情緒的デザイン
情緒的デザインとは、ユーザーのポジティブな感情に働きかけ、製品との間に愛着を生み出すアプローチです。UXデザインの第一人者であるドナルド・ノーマンの提唱するフレームワークでは、この情緒的反応には3つの階層が存在する伝えています。
具体的には、見た目の第一印象を刺激する「本能的レベル」、実用的な使い心地や操作の快適性である「行動的レベル」、そしてユーザー自身の自己イメージ、価値観などに深く結びつく「省察的レベル」に分かれています。色、形状、質感といったさまざまなデザイン要素を通してこれらの階層をバランスよく刺激し、ユーザーの好みや行動にポジティブな感情を生じせることで、高い満足度につながります。
UI・UX改善のよくある質問
ここでは、UI・UXについて、よくある質問を取りあげ解説します。WEB担当者が迷いやすい点をお伝えしますので、早速ご確認ください。
Q.何から始めればよいですか?
Answer)最初に取り組んでほしいことは、ユーザーがどこで困っているのかを特定することです。ヒートマップを使ったり、実際にインタビューをおこなうなどして問題が発生している箇所を突き止めます。複数箇所の問題が見つかった場合は、優先順位をつけて順番に取り組んでください。
Q.UI・UXの専門家に相談すべきですか?
Answer)必ずしも専門家への依頼は必要ありません。前述したヒートマップやインタビューなどで問題が特定でき、自社で施策を実施できれば改善は進みます。ただし、社内で施策を実施できる担当者が不在の場合は、一度相談を検討してください。
Q.定期的におこなうべきですか?
Answer)UI・UX改善は、定期的におこなうようにしてください。ユーザー行動や利用デバイスなどは時間と共に変化するため、以前は利用しやすかったとしても、次第に使いづらくなることも多々あるからです。常に課題特定→改善→検証のプロセスを繰り返すようにしてください。
Q.業種によって理想的なUI・UXは異なりますか?
Answer)業種によって異なります。業種やサービス内容によって、ユーザーの求める情報・利用目的が異なるためです。例えば、ECサイトでは商品を見つけやすく、購入までスムーズであることが大切です。一方、医療機関のWEBサイトでは病院間でのアクセス方法、予約受け付けなどが迷わずできることが重視されます。そのため、単純に他社のWEBサイトを真似るだけではうまくいくとは限りません。ユーザーの声を聞きながら改善を進めることが肝心です。
まとめ
UI・UXの改善で大切なのは、WEBサイトやアプリの見た目をきれいにすることではなく、ユーザーが迷わず、ストレスなく目的を達成できることです。具体的なポイントとしては、一貫性のある操作方法、シンプルで分かりやすい画面、快適な表示速度、そして使っていて心地よいと感じられる情緒的なデザインなどが挙げられます。このような改善は、ユーザーの離脱を防ぎ、CVRや顧客満足度、ブランドへの信頼向上に直結します。まずはユーザーと同じ目線で自社のWEBサイトを操作し、迷う場所や面倒に感じる場所がないかを確認してください。
h2:出典
[1]Baymard Institute 「The UX Intelligence Platform for Ecommerce Teams」
https://baymard.com/research
[2]Baymard Institute 「E-Commerce Search UX」
https://baymard.com/research/eCommerce-search





